健康食品でもサプリでもない…60歳以降は必ずやるべき「若返りホルモン」をドバドバ分泌させる"最強の方法"

2025年3月9日(日)10時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Inside Creative House

いつまでも若々しい人はどこが違うのか。医師の和田秀樹さんは「若返りの鍵を握るのが性ホルモンだ。ホルモンバランスは60歳より少し前から変わってくるので、注意したほうがいい」という——。

本稿は、和田秀樹『死ぬのはこわくない』(興陽館)の一部を再編集したものです。


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■高齢者の肉体的機能はそれほど衰えていない


老化と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは足腰の衰えでしょう。しかし、意外なことに、現代の高齢者の肉体的機能は、若い頃と比べてほとんど遜色はありません。通常の速度で歩いたり、最大酸素摂取量を維持したりという基本的な力に関しては、若い頃とほとんど変わらないことが分かっています。


東京都が発表した「高齢者の生活実態」(令和2年度)では、歩行について「ひとりで全部できる」と回答した人は65〜69歳で男女ともに96.5%。75〜79歳と年齢が上がっても、男性では91.7%と非常に高い数値となっています。


自転車に乗って坂道をこぐと、次第に息が上がって苦しくなってきます。そして、最後には「もうこれ以上は無理!」という限界に達するのですが、このときに1分間にどれくらいの酸素を取り込むことができるか、という数値を最大酸素摂取量といいます。この数値も、若い頃とそれほど変わりません。


これらのことから、普通に歩いたり、階段を上ったり、自転車をこいだりといった基本的な体力に関しては、高齢になってもそれほど落ちないということが分かってきます。


■人の老化は感情から始まる


反して、前頭葉の萎縮は40〜50代から目に見えるように始まるので、「感情」は若いうちから目に見えないところで老い始めていることが分かります。これが意味することは、人の老化は感情から始まるということです。つまり、感情が老化するから老け込んでいくのです。ということは、感情の老化を防げば、かなり長い間若々しさを維持できるということになります。


せっかく、自由になれたのです。これからは、何でもあなたの思い通りにできます。ヨボヨボして暮らすなんてバカなことはありません。あなたの人生を楽しむためには、若返らなくてはならないのです。そのために何が必要かをお教えしましょう。


若返りの鍵を握るのは性ホルモンです。大切な人を亡くしたということは、おそらくある程度高齢の方だと仮定して説明します。


60歳より少し前から、私たちのホルモンバランスは変わってきます。男性は男性ホルモンが徐々に減り、女性は女性ホルモンが劇的に減ってきます。それによって、人間は、中性化し始め、生殖期から老年期に入るのです。


この時期から同時に、脳の前頭葉という部分の老化が始まり、セロトニンという伝達物質も減ってきます。つまり、体も脳も大変換期を迎えるというわけです。


この時期に何も「思う」ことがないと、老いは容赦なく訪れてきます。放っておいては、性ホルモンの低下が進み、生活の質は下がる一方です。


■誰にでもできる「性ホルモン活性法」


ホルモンバランスが乱れるとさまざまな症状が出てくる人がいます。


疲労感、倦怠感、うつ状態、のぼせ、冷え、多汗、動悸などはこの時期よく耳にする不調です。頻尿や残尿感などの排尿状態に影響を及ぼしたり、肩こりや関節痛をもたらすこともあります。さらに、血中コレステロール値が上がったり、血圧が乱高下したりする場合もあるでしょう。これらの症状の原因は急激な性ホルモンの分泌の減少にあります。自律神経の乱れが、全身に影響してくるのです。


こういった症状が、あまりにもひどい場合は、ホルモン補充療法が選択されます。しかし、ホルモン補充療法は今の日本ではあまり普及していないのが現実です。


では、どうしたらいいのでしょうか。実は、何のリスクもなく、手軽で、誰にでもできる性ホルモン活性法があるのです。何を隠そう、それは、恋をすることです。


恋愛が性ホルモンを活性化させることは分かっています。体というのは、不思議なもので、気分が華やいだり、ときめいたりするだけでも、ホルモンバランスは復活するのです。心の状態が体におよぼす影響というのは、思っているよりも大きいものです。若さを保つためにも、恋愛は大切なことなのです。


写真=iStock.com/west
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/west

■「欲望」が生命力の源になる


誰かを好きになることは、前頭葉を大いに刺激することになります。芸能人が好きだとか、推しがいるだとか、そういったことでも効果はあると思います。


恋愛時には、エンドルフィン、ドーパミン、セロトニン、オキシトシンといった脳内ホルモンが大量に分泌されます。これらのホルモンは、幸福感、快感、愛情、安らぎといった感情を呼び起こします。これが、若返りの特効薬となるわけです。


感情とホルモンは思っているよりも強く結びついています。満足感を得たときはセロトニンが出るし、「よし、頑張るぞ!」と意欲がわいているときはドーパミンが出ます。快感を得られればエストロゲンという性ホルモンが出るし、「あの人をデートに誘うぞ」と意欲的なときは、男性ホルモンのテストステロンが出るのです。ですから、恋愛やセックスを「いまさら」などといって、避けないでください。それこそナンセンスです。


