「あきらめが早い人、遅い人のどちらがいいか」の最終結論…仕事、学業、趣味、恋愛が成就する人の共通点

2025年4月12日(土)16時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/francescoch

諦めが早い人と遅い人は、どちらがいいか。禅僧の枡野俊明さんは「諦めることで心の負担が軽くなり、ストレスが少なくなる一方で、諦めずに挑戦をつづけることは、成功の可能性を最大化させる。どちらがいいかは、仏教における『諦める』の意味を知れば、心にストンと落ちるだろう」という——。

※本稿は、枡野俊明『「し過ぎない」練習』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/francescoch
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■諦めが早過ぎる人の多くは、自己防衛感の強い人


仕事、学業、趣味、恋愛……、何ごとにおいても諦めるのが早過ぎる人がいます。


「どうせ、やっても無理に決まっている」「失敗すると心が折れるから、早くやめておこう」「私には高嶺の花だから告白はやめよう」などと、何もしていないのに、あるいはちょっとやりかけただけで諦めてしまう人です。


諦めが早過ぎる人の多くは、自己防衛感の強い人だと思います。失敗したり、傷ついたりするのが怖いから、「どうせ無理」と思うことで挑戦自体を避けているのです。挑戦しなければ失敗もありませんし、自分も傷つかないということでしょう。


しかし、諦めが早過ぎることには、いろいろなマイナス面があります。


まず最初に「自分には無理だ」と思ってしまうと、自分の力を信じることが難しくなります。「やればできるかもしれない」という気持ちを育てる機会が減ってしまい、自信がつきません。


さらに、自身の成長のチャンスを逃してしまいます。やりつづけることで得られるであろう知識や技術が身につかないままで終わってしまいます。


■諦めることで心の負担が軽くなり、ストレスが少なくなる


当然のことですが、目標達成が遠のきます。目標を達成するためにはたいていの場合、時間や努力が必要です。しかし、すぐに諦めてしまう人は、目標に近づく前に努力をやめてしまいます。勉強やダイエットでも、少しやっただけでは効果が出ないことはおわかりですね。


そして、諦めるのが早過ぎることの最大のデメリットは、周囲に「頼りにならない人」と印象づいてしまうことです。そういうレッテルを貼られたら、頼みごとや大切な仕事を任せてもらいにくくなるでしょう。


では、諦めが早いことのプラス面を考えてみましょう。


まず、ムダな努力を避けられます。どうしても自分に合わないことや、やる価値がないことに時間を使い過ぎないので、他のことにエネルギーを回すことができます。


また、諦めが早い人は、気持ちの切り替えが早く、柔軟で、判断が早いということです。すぐに次のことに向かうことでチャンスが得られ、新しい可能性が広がります。他の方法や選択肢を見つけることもできるでしょう。


そして何より、諦めることで心の負担が軽くなり、ストレスが少なくなるでしょう。無理をしないのは、心の健康にはよいことです。


■一つのことにこだわり過ぎると、大きな可能性を損なうリスク


いっぽうで、諦めが遅過ぎる人もいます。さまざまなことに執着心の強い人だと思います。強い意志や粘り強さは大切ですが、無理をしてつづけることで自身の気力や時間を消耗し、本当に大切なことを見失ってしまう場合もあります。


諦めが遅過ぎる人のマイナス面を考えてみましょう。


目標に向かって努力しつづけるのはよいことですが、どうしても達成できないことや、すでに意味がなくなってしまったことにこだわり過ぎると、貴重な時間やエネルギーを浪費することになりかねません。


一つのことにこだわり過ぎると、他のチャンスや新たな方向性を見いだす機会を逃し、その結果、大きな可能性を損なうリスクがあります。


写真=iStock.com/SunnyVMD
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SunnyVMD

また、無理に継続することで強いストレスや焦りが生まれ、精神的にも疲れ果てます。最悪の場合は、うつ状態になるなど健康リスクも懸念されます。


諦めが遅過ぎることは周囲にも影響します。一人のこだわりや執着に周囲が巻き込まれ、現実的な目標を逸脱して時間を浪費してしまうこともあります。職場のチームや家族の協力関係に悪影響を及ぼすことは当然です。


もちろん、諦めが遅いことにもプラス面があります。粘り強く努力しつづける力があり、その精神力は難しい課題や困難な状況を乗り越える武器になります。諦めずに挑戦をつづけることは、成功の可能性を最大化させます。


そして諦めずに努力をつづけて目標を達成できたなら、大きな達成感や自己肯定感が得られるでしょう。


諦めない人といえば、真っ先に、発明王のトーマス・エジソンが思い浮かびます。


「人生に失敗した人の多くは、諦めたときに自分がどれほど成功に近づいていたか気づかなかった人たちだ」
「私たちの最大の弱点は諦めることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一度だけ試してみることだ」


彼は、諦めの遅さを、このようにポジティブにとらえています。


■仏教の教え「諦めるとは、明らかにすること」


さて、諦めが早い人と遅い人、どちらのほうがよいのでしょうか——。



枡野俊明『「し過ぎない」練習』(クロスメディア・パブリッシング)

仏教における「諦める」の意味を知れば、心にストンと落ちるかもしれません。


日常で使われる「諦める」は、「断念する」「放棄する」というネガティブな意味ですが、仏教では「諦める=明らかにする」ということですから、「真理(ものごとの真実)を知る」というポジティブな意味があります。


ものごとを冷静に見つめ、真理をはっきりと明らかにさせたうえで、真理に合わないものは捨てる——その「手放す勇気」が、ものごとを正しい方向に導いてくれるということです。


真理を明らかにすれば、諦めが早いも、諦めが遅いも、ポジティブにとらえることができます。


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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。
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(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)

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