東急不動産と自然電力、営農型太陽光発電事業の新会社を設立
2025年4月21日(月)12時16分 PR TIMES
東急不動産株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:星野浩明、以下 「東急不動産」)と、自然電力株式会社(本社:福岡市中央区、代表取締役:磯野謙、以下「自然電力」)は、営農型太陽光発電事業を共同で開発・推進するための新会社、リエネ自然ファーム合同会社(本社:東京都中央区、以下「新会社」)を設立しましたのでお知らせいたします。また、新会社の第1号案件として、国立大学法人北海道国立大学機構帯広畜産大学(以下「帯広畜産大学」)と北海道自然電力株式会社(本社:北海道札幌市、代表取締役社長 瀧口直人、以下「北海道自然電力」)が実施する共同研究において、定格出力708.48kWの垂直式太陽光発電所を大学敷地内に設置し、その電力を帯広畜産大学に供給する電力供給等契約(以下「本事業」、農地転用許可申請中)を締結いたしました。
■新会社設立の背景と意義
新会社は日本が抱える農畜産業に関する課題、エネルギー産業に関する課題を双方向から解決する事を目指し、設立されました。日本の農地面積は400万ha以上あると言われている一方、全国の農畜産業は後継者不足などによる人材不足に加え、昨今の不安定な国際情勢による肥料価格や燃料価格の高騰といった経営圧迫の課題に直面しており、農地面積が減少傾向にあります。また、国が掲げるカーボンニュートラル達成に向け、地産地消電源として系統を介さず再生可能エネルギー由来の電力を直接活用するオンサイトPPA事業の重要性がより高まっています。特に日本は再生可能エネルギー発電に適した土地が少ないため、農畜産業を維持しながら新たに再生可能エネルギーを生み出せる営農型太陽光発電の導入が注目されています。
一方で、営農と発電を継続できる経営体制や長期安定的な収益性の維持確保といった点で事業モデルが確立されていないことや、日照条件等の変化による収量および品質への影響に関する調査が十分に行われていないことなど、営農型太陽光発電の拡大には解決すべき課題も多くあります。
今回の提携では、東急不動産が持つ営農型を含む再エネ開発力と自然電力の地域に根付いた事業推進力という両社の強みを掛け合わせることにより、地域や農業生産に重点をおいた営農型太陽光発電事業の拡大を目指します。新会社では、今後約2年間で合計10MWの開発を目標に掲げ、農業エリアで発電した再エネ由来の電気を地域の需要家に供給する地産地消モデルの確立を目指します。
■本事業の特徴
本事業は、帯広畜産大学が実施するソーラーシェアリング実証研究の一環として行われ、土地に対して設備の専有面積が少ない垂直式太陽光発電を採用しています。さらに、設置方位によって発電のピークを朝や夕方にシフトすることが可能かつ地面からの反射(特に積雪時)による発電量の向上も見込まれ、従来の営農型と比べ、収益と収量両方の安定的な確保が期待できます。
1 両社(東急不動産および自然電力)調べ
さらに、設置場所である帯広畜産大学の農場運営においても大学と帯広市川西農業協同組合(以下「JA帯広かわにし」)の、持続可能な農畜産業とGXを両立できる環境が整っていることから、本事業実施に至りました。なお、定格出力708.48kWは、垂直式太陽光発電としては国内最大規模1となり、新会社が目指す開発目標のモデル事例として位置付けています。
東急不動産ならびに自然電力は各社のグループ力と協業体制を活かし、新会社を通して、地産地消型の再生可能エネルギー開発事業を推進し、地域に根ざした脱炭素支援に貢献してまいります。
■関係者コメント
帯広畜産大学 学長 長澤 秀行氏
本学は、実証研究を通じて営農型太陽光発電の普及可能性を探り、得られた成果を地域に還元することを目指しています。本事業を通じ、地域農業と再生可能エネルギーの共生に貢献できることを期待しております。
JA帯広かわにし 組合長 足助 博郁氏
本計画は農作業への影響が無いよう協議のうえ設計されているので、帯広の豊かな農業を維持しながら再生可能エネルギーを創出する素晴らしい取組みだと感じています。燃料費なども高騰する中、地域電源としてこのような取り組みが増えることで、地域の農畜産業の支えになることを期待しております。
