なぜデキる人は忙しくてもメールの返信が速いのか…凡人とは違う「突然できた5分」でしている仕事の中身

2025年4月19日(土)8時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tippapatt

忙しく時間がない中で仕事をバシバシ進めるにはどうすればよいか。ITコンサルタントの江村出さんは「日常におけるスキマ時間をうまく使って仕事を進めるとよい。『活用するほどのスキマ時間がない』と思った方も、誰もが意外なほど多くのスキマ時間を隠し持っている」という——。

※本稿は、江村出『仕事を上手に圧縮する方法 仕事時間を1/5にして圧倒的な成果を上げたITコンサル流 仕事の基本』(日経BP)の一部を再編集したものです。


■優秀な人は「スキマ時間の使い方」がうまい


あなたの周りにいる優秀な人に注目してみてください。いくつもの会議に呼ばれ忙しいはずなのに、すぐにメールの返信がきて、資料もいつの間にかできているという人はいませんか? そういう人は、急な相談にも親身になってくれて、いいアイディアをくれたりするものです。


一方、多くの人は1日のスケジュールがギッチリ詰まっていて、圧倒的に時間が足りていないという状況に陥りがちです。会議で忙しく、資料をつくる時間も足りず、パツパツで余裕がなくて苦しい……。あなたもこのような状況になってしまってはいないでしょうか。


両者は同じように時間がないはずなのに、どうしてこのような違いが生まれるのでしょうか?


優秀な人が優秀たるゆえんの1つに、日常における「スキマ時間の使い方」が非常にうまいということが挙げられます。デキる人はわずかな時間も無駄にしません。


会議と会議の合間に資料をつくったり、人を待っている間にメールをさばいたり、少しでもチャンスがあるなら小さな仕事をバシバシこなしているので、塵(ちり)も積もれば山となり、気づいたら仕事がどんどん前に進んでいるのです。


みなさんは、少し時間が余ったときに「ちょっと休憩しよう」としていませんか? 少しの時間はむしろ、小さなタスクをこなすチャンスです。スキマ時間をフル活用して、確実に成果を上げていきましょう。


写真=iStock.com/Tippapatt
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■どんな局面でも「話は2分」で


スキマ時間は、人との会話にも適しています。ちょっと聞きたいことや連絡したいことであれば1往復前後のやりとりで終わるので、サッと済ませてしまいましょう。


スキマ時間に人に話しかけるにあたり、私がいつも気をつけていることがあります。それは「たとえどれだけ複雑な話をしたくても、2分以内に話す」ということです。


なぜ2分かというと、それは、2分で伝えられるくらいが情報量としてちょうどいいからです。


■2分で簡潔に話すコツ


私たちは、何かを伝えようとすると、「相手に背景を伝えなきゃ」「○○さんの発言も伝えなきゃ」「懸念もちゃんと伝えなきゃ」など、様々な情報を付加したくなります。しかし、情報を増やすほど相手に伝わるようになる、というものではありません。


そもそも話が長いと相手はうまく理解できません。また、スキマ時間での会話は、そのタイムリミットが来れば中断するしかありません。あとでまた同じ話をしなければいけないとなると、かえって時間がもったいない、ということになってしまいます。


2分で簡潔に話すコツは「①何のトピックか」「②自分の意見は何か」「③相手に求めるアクションは何か」の3つを端的に話すことです。目安は①②③それぞれ30秒くらいにまとめるといいでしょう。


写真=iStock.com/PrathanChorruangsak
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PrathanChorruangsak

■「スキマ時間」は誰にでもある


この項目を読んで、「活用するほどのスキマ時間がない」と思った方も、もしかしたらいるかもしれません。しかし、普段の仕事において、誰もが意外なほど多くのスキマ時間を隠し持っています。


例えば、「会議と会議の間の30分」「会議が早く終わったときの、残りの15分」「会議へのメンバーの参加が遅れていて、待っている5分」など。会議あれば必ずスキマ時間ありといってもいいほど、会議とスキマ時間はワンセットです。


もし、スキマ時間を使わないとどうなってしまうでしょうか? 会議だらけの日であれば、18時頃からようやく、たまったメールをさばくことになるでしょう。メールの内容がわかりづらくてチャットや電話で聞きたいと思っても、相手はすでに帰宅していて連絡がつかない、なんてこともあり得ます。そうなれば、翌日にやりとりを再開することになるので、仕事のスピードが一気に下がってしまいますよね。


会議だけではありません。「提出した資料に上司が目を通してくれている30分」「コピー機の順番待ちをしている5分」「ひと仕事終えてランチタイムまでの15分」など、おそらくスキマ時間は至るところにあるのではないでしょうか。積み上げると、1日に1時間や2時間にもなっているはずです。