生命力の源になるのは「欲望」です。欲望は生きている証しです。恋をすると、その人と一緒にいたい、話したい、触れ合いたいと欲望が生まれます。欲望は前頭葉を刺激し、心の若さを保つうえで、絶大な威力を発揮するのです。


■新しいことを体験し、新しい気持ちを持つ


恋愛やセックスを「いまさら面倒だ」と感じているならば、それは、もったいないことです。恋をするだけで性ホルモンの分泌は増えます。活用しない手はありません。


老人ホームに入っているすっかり枯れてしまっているようなおじいちゃんでも、意中の人ができると、体も頭もシャッキリするというのはよくいわれる話です。


さらなる性ホルモンの低下を防ぐためには積極的に「脳を使い」ましょう。従来の理論では、男性ホルモンは精巣で、女性ホルモンは卵巣で合成され、血液によって脳に運ばれると考えられてきました。それが、最近の研究で脳内の「海馬」で、独自に合成されていることが分かってきたのです。しかも、海馬が独自につくり出す性ホルモンは、血液によって運ばれてくる性ホルモンより10倍程度も高濃度といわれています。


海馬は「記憶」をつかさどる器官で、わりと簡単に活性化します。なんと失恋でも活性化されるのです。これは、失恋が極めて刺激的な経験だからです。海馬に性ホルモンをつくってもらうためには、刺激のある環境にいることが非常に大切なこととなってきます。


新しいことを体験し、新しい気持ちを持ってください。そして、つねに前頭葉や海馬に刺激を与え続ける。そうしていれば人は、老け込みません。医学的に分かっていることです。


写真=iStock.com/CoreDesignKEY
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■お金は「優雅に、贅沢に」使う


これからは、お金の使いかたを考えたほうがいいと思います。幸か不幸か、ひとりで生きるには余裕があるというのならば、これまでできなかった楽しいことをしてもいいと思うのです。たとえば、夫がお金をたくさん遺してくれた未亡人が、ホストクラブに行ったら楽しかった。だから、ホスト通いをしてみる。それでもいいのではないでしょうか。


もちろん、品のないホストはダメです。40、50代の元一流企業の社員や一流大学卒の「聡明な」男性がおしゃべり相手になるとか、60代の紳士が70、80代のご婦人をエスコートするなんていうホストクラブができたらなぁなどと考えます。


知的ホストのお店が一軒でもあれば楽しいのではないでしょうか。私はすぐにそんなことを考えてしまいます。


何がいいたいかというと、ひとりになったのですから、お金を使って楽しむということも選択しましょうということです。お金には、使えば使っただけ幸せになれるという面もあります。いいお店に行けば「お客さま」と呼ばれ大切にされます。美味しいものを食べれば心も体も満たされるし、映画を観れば感動します。そういった「快」に溢れた生活をするためには、お金が非常に重要なのです。


■普段はパートでも、年に一回は貴婦人に


飛行機のファーストクラスも、ひとりだったら手が届きます。数年に一度の贅沢と考えれば、いけるのではないでしょうか。その贅沢を楽しみに生きればいいのです。


普段はパートのおばさんでも、年に一回は貴婦人になる。そういう暮らしもあり得るわけです。ファーストクラスで海外とまでいかなくても、高級旅館に一泊して寛ぐのもいいですね。ひとりだからこその楽しみです。考えるだけでワクワクしてきます。


まずは、楽しむことを覚えてください。お金の使いかたには、メリハリをつけるのがスマートです。節約してばかりでは息が詰まります。普段は千円の食事でも、月に一度、一万円の食事をすることを目標としてもいいでしょう。


お金のことは思い詰めて考えると苦しくなります。これからは、引き換えに得られる心の安らぎのほうを注視してもいいと思うのです。お金は自分の幸せのために使うものです。財産というかたちで何かしらを遺そうとすると、トラブルが生まれます。そんなことより、今、生きているうちに、楽しい思い出をつくったり、自分自身の心が豊かになることにお金を使うのです。


■老後資金や子供のことばかり考えるのはNG


美容や審美歯科、ホルモン補充療法、サプリメントと、これから楽しもうと思ったらお金がかかります。服を新調したり、美味しいものを食べにいったり、旅行や趣味にいそしむのにもお金がかかる。脳の老化予防のために勉強するのにも、恋愛や遊びをするのにもお金は必要になってきます。かけられるお金があるなら、今こそかけるべきなのです。



和田秀樹『死ぬのはこわくない』(興陽館)

ヨボヨボになってから高額なサプリメントや健康食品を買い込む高齢者はたくさんいますが、はっきりいって遅すぎです。70代になってから慌てても、効果はそれほど期待できません。


これからの人生をご機嫌に過ごすために必要なポイントは「自分を愛する気持ちを持つこと」です。自分を愛する気持ちは、このままの自分で大丈夫という自己肯定感を高め、将来への過剰な心配や不安を消していきます。お金はそのために使うのです。今が、お金のかけどころだと心得ましょう。贅沢には「似合う年代」というものがあるのです。


あなたのお金はあなたのものです。老後の資金や子供のことばかり考えて、ちまちまとした生活をするのはやめましょう。


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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
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(精神科医 和田 秀樹)

プレジデント社

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