自信が持てない無職男性がこれで立ち直った…他人に書いている姿を見られてはいけない「デヘノート」の書き方
2025年4月21日(月)16時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AscentXmedia
※本稿は、杉田隆史『「なんだか生きづらい」がスーッとなくなる本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
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■「どうしたら自信を持てるか」の最終結論
世の中では、歌でも映画でも本でも「自分を信じろ!」みたいなメッセージをたくさん見かけますよね。そういうメッセージが多い理由は、それだけ多くの人が「自信」を持ちたくても持てない、という現状があるからではないでしょうか。
たしかに「自信」とは目には見えないものですが、それが「ある」か「ない」かで、人生が大きく変わってくるような気がします。
あなたのまわりを見渡してみても、自分に自信を持っている人って、同じことをやってもパフォーマンスが高くないですか?
たとえばプレゼンだって、人前で話すことに自信を持っている人と、自信を持っていない人とでは、同じ資料を使って、同じような内容を話したとしても、印象が全然違ってきますよね。自信を持って話している人のほうが、なぜか説得力があるように感じられる。
ということで、ここでは「どうしたら自信を持てるか?」ということについて考えていきたいと思います。
でも、その話の前に、時々こんなことを言う人、いませんか?
「なんか根拠のない自信があって……」
あまり自信がない人から見れば、オメデタイというか、うらやましいですよね。そんなこと言える人。
でも最近、そんなこと言う人に対して、「ちょっと待てよ」って思うようになったんです。その人は「根拠がない」なんて言うけど、それってホントなのかなと。
私は、どんな自信にも必ず「根拠がある」んじゃないか、と思っているんです。
■「根拠のない自信」にも必ず根拠はある
これを一つの例でお話ししてみます。
たとえば、今まで一度も「綱渡り」をしたことのない人がいたとします。その人に「3カ月後に10メートルの綱渡りを成功させる」という課題が与えられて、それについてその人が、「根拠のない自信がある」と言ったとしましょうか。
この話をよくよく考えてみると、この人は、「根拠がない」と言いながらも、じつはしっかり「根拠があって」言っているんじゃないかと思うんです。
この人が「自信がある」と言えるのは、「綱渡り」の経験は一度もないかもしれないけれど、その「綱渡り」に「必要な要素」に対する自信はあるからじゃないかと。
たとえば、もしこの人が大工さんだったら、足場の上を歩いたりすることもあるから、バランス感覚に自信があるのかもしれないし、もしかしたら単に「自分は運動神経がいい」という自信だけで、「綱渡りもできるだろう」と考えているのかもしれないですよね。
また人によっては、バランス感覚や運動神経に対する自信ではなく、「人の技を盗むのがうまい」とか、「目標を達成するノウハウを持っている」とか、そういった自信があるだけでも、3カ月あれば「綱渡りもできる」と思うかもしれないですよね。
そう考えると、本当の「根拠のない自信」というのは、ちょっと考えられないと思うんですよ。
もし、その「綱渡り」に対して、「根拠のない自信がある」と言った人に、
「次のオリンピックに出場して、金メダルを3つ獲ることはできますか?」
と聞いてみたら、おそらく、「根拠のない自信がある」とは言えないと思うんです。
■簡単に自信を育む「ノート」の中身
このように、「根拠のない自信」が、「あると言える時」と「あると言えない時」があること自体、自信には必ず「根拠がある」ってことだと思うんですよね。
もし本当に「根拠のない自信」というものが存在するなら、「どんな課題」が出されても、必ず「根拠のない自信がある!」って言えることになりませんか? 根拠がなくていいわけですから。
ということで、結局「根拠のない自信」の正体とは、
「今までそのことを一度もやったことはないかもしれないけれど、そのことをするのに“必要な要素”に対する自信はある」
そんな状態を本人がうまく言葉にできないから、「根拠のない自信がある」って表現しているんだと思うんです。
ということで「根拠のない自信」にさえも根拠があるようですから、やっぱり自信を持つには、何か「根拠」が欲しいところですよね。
ところが私もそうでしたが、無職の時とか、自分が落ち込んでいる時って、「根拠」になるようなものなんて、なかなか自分では見つけられないんですよ。
でもそんな時、私、いいことを考えついちゃったんです。
「あるもの」を作ったことが、自信を持つキッカケになったんです。
その「あるもの」とは……、
「デヘノート」!
