暗記だけより効果的…最難関中高一貫校の生徒1000人を教えた英語講師が明かす「英文法をマスターするコツ」

2025年3月19日(水)9時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

英文法が得意な人はどんな学び方をしているのか。マナビメイト代表で最難関中高一貫校の生徒1000人以上に英語を指導してきた渡辺雄太さんは「例えば現在進行形であれば、暗記すべき点があるのは否定しないが、まずは根底に流れるイメージやストーリーを捉えることが大切だ」という——。

※本稿は、渡辺雄太『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

■現在進行形が表す「確実な近い未来」


現在進行形の意味の中心は「途中」「一時的な継続/躍動感」です。現在進行形の用法、ここからさまざまな広がりを見せました。


現在進行形の「一時的な継続/躍動感」のうち、特に「躍動感」に注目してみましょう。ある行為が「躍動感」を伴い「頭の中でいま始まっている」イメージが、「確実な近い未来」につながります。


I am flying to New York next week.
「来週NYに行く予定だ」(確実な近い未来)


上の例文では、「NYに飛行機で飛んでいく」という行為が生き生きとイメージされています。ある行為が既に頭の中で進行してしまうくらい、近い未来のリアルな現実として感じられています。そのため、現在進行形が「確実な近い未来」につながるのです。話者の意識は、矢印の先の方に向いています。


出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

■現在形の「未来」と現在進行形の「未来」の違い


「未来」といえばwillを連想すると思います。ただ、頭の中で既に動き出している分、現在進行形のほうが確信の度合いはずっと高いのです。なお、現在形も「確定した未来」の意味で使われることもあるのでしたね。現在形と現在進行形が表す「未来」は、次のような違いがあります。


● 現在形の「未来」:公の予定/団体行動の予定に多い
● 現在進行形の「未来」:個人の予定に多い


現在形の「未来」は、予定表や時刻表、スケジュール帳など、「現在見てわかる未来」に使用されます。予定表などは、誰が見てもわかる(=皆に共有されている)ことが多いため、「公の予定/団体行動の予定に多い」という傾向につながったのだと考えられます。


ただ、この使い分けはあくまで一般的な傾向です。「公/個人」の基準に当てはまらない例も見かけますので、1つの目安くらいに捉えるのがよいと思います。


■「繰り返し」の意味を含むことがある


現在進行形は「繰り返し」を意味に含むことがあります。たとえばHe is knocking on the door.は、「ノックしている」シーンを切り取っています。「コン、コン、コン」と、同じ動作を繰り返すイメージです。


現在進行形がalways「いつも」などとセットで使われると、「繰り返し」の意味が強調されることがあります。alwaysが加わることで「一時的な継続」が何度も繰り返されるイメージにつながるのだ、と考えればよいでしょう。現在進行形が、「いつもある行為を繰り返している」という意味につながります。


一部例外もありますが、非難する意味を帯びやすいのが特徴です。


He is always making the same mistakes.
「彼はいつも同じミスを繰り返してばかりいる」(繰り返し)


出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

■「die/死ぬ」は「死につつある」になる


「状態などの変化/ある時点での到達」を意味する動詞には注意が必要です。「〜している」ではなく、「〜しつつある」という解釈が一般的です。


die「死ぬ」という単語で考えてみましょう。He is dying.は、「彼は死んでいる」という意味にはなりません。「彼は死につつある」という解釈が適切です。


dieは「生→死」への変化を意味する動詞です。たとえば、He died ten years ago.は、10年前に「生→死」という変化があったことを意味します。現在進行形の本質は「途中」でしたね。つまり、dyingは「生→死」の変化の「途中」ということです。「死という到達点に向かう途中」なので、「死につつある」という解釈になります。「到達点への接近(〜しつつある)」という意味を帯びるのです。


He is dying.
「彼は危篤だ(=彼は死につつある)」(到達点への接近)


出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

■「stop/止まる」も「止まりつつある」になる


ほかには、stop「止まる」も同じ性質を持つ単語です。stopは「動→静」の変化を意味します。「静という到達点に向かう途中」ということで、「止まりつつある」という解釈が一般的です。


The bus is stopping.
「バスが停車しつつある」(到達点への接近)


出所=『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

現在進行形で「到達点への接近」につながる単語の代表例は、次の通りです。「状態などの変化/ある時点での到達」を意味する動詞が並びます。現在進行形では「〜しつつある」という意味を帯びるのがふつうです。


現在進行形で「到達点への接近」となる主な動詞
● arrive「到着する」
● become「〜になる」
● die「死ぬ」
● fall「落ちる」
● land「着陸する」
● lose「〜を失う/〜に負ける」
● stop「止まる」

もちろん、あくまでこれは原則です。文脈次第では、主語が複数になると、「繰り返し」の意味を帯びることもあります。この場合、「〜している」という解釈が成り立ちます。



渡辺雄太『英文法は語源から学べ!』(SBクリエイティブ)

All over the world, people are dying from hunger and war.
「世界中で、人々が飢えや戦争で死んでいる」(繰り返し)


主語がpeople「人々」と複数人であるため、「Aさんが死んで、Bさんが死んで、Cさんが……」と、dieを繰り返し起こる出来事としてとらえています。「生→死」という変化の「繰り返し」が意味として出ているのです。


現在進行形の意味は多様で奥深いので、「○○という単語なら△△という用法」のように、一問一答では対応しきれません。


暗記すべき点があるのは否定しませんが、まずは根底に流れるイメージやストーリーを捉えることがとても大切です。


----------
渡辺 雄太(わたなべ・ゆうた)
マナビメイト代表
県立山形南高校を卒業後、1年の浪人を経て東京大学へ進学。大学4年時の夏には、学内プログラムに選抜されUC Berkeley心理学研究室に留学するが、エネルギー企業への就職を選択。国際石油資本や海外の国営企業を相手に、年間数百億円規模のLNG取引の交渉を担当。その後、浪人時代の経験から、教育業界へ身を投じる。以降、首都圏にて、東大/医学部等を志望する最難関中高一貫校の生徒千人以上に英語を指導。そのかたわらで「N先生」のネーミングで『死ぬほどわかる英文法ブログ』を開設し、最高22万PV/月を達成。一般読者からは「理解が深まる」「面白すぎて周りの友人に宣伝した」との声多数。クオリティの高さから、プロ講師の間でもしばしば言及される存在となる。Udemyでは30以上の講座を展開し、その大半がUdemy Business(上位数%の講座)に選出。わずか1年で上位人気講師に名を連ねる。受講者数はのべ8万人を突破。語源やイメージを大切にした講座は、「深いのにわかりやすい」「学生時代に受講したかった」と好評。「N先生」は学生時代の「なべた」というあだ名から。TOEIC満点/英検1級。
----------


(マナビメイト代表 渡辺 雄太)

プレジデント社

「中高一貫」をもっと詳しく

「中高一貫」のニュース

「中高一貫」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