兵庫県第三者委、前総務部長による私的情報の漏えい認定…斎藤元彦知事に関する内部告発問題
2025年5月23日(金)23時55分 読売新聞
兵庫県の斎藤元彦知事
兵庫県の斎藤元彦知事に関する内部告発問題で、告発した前県西播磨県民局長の男性職員(昨年7月に死亡)の私的情報が漏えいされた疑惑を調査していた県の第三者委員会が、井ノ本知明・前総務部長による漏えいを認定したことがわかった。複数の県関係者が明らかにした。県は井ノ本氏の懲戒処分を検討している。
疑惑を巡っては、週刊文春が昨年7月、男性職員が公用パソコンに保存していた私的情報について、井ノ本氏が県議に見せたと報道した。県は昨年10月、弁護士でつくる第三者委員会を設置。第三者委は今年3月末に県へ調査報告書を提出していた。
県関係者によると、第三者委は報告書で井ノ本氏による漏えいを認定。県は23日、綱紀委員会を開催して処分について協議した。協議の結果は明らかになっていないが、県の指針では、職員が故意に秘密を漏えいした場合、免職か停職が相当と規定されている。
井ノ本氏は昨年10月、内部告発問題を調査する県議会百条委員会の証人尋問に出頭し、私的情報を印刷して所持していたと認めた。一方、漏えいについては「証言が手がかりとなって、守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性がある」などとして証言を拒んでいた。
昨年12月には、県議2人が百条委の聞き取り調査に対し、井ノ本氏から私的情報について口頭で説明されたり、印刷した文書を見せられたりしたと証言。百条委は今年3月に公表した調査報告書で、井ノ本氏について、県に刑事告発も含めた厳正な対処を求めていた。
公益通報者の保護徹底通知、斎藤知事「重く受け止める」
「兵庫県の斎藤元彦知事は23日、消費者庁が22日に公益通報者保護法に基づく対応の徹底を求める通知を各自治体などに出したことについて、「重く受け止めて、しっかりと制度の運用をしていきたい」と述べた。
同法が定める体制整備の対象範囲が内部通報に限られるのかと尋ねられると、「法の趣旨に沿って個別のケースについては対応していきたい」と従来と同様の見解を述べた。
同法は、通報者を保護するための体制整備義務を自治体などに定めており、消費者庁の通知では、報道機関などへの外部通報も対象となると明示していた。一方、斎藤氏は3月の記者会見で、「対象は3号(外部)通報も含まれるという考え方がある一方、内部通報に限定されるという考え方もある」と述べていた。
県は23日、全職員に向け、外部通報について「法の趣旨を踏まえて現在ご対応いただいているところですが、より具体的な対応方法について、検討を進めていきます」とする通知を出した。