生産者の労働条件とアニマルウェルフェアを消費者価値に転換するコンセプト開発

2025年3月10日(月)17時17分 PR TIMES

−明治大学加藤拓巳専任講師とCCCMKホールディングス株式会社の共同研究成果をAmerican Marketing Association Winter Academic Conference等で発表

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明治大学商学部の加藤拓巳専任講師とCCCMKホールディングス株式会社との共同研究成果がAmerican Marketing Association Winter Academic Conference 2025と11th International Symposium on Affective Science and Engineeringで発表されました。
消費者はエシカル商品に前向きな態度を示しながら、実際に購入することは稀です。この言行不一致の理由としては、調査環境で誘発される社会的望ましさバイアス*と、実環境での価値の不明瞭さが考えらます。そこで、本研究では、この乖離を解消し、エシカル消費を促進するために、エシカル要因を消費者価値に転換するコンセプトを開発・実証しました。
*社会的に望ましいと考えられている選択肢を選ぶという心理的な圧力


本研究のポイント
- 消費者は、社会問題に配慮した商品の購入に前向きな態度を表明していながら、実際の購入行動はそれと合致しないことが多い。エシカル商品に対する消費者調査の結果は意義の乏しい予測因子とさえ言われる。この状況は、中国、 タイ、アメリカ、イギリス、ドイツなど世界共通である。よって、エシカル消費の態度と行動の乖離の解消は重大な課題となっている。
- 上記の乖離が生まれる理由としては、調査環境では社会的望ましさバイアスによって肯定的な態度が 引き出され、一方で実環境ではエシカル商品の便益の曖昧さと価格の高さによって否定的な行動を引き起こしていることである。
- この乖離を解消するためには、2つのアプローチが必要である。1つ目は、調査目的を「エシカル消費」であることを回答者に開示せずに、かつエシカル要因だけでなくて対象商品の主な要因を網羅して購入態度・行動への影響を評価することである。本研究にて、エシカルチョコレートの要因を網羅的に検証した結果、エシカル要因はロイヤルティに負の影響を示した。つまり、調査環境でも社会的望ましさバイアスの影響を受けずに、実態に即した結果が得られることが確認された[1]。
- もう1つのアプローチは、エシカル要因を消費者価値に転換するコンセプトを開発することである。これまでのエシカル商品は利他的動機の訴求が中心であったが、それは消費者個人にとっての価値にはなりにくい。消費者にとっての価値を示すには、利己的動機への訴求が必要である。そこで、本研究では、生産者の労働条件とアニマルウェルフェアを消費者価値に転換するコンセプトを策定・実証した。
- 生産者の労働条件:劣悪な労働環境、あるいは児童の強制労働でのカカオ生産を容認しないということは、優れた労働環境で専門家・職人が丁寧に手入れをして作られたカカオを採用していると考えられる。このコンセプトは、自動車メーカーやファッション業界で頻繁に採用されるクラフトパーソンシップ(クラフトマンシップ)の論理を適用したものである。エシカルチョコレートで検証した結果、貧困・児童労働の問題解決よりも、労働条件の良さがもたらす商品品質を訴求する方が商品の魅力を高めることを実証した[1]。
- アニマルウェルフェア:家畜の福祉に対する最近の世間の関心により、ケージフリーで育てられた家畜が増え、「放牧肉」や「平飼い卵」の商品が市販されている。しかし、消費者視点では価値が不明瞭な状況にある。ケージフリーシステムの家畜は運動量が多いため、肉の脂肪分が少ない傾向がある。これは、「潮流の速い鳴門海峡で育った鳴門鯛は身が引き締まって美味しい」という論理と同じである。牛肉で検証した結果、アニマルウェルフェアを訴求するよりも、それによる商品特性を訴求するコンセプトの方が商品価値を高めることを実証した[2]。


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出典:
[1] Kato, T., Yuasa, C., & Takita, N. (2025). Mechanism of the attitude-behavior gap in ethical consumption and concept development to increase the value of ethical products. Proceedings of the 2025 American Marketing Association Winter Academic Conference, 1338-1340. https://www.ama.org/wp-content/uploads/2025/02/2025_AMA_Winter_Proceedings_Feb-7-2025.pdf
[2] Kato, T., Yuasa, C., & Takita, N. (2025). Proof of concept to increase the perceived value of ethical produce. Proceedings of the 11th International Symposium on Affective Science and Engineering, 1-4. (in press)

この記事に関連するページ
CCCMKホールディングス Vみんなのエシカルフードラボ(https://ethicalfoodlab.tsite.jp/)

加藤拓巳専任講師ホームページ(https://takumi-kato.com/)

加藤拓巳専任講師の研究紹介記事「マーケティングとは、販売を不要にする価値づくり」(Meiji.net)(https://www.meiji.net/business/vol429_takumi-kato)

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