「お金に強い親子」は食卓での会話が違う…将来、お金に困らない子どもを育てる親の「日常のひとこと」
2025年4月21日(月)8時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
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■お金の使い方を教えるのは「親の役目」
お金のことは誰が教えるべき? アクサ生命が高校生の子どもを持つ30〜69歳の男女計1000名に尋ねた調査結果によると、【お金の使い方】においては、97.1%が親の役目だと回答していることがわかりました(※出典:アクサ生命保険株式会社「金融経済教育とライフマネジメント®に関する調査 2023」)。
家庭でお金について話す時間を作ることは、子どもの金銭感覚や価値観を育てるために非常に大切です。しかし、小、中、高校生……と、学年が上がるにつれて、学校や習い事や友だちとの交友関係や部活が優先となり、家族とのコミュニケーションが疎かになりがちです。
ただ、家庭でお金の話をすることは、子どもの価値観や判断力や将来の自立にも大きな影響を与えます。親も子も忙しい中、日常の中で無理なくシチュエーションごとに家庭で「お金の話をする時間」を捻出する具体的な方法をご紹介していきます。
■車で100km走るにはいくら必要?
①買い物の場面を利用
スーパーやコンビニで、商品を選ぶ時にお金の使い方を話す。
〈例〉
▪ 「このジュースは150円、こっちは牛乳だけど100円。どっちにする?」
▪ 「セールで買うとどのくらい安くなるかな?」
②移動時間を使う
車や電車での移動中に、お出かけ中に発生した簡単なお金の話題を持ち出します。スーパーの帰りに、買ったものの話をするのもいいでしょう。
〈例〉
▪ 「電車賃は一人500円だから、家族全員でいくらかかるかな?」
▪ ガソリンスタンドで「車を100km動かすにはこれくらいのガソリン代が必要だよ」
■夕食代を節約する方法を親子で考える
③食事の時間を活用
家族がそろう夕食時に、「今日の買い物で何を買ったか」「いくら使ったか」など、日常の支出を話題にします。
〈例〉
▪ 「今日の夕食は全部で1000円で作れたよ。これを節約するにはどうしたらいい
と思う?」
▪ 「この1週間で使ったお金の中で、何が一番必要だったと思う?」
▪ 「デザートを外で食べたらいくらになるかな?」
④家事をしながら会話する
料理や掃除をしながら、親子でお金の使い方について軽く話し合います。
〈例〉
▪ 「特売セールの日にスーパーに行けば、どのくらい節約できるかな?」
▪ 「洗剤をまとめ買いすると、お金がどのくらい浮くと思う?」
⑤おこづかいのタイミングで話す
毎月や毎週のおこづかいを渡す時に、お金の使い道や貯金の計画について話し合います。
〈例〉
▪ 「今月のおこづかいで何を買いたいの?」
写真=iStock.com/SbytovaMN
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SbytovaMN
■親の「お金の失敗談」が反面教師に
家庭によって「お金の価値観」は違います。このように日常生活の中で、親子でお金の考え方を共有することにより、将来子どもが自立した時に困らないようにします。
価値観を話し合う時のポイント
▪ 正解・不正解はない:「親の価値観を押し付けず、子どもの考えも尊重する」。
▪ 経験をシェアする:「初めて給料をもらった時の喜び」「お金で困ったこと」「お金の失敗談」を語る。
▪ 考え方の違いを認め合う:「お金の使い方に正解はなく、人それぞれ違う」ことを伝える
親の問いかけの例
▪ 「パパとママは、お金は○○に使うことが大事だと思ってるんだけど、××はどう思う?」
▪ 「お金を使う時に、何を大事にしたい?」
ポイントはいくつかありますが、無理のない範囲で増やしていくといいでしょう。あくまで楽しく、家族全員がお金で幸せになる! という目標に向かうように、楽しみながらするのが、効果が高く継続もできるコツです。
■お金の価値観を親子で共有するメリット
お金のワークを通じて、親子の絆を深めることができます。なぜなら、単に金銭管理を学ぶだけでなく、コミュニケーションのきっかけを作り、親子間で価値観や考え方を共有する素晴らしい機会になるからです。
逆に、親子の間でお金を通じた価値観や考えが共有できていないと、お金の不安や心配が発生しやすくなります。お金の不安や心配があると、子どもがやりたいこと(遊び、塾、習い事、部活、留学など)を全力で応援することが難しくなってくるかもしれません。
