年金修正合意で「部分連合」3野党と成果…首相、参院選見据え連携相手の選択肢確保
2025年5月28日(水)7時6分 読売新聞
年金改革関連法案の修正に関する合意書に署名する(左から)立憲民主党の野田代表、石破首相、公明党の斉藤代表(27日、国会で)=川口正峰撮影
年金改革関連法案を巡り、自民、公明両党は立憲民主党と修正で合意し、これで石破首相(自民総裁)は日本維新の会、国民民主党を含めた主要3野党とそれぞれ政策協議で成果を上げる形となった。少数与党下で国会運営に苦慮する首相は参院選後も見据え、連携相手の選択肢を最大限、確保しておきたい考えだ。
(佐藤竜一、太田晶久)
笑顔
「3党で合意に至ったことは非常に意義深いことでうれしい」
首相は27日、立民の野田代表、公明の斉藤代表と国会内で会談を行った後、首相官邸で記者団にこう語った。会談中、署名文書を掲げた際には笑顔も見せた。
首相は昨秋の衆院選大敗後、政策ごとに野党と協力する「部分連合」を模索してきた。同い年の野田氏に対しては「保守の立場で、共感する部分も多い」と周囲に漏らすなど親近感を抱いており、最大野党との連携実現に感慨を深めたとみられる。
自公が党首間で野党と合意書を交わしたのは、維新と高校授業料の無償化拡充などで合意し、今年度予算案への賛成を取り付けた2月以来だ。昨年12月には、補正予算案で維新、国民民主から賛同を得た。
苦境
首相にとっては7月にも行われる参院選でたとえ与党過半数を確保したとしても、衆院で与党が過半数に満たない苦境は変わらない。
維新、国民民主が協力の見返りに求める政策を実現し続けるのは難しく、自民幹部は「互いにけん制し合う立維国の中でうまく協力先を組み替えつつ、難局を打開していくしかない」と指摘した。
斉藤氏はこの日の会談後、「将来の安心安全につながることについて、与野党で結論を得るいい例ができた」と記者団に語った。斉藤氏は連立政権の枠組み拡大を検討する必要性に言及してきた。
複雑
立民の受け止めは複雑だ。野田氏は今回の党首会談中、表情を崩さなかった。会談後には、修正合意について、「大連立のテーマとかじゃなく、やらなければいけないことをやった。それ以上の何ものでもない」と記者団に強調した。
立民内には、与党との対決姿勢を強めなければ、6月の東京都議選や参院選で政権批判票の受け皿になれないとの懸念がある。小沢一郎衆院議員は国会内で内閣不信任決議案について、「通りそうになったら出さないというのはどういうことだ。これほど国民をバカにした話はない」と記者団に語り、党内の一部にある見送り論を批判した。
野田氏は今後、与党に政策実現を求めつつ、内閣不信任案提出についても判断する難しい対応を迫られそうだ。