このわずかな時間を無駄にしてはいけません。スキマ時間ができたら、むしろラッキーと思って、ここぞとばかりに小さなタスクをさばいてしまいましょう。長時間労働回避のカギは、日中のタスクのスキマで、できるだけ、やるべきことをこなしておくことにあるのです。


■スキマ時間の「やること」は所要時間で考える


では、実際にスキマ時間で何ができるものでしょうか? 「30分」「15分」「5分」のそれぞれのケースで、ITコンサルの中でも優秀といわれている人たちから学んだ時間の使い方をお伝えします。


【実践①】30分でできること
・資料の骨子をつくる(ラフでもいいのでつくりきる)
・情報を整理する(そして1つでも新たな見解を出す)
・緊急かつ重要な課題をディスカッションする(次のアクションを決めきる)


30分のまとまった時間があれば様々なことができます。5分ずつの細かいタスクをたくさんこなすために使うのではなく、「一気通貫」でやりきれるタスクにあてると大きな効果を得られます。ポイントは、ただ作業にあてるだけでなく、何かしらの結果(新たな見解や次のアクションなど)を出すこと。


ひとまとまりの時間だからこそ、少し複雑な物事に取り組むチャンスです。


【実践②】15分でできること
・メールに返信する(相手にボールを渡す)
・前の会議を整理する(自分のタスクへの落とし込み)
・明日の予定を組み立てる(作業のスピードアップ)


15分あれば、何か1つの「部分作業」を完結させることができます。頭の中で整理した物事をまとめて文章化したり、相手から受けたメールに回答することもできるはずです。


メールは、あなたが受け取った状態で置いておいてしまうとボールを持ったままになり、物事が前に進まなくなってしまいます。スキマ時間には積極的にメールを返信し、さっさと相手のマターにしてしまいましょう。そうして次の会議が終わった頃に相手からの返信が来ていれば、さらに話を進めることができます。


15分のスキマ時間を活用して「遅かれ早かれやらなければいけないこと」をさっさと終わらせて、自分を身軽な状態に整えておきましょう。


写真=iStock.com/Pornpimone Audkamkong
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Pornpimone Audkamkong

■たった5分でもできることはある


【実践③】5分でできること
・メールを読む(アクションが不要なものを一読)
・会議を設定する(雑務の一端)
・次の発表の準備をする(成果を最大化するための一手)


5分でできることは単発モノです。たまったメールのうち、返信が不要な読むだけのものに目を通しておくとか、会議を設定するという雑務が適しています。


あるいは、その後の会議があなたにとって重要な発表の場であれば、話し方を整理しておく時間にあてることも効果的です。


5分という時間は案外短く、あっという間に過ぎてしまいます。しかしそれでも、6回積み上げれば30分に。この小刻みの時間をうまく使えると、驚くほど速く物事が進むようになり、定時後に早く帰宅できるようにもなるはずです。


■スキマ時間内に終わらないことは始めない


30分、15分、5分のスキマ時間を使うときに注意しなければいけないことは、「どれくらいのスキマ時間が確保できるかを見極めること」と、「その時間内に見込んだ作業は必ず終わらせること」です。


これを言い換えると、「そのスキマ時間内に終わらないことは始めない」ということになります。


例えば会議の遅刻者を待っているとします。このとき、その人がいつ来るかもわからないのに長文のメールを書き始めてしまうのは悪手です。というのも、その人が参加した瞬間に作業が強制的に中断されることになり、あとで再開する際にまた「読み直し」や「再整理」といった手間が生じてしまうからです。



江村出『仕事を上手に圧縮する方法 仕事時間を1/5にして圧倒的な成果を上げたITコンサル流 仕事の基本』(日経BP)

あるいは、15分しかないとわかっているときに難しいことを検討し始めてしまえば、頭の中での整理だけで手いっぱいになり、何のアウトプットも出ないまま時間が過ぎてしまいます。そうなれば、次は思い出すところからの再開です。


こうした二度手間を生んでしまえば、せっかくのスキマ時間をうまく活用できているとはいえません。


優秀な人はスキマ時間を正しく見極め、その時間でできる適切なタスクをうまく当て込んでいるために、どんどん仕事を進められているのです。


みなさんもスキマ時間の使い方の精度を上げて、定時内でこなせる作業量を格段に増やしましょう。


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江村 出(えむら・いづる)
EYストラテジー・アンド・コンサルティング アソシエートパートナー
慶応大学卒業後、アビームコンサルティングを経て、デロイト トーマツ コンサルティングに入社。現在は、EYストラテジー・アンド・コンサルティングのアソシエートパートナーとして従事。ITコンサルタントとして業界を問わず数多くの大企業の改革をリード。2021年に国内大規模ITイベントに登壇し1200名に講演。2023年には新規ビジネスの提案力と推進力が評価され「BTPチャンピオン」を受賞。また、Udemy講師としてITとコンサルの育成講座を展開中。
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(EYストラテジー・アンド・コンサルティング アソシエートパートナー 江村 出)

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