デスノートじゃないですよ。デ「ヘ」ノートですよ。
この「デヘノート」の作り方ですが、友人から言われた言葉やメールの中から、自分に良いことを言ってもらった部分だけを書き出す。これで完成です。
そして、この「デヘノート」を毎日読みます。
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227
その時、込み上げてくるうれしい感情を一切抑えないことが大切です。たっぷりとその感情を味わってみてください。
勢いあまって、マンガのキャラクターが喜んで「デヘ」となっている時のようなアブナイ目になったり、おたけびを上げたり、ヨダレを垂らしたりするのも可です。
(*ただしその姿を人に見られないように充分注意しましょう)
■良い評価を「受け取る」訓練にも
この「デヘノート」を作ったキッカケなのですが、「自分で」自信になるような「根拠」を見つけられないのであれば、「他の人に」見つけてもらえばいいと考えたんです。
他人からのポジティブな評価を「根拠」として、自分の自信を引っ張り上げてもらうわけです。
実際、私がこの「デヘノート」を作ってどんなことが起きたかといえば、友人から良いことを言ってもらえる機会が急に増えたんですよ。
そのわけは、自分が「デヘノート」を読んでうれしかったので、いつの間にか自分が友人に話したり、メールしたりする時に、「相手の良いところ」を言うようになっていたからなんですね。多分、それが自分に返ってきたのでしょう。
悩んでばかりいた頃の私は、友人と会うことなんか月1回あるかないかだったのに、「デヘノート」を作るようになってから、友人と会うこともずいぶんと増えたんですよ。
じつはこの「デヘノート」には、もう一つの役割があります。それは、良い評価を「受け取る」訓練です。
■バカにできない効果を実感できる
私がそうだったからわかるんですけど、自分に自信がない人って、せっかく人から良い評価をいただいても、「そんな、そんな、私なんか」って感じで全然受け取ろうとしないんですね。
でも良い評価を「受け取る」ってことも、じつは「能力」なんですよ。ただ待っているだけでは手に入りません。
杉田隆史『「なんだか生きづらい」がスーッとなくなる本』(三笠書房)
野球のキャッチャーのスキルと同じで、球が飛んできた時、しっかりとミットを構えていないと自分のものにならないんです。
ということで、「デヘノート」は、人の見ていないところで存分に良い評価を「受け取る」訓練もできるわけです。
この「デヘノート」のお話をすると、みなさんから冗談だと思われるんですけど、私は本当にやっていたんですよ。夜中アブナイ目をしながら、デヘデヘして。
やってみると、あなたもバカにできない効果があることを実感すると思いますよ。
——ミットを構えよう、球はすでに飛んできている。
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杉田 隆史(すぎた・たかし)
心理セラピスト、メンタルトラベル代表
1970年東京都生まれ。高校の頃から漠然とした生きづらさに悩み、「心の病気じゃないけどツライ」という状態を20年間続けて、引きこもりも経験。2006年に心理セラピーと出会い、初めて生きづらさから解放されたことをきっかけに、日本における第一人者たちからさまざまな心理セラピーの技法を学ぶ。自らの経験から、「心の病気じゃないけどツライ」という人の受け皿の必要性を感じ、「悩んでいない人の悩み相談」という看板を掲げて、心理セラピーの個人セッション、ワークショップを開催。クライアントは日本国内はもちろん、海外からも訪れ、これまで5000人以上の悩みを聴き、セラピーを行なってきた。
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(心理セラピスト、メンタルトラベル代表 杉田 隆史)