(参考1)帯広市(十勝地域)の特色
十勝地域は肥沃で広大な耕地を有する国内最大の畑作・酪農地帯です。畑作は大型機械による大規模化が進み、また牛(乳用、肉用)の飼養頭数は北海道で最も多く、日本の食料基地として重要な役割を担っています。日照量は道内で最も多い一方、年間降水量は少なく積雪も少ない傾向であり、太陽光発電に適した気候です。さらに、農地転用が可能な農地面積は約9,500haあることから、再生可能エネルギー、特に営農型太陽光発電の導入ポテンシャルが非常に高い地域といえます。
(参考2)帯広畜産大学との連携に関する経緯
帯広畜産大学と北海道自然電力は、2024年8月に北海道十勝地域のカーボンニュートラルの実現及び持続的発展への貢献に関する連携協定を締結しました[1]。連携協定に基づき実施される共同研究のうち、本格的な大規模化(本事業)に先行して行うパイロット実験(テーマ:垂直型太陽光と傾斜型太陽光の発電量等の比較検証)として、2025年2月に帯広畜産大学構内の実習圃場に5kW(3アレイ)の垂直式太陽光パネルを設置しました[2]。
2 「北海道自然電力と帯広畜産大学、北海道十勝地域のカーボンニュートラルの実現及び持続的発展への貢献に関する協定締結について(2024年8月20日)」https://www.shizenenergy.net/2024/08/20/hse_obihirouniv_agreement/
3 「北海道自然電力と帯広畜産大学、営農型太陽光発電に関するパイロット実験の現地見学会ならびに講演会を開催(2025年2月28日)」https://www.shizenenergy.net/2025/02/28/hse_obihirouniv_onsite_tour/
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/6953/475/6953-475-0ae6fbc37f4387ef46b1666473a95439-994x346.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
写真左:帯広畜産大学のパイロット設備(2025年2月竣工)
写真右:垂直式太陽光発電設備イメージ(2023年12月、自然電力が酪農学園大学敷地内に設置したもの)
【東急不動産について】https://www.tokyu-land.co.jp/
東急不動産ホールディングスグループの中核会社である東急不動産は、太陽光発電や風力発電を中心に、国内全国で145事業・定格容量1,956MW超(2025年3月末基準、開発中案件を含む)の再生可能エネルギー発電事業の展開、そのうち営農型太陽光発電事業は国内全国で10事業・定格容量11MW超(2025年3月末基準、開発中案件を含む)を展開しており、その他複数の自治体においても農業問題とエネルギー問題の双方解決に向けた取り組みを進めております。また、電気事業法に基づく小売電気事業者として登録されているリエネとともに、自ら作った再エネ電気を自ら需要家まで届ける一貫体制を築いています。
【自然電力について】http://www.shizenenergy.net
自然電力は、再生可能エネルギー発電所の開発、EPC、O&M、アセットマネジメントを一貫体制で行い(累計開発実績1GW超)、グローバルテック企業をはじめとした大口需要家に対するコーポレートPPA契約に基づく再エネ電力の供給や、九州・北海道における地域事業会社を核とした自治体・農畜産業・アカデミアや産業界とのネットワーク構築ならびに脱炭素支援に強みを有しています。2024年3月には、北海道のGXを推進し北海道の未来を地域と共に創造することを目指し、「北海道に寄り添い、北海道で挑戦する」の目標を掲げ、北海道自然電力株式会社を設立しました。直近では酪農学園大学(北海道江別市)の敷地内圃場に垂直式太陽光発電設備を設置し、再エネと農業の共生可能性を探る実証実験を行うなど、社会実装に向けた取り組みを推進しています。