千葉の傷害事件、使用されたのは唐辛子成分の催涙スプレー 呼吸困難の被害者も...容疑者の動機はどこに
2025年5月26日(月)18時14分 J-CASTニュース
千葉県印西市内の商業施設「イオンモール千葉ニュータウン」で約40人の客らが目の痛みなどを訴えた傷害事件が発生し、逮捕されたアメリカ人の男(51)は、唐辛子成分の催涙スプレーを使っていたことが県警の調べで分かった。
12人が病院に搬送され、うち1人が呼吸困難になったとも報じられている。このスプレーには、どんな危険があるのだろうか。容疑者は、なぜスプレーを使おうと考えたのか。
過去事例では「近くで吸い込み2時間嗚咽が止まらなかった」
「自分も攻撃された」「気が動転した」。報道によると、容疑者の男は、印西署の調べにこう供述したという。
男は、2025年5月23日14時40分ごろ、立体駐車場に止めた車の近くでタバコを吸っていた男性らとトラブルになり、72歳と69歳の男性2人の顔面にいきなり催涙スプレーを吹き付けた疑いが持たれている。2人は軽いケガをし、買い物客らが相次いで目やノドの痛みを訴え、病院で手当てを受けるなどした。
「塩酸のような臭いがしている」と110番通報があり、警察が駆け付けたが、容疑者の男は、現場から逃走した。その後、警察が男を探し出し、24日に傷害の疑いで逮捕した。
呼吸困難のケースも出たと報じられただけに、男が使った催涙スプレーはどんなタイプなのか、専門家の間でも、話題になった。
防犯アドバイザーとしてテレビ出演も多い京師美佳さんは23日、Xを更新し、日本で販売されているスプレーは2種類あり、唐辛子成分のOCスプレーと化学薬品でできているCNスプレーがあると指摘した。
OCスプレーについては「人体に害がなく、涙がでて痛みや気分が悪くなるなどの症状が出ますが洗い流せば、数時間で元に戻ります」とする一方、CNスプレーについては、「皮膚に付着すると火傷をおこしたり、目に入ると失明する恐れもあり危険です」とした。薬品のような臭いも、こちらの方が強いという。
ただ、京師さんは、「唐辛子成分のOCスプレーであってもひと噴射で6帖のお部屋が数時間使用できないくらいの刺激臭がします。私も近くで吸い込み2時間嗚咽が止まりませんでした」とも述べた。
「噴射された成分が空気中に漂って、他の客も、目やノドが痛くなった」
今回使われた催涙スプレーがどちらのタイプだったかについて、印西署は5月26日、J-CASTニュースの取材に対し、唐辛子の成分が入ったスプレーだったと答えた。
「化学薬品を使ったタイプではありません。顔に噴射されましたが、命に別状はなかったと聞いています。失明するまでもなっていません。噴射された成分が空気中に漂って、他の客も、目やノドが痛くなったのだと思います」
なぜ逮捕された男がこのスプレーを持っていたかについては、こう述べた。
「護身用のものになると思いますが、なぜ持っていたのか、どこで入手したのかについては、捜査中です。自己防衛については、日本人と感覚が違う面もあるかもしれません。禁煙となっている場所で、タバコを注意したところ、攻撃されると考えて、防御しようとしたのではないでしょうか」
唐辛子成分の催涙スプレーとはいえ、過去には、OCスプレーを使って呼吸困難になったと報じられたケースもある。
朝日新聞の05年9月28日付朝刊記事によると、神奈川県横須賀市内の米海軍横須賀基地で行われた日本人警備員の訓練で、護身用のOCスプレーを顔に噴射する行為の際に一時過呼吸の状態に陥り、救急車で市内の病院に搬送されて治療を受けたことがあった。
なお、CNスプレーについては、大阪読売新聞の03年12月20日付朝刊記事で、香川県警の警察官がこの護身用スプレーを紛失したと報じられており、警察が携行しているケースもあるようだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)