特に、将来の教育費や生活費、予測できない支出に対する不安があると、子どもに対して「これ以上支出を増やしたくない」「お金が足りなくなるかもしれない」と思うことがあります。
しかし、親子でお金について学んで話すと、「親がどんな仕事をしているのか」「どんな苦労をしてきたのか」などの話につながります。子どもは親に対する理解や尊敬が深まり、子どもからやりたいことをどんどん引き出せるかもしれません。
結果的に、お金を使う目的や貯める目的などについて話し合うことで、親子でお金について考える機会が増えます。そしてチームのような関係になり、親子の結びつきが強くなるのです。
写真=iStock.com/staticnak1983
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/staticnak1983
■「欲しいもの」は本当に必要なものか
そこでまず一つ、子どもの年齢問わず、楽しく短時間でできるお金に強くなるワークをご紹介しますね。
【ステップ1】欲しいものリストを作る
紙とペンを用意し、お子さんに「今欲しいもの」をリストアップしてもらいます。お子さんには、思いつく限り欲しいものを自由に書き出してもらいましょう。この時、欲しいものに制限を設けず、たくさん書いてもらうことが大切です。
具体例)ゲームソフト 漫画 服 本 お菓子 アクセサリー
【ステップ2】本当に必要なものかを考える
リストアップが終わったら、それぞれのアイテムについて「本当に必要なものか?」を考えます。
各アイテムについて、「これを買うことでどんな良いことがあるのか?」を考えてもらいます。そして、「今すぐ必要なものか?」と問いかけ、例えば「これは今の生活に必要なのか、それともただ欲しいだけなのか?」と話し合います。例えばゲームソフトだったら、「新しいソフトを買ったらどんなことができる?」といった具合にです。
■おこづかいで「1つだけ」買うなら…
【ステップ3】アイテムに重要度で順位をつける
次に、リストにしたアイテムについて、「必要度が高い順」または「一番欲しい順」に並べてもらいます。
お子さんに、「一番必要だと思うものはどれ?」「次に必要だと思うものは?」と問いかけ、アイテムに順位をつけます。
〈例〉
1位:新しい本(読むことで勉強になるから)。
2位:服(今の服が小さくなってきたから)。
3位:キーホルダー(新しく発売になっているから)。
櫻井かすみさん『母が子に伝えたい 大切なお金と社会の話』(Gakken)
順位をつけた後、どれから購入するかを決めます。
おこづかいの額や使える金額に合わせて、何を優先的に買うかを決めるのです。例えば、少ないおこづかいで1つだけ選ぶなら、どれが最も価値が高いか、最も必要だと感じるものを選んでもらいます。
〈例〉
▪ 最初に買うもの:服(寒くなってきて、今すぐ必要だから)。
▪ 次に買いたいもの:新しい本(次のおこづかいで買いたい)。
■予算を守りながら計画的にお金を使う
【オプション】予算を立てる
お子さんが予算管理を理解するために、実際の価格を調べてみても良いでしょう。例えば、欲しいものの値段を調べ、予算内でどこまで買えるかを確認します。これらを通じて、予算を守りながら計画的にお金を使う大切さを学びます。
このワークの目的と効果
▪ お金の使い方に対する意識を育てる:「必要なもの」と「欲しいだけのもの」を区別する力を育てます。
▪ 計画的な思考を促す:優先順位をつけることで、計画的に物事を進める力が身につきます。
▪ 予算管理を理解する:実際の生活に即した形で、お金をどう使うかを考える力を育てます。
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櫻井 かすみ(さくらい・かすみ)
ファイナンシャルプランナー
投資の学び舎「トウシナビ」代表。大阪府出身。投資詐欺被害3回、貯金ゼロ、離婚&無職、再婚直後に不妊治療でもっと貧乏に……などドン底を経て、極度のお金恐怖症になるも、4年で1000万円まで貯めることに成功。それから投資を本格化し、純資産は1億円になった。お金の増やし方&守り方を、延べ2000人に直接指導している。SNSフォロワー3万人以上。著書に『投資への不安や抵抗が面白いほど消える本』(Gakken)。
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(ファイナンシャルプランナー 櫻井 かすみ)