損保の不祥事がきっかけで販売ルールが大改変!出向者一斉引き揚げで代理店・生保からは怨嗟の声
2025年3月17日(月)6時0分 ダイヤモンドオンライン
損保の不祥事がきっかけで販売ルールが大改変!出向者一斉引き揚げで代理店・生保からは怨嗟の声
『週刊ダイヤモンド』3月22日号の第1特集は「保険大激変」です。旧ビッグモーター問題など、大手損害保険各社で発覚した不適切な保険販売の実態を受けて、保険業法や各種ガイドラインの改正が進んでいます。その影響は生命保険会社や代理店にも波及。保険業界全体が大きな変化に直面しています。特集ではルール改正の最前線をレポート。また恒例の保険のプロ30人が厳選した保険商品ランキングもお届けします。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
続発する個人情報漏洩問題損保は一斉に出向者引き揚げへ
損害保険業界で相次いで発覚している、個人情報漏洩問題。自動車保険などの損害保険商品を販売する代理店から、契約者の個人情報が持ち出されていた。
代理店側の不満は大きく、出向している損保社員らも困惑しているのが実態だ(写真はイメージです) PhotoPIXTA
大手損害保険会社4社が漏洩させた件数は、2024年時点で250万件に上り、金融庁から報告徴求命令を受けるに至った。
そのほとんどが契約者情報の二次利用や営業目的ではなかったが、一部の損保では、契約を自社に乗り換えさせる目的で個人情報を取得していた事例があった。加えて、代理店に出向者を数多く送り込むことで、自社商品の優先的な取り扱いを誘引していた実態も明らかにされた。
この問題は損保業界にとどまらず、生命保険業界にも波及。さらに42万件余りの個人情報の漏えいが発覚している。
なぜこれほど多くの漏えいが起こるのか。原因を探ると、脈々と続いてきた損害保険会社から代理店へ出向していた損保社員の存在に行き当たった。
そこで損保会社は、代理店から出向者を一斉に引き揚げることを決定。情報漏洩を未然に防ぐための措置だが、これまで出向者を受け入れて、日々の業務を運営してきた代理店からは、性急で一方的な損保会社の判断に、困惑の声が上がっている。
日本損害保険協会は24年9月19日、出向者派遣に関するガイドラインを策定。出向者の役割は、代理店の内部管理体制の構築やリスクマネジメント体制の強化を目的としたものに限定されることになった。
つまり、顧客企業との関係強化や保険契約の幹事・保険料シェアの維持獲得を目的とした出向は禁じられたわけだ。