だから「食パン、白米」は合理的ではない…中高年は意識して食べたい栄養価が高い"パンとごはんの種類"

2025年4月25日(金)16時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/lily_rochha

年齢を重ねて少食になった際におすすめの食材は何か。管理栄養士の森由香子さんは「日頃からたくさん食べられない人は、無理にたくさん食べようとすると胃もたれや下痢を起こして、余計に少食になってしまう。そういう方は、一般的なダイエットと反対の考え方で食品を選ぶといい」という——。

※本稿は、森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/lily_rochha
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■むく手間が減って栄養価が上がる「りんごの新しい切り方」


さまざまなビタミン類はもちろん、抗酸化作用が高いカロテノイド類やポリフェノール類などが豊富な果物。


果物に含まれる果糖は中性脂肪になりやすいため、果物のとり過ぎに注意が促されましたが、食べ過ぎなければ、重要な栄養源になることは間違いありません。ぜひ毎日、200gくらいは食べていただきたいと思います。


果物といえば、みかんと共にどこのご家庭でもよく食べられているのが、りんごでしょう。ただ、栄養相談でお話をうかがっていると、「りんごは好きだけれど、だんだん皮をむくのが面倒になってきて、食べなくなった」とか、「家族が出してくれれば食べるけれど、自分からは食べなくなった」という方が増えているようです。


確かに、りんごの皮をくるりとむいてカットして芯をとるのは、ちょっと面倒ですね。


そこでご紹介したいのが、皮をむく手間が省けて、しかも栄養価もアップする、最近話題のりんごの切り方です。


青森県で「スターカット」と呼ばれている切り方で、洗ったりんごをカッティングボードの上に横に置き、そのまま包丁で薄切りにしていくのです。


厚さは3〜5ミリくらいが食べやすくておすすめです。輪切りにした中心が星のマークに似ていることから、この名前があります。


こうすると、切るのは簡単ですし、サクサクと手軽に、芯ぎりぎりまで食べられます。皮も細いので食べてもほとんど気になりません。果物の皮には、ポリフェノール類や食物繊維がたくさん含まれていますし、果肉の栄養も皮に近いほど多い傾向があります。


皮には免疫力向上や腸内環境を整える力があると考えられている酢酸菌も豊富なので、むかずに食べたほうが、何かと体に良いのです。


りんごだけではなく、なし、洋なしなどでもお試しください。


■炭水化物の補給は「ごはん」の代わりに「かぼちゃ」を


少食の方の中には、「ごはんを炊くのが面倒」「そもそも、ごはんがあまり好きではない」という人が、ときどきいらっしゃいます。一時流行した糖質制限の影響もあって、炭水化物は体に良くないと思っている方もいらっしゃいます。


しかし、ごはんなどの炭水化物は、私たちの大事なエネルギー源です。炭水化物が不足していると、脳も体もしっかり働いてくれません。知らず知らずのうちに運動不足が加速し、骨や筋力も衰えていきます。


また、エネルギー不足のまま運動などしてしまうと、体は足りないエネルギーを、筋肉を分解することで得ようとします。ですから、筋肉維持のためにも、炭水化物を摂ることは重要なのです。


それでもごはんを炊くのが面倒という人、ごはんだとすぐお腹がいっぱいになってしまうという人は、ごはんの代わりに、かぼちゃで炭水化物を補給してはいかがでしょうか。


かぼちゃは「糖尿病食事療法のための食品交換表」では、野菜ではなく炭水化物の扱いです。


その上、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンEといった抗酸化作用のある栄養素や、腸内環境を整えてくれる食物繊維までしっかり摂れます。


写真=iStock.com/kaorinne
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kaorinne

■冷凍かぼちゃにツナ缶で和えるだけでOK


もちろん生のかぼちゃでも良いのですが、おすすめは市販の冷凍かぼちゃ。生のかぼちゃは硬くて調理しにくいですが、冷凍かぼちゃは食べやすい大きさにカットしてあるので、必要な量だけ器に入れて、レンジで温めるだけですぐに食べられます。


何も味をつけずにごはんの代わりにして、ほかのおかずと一緒に食べましょう。和食のおかずがあって、「パンだと合わない」というときにも便利です。


また、時間がない朝は、冷凍かぼちゃを電子レンジであたため、ツナ缶で和えていただくだけでもOK。ツナ缶はオイル入りを使用しましょう。これだけで、炭水化物、たんぱく質、脂質が摂れ、エネルギーが補給できます。


■少食の人が選びたい、“栄養価”が高い食品とは


日頃からたくさん食べられない人は、無理にたくさん食べようとすると胃もたれや下痢を起こして、余計に少食になってしまいます。


そういう方は、少量でもしっかりエネルギーやたんぱく質が摂れる栄養価が高い食品やメニューを選んで、食べられる量だけ食べるようにしましょう。


たとえば、食パンよりクロワッサン、ごはんよりチャーハンやピラフやリゾット、ざるそばやかけうどんより天ぷらそばやきつねうどんを食べたほうが、エネルギーを少量で効率良く補給できます。


要するに、一般的なダイエットと反対の考え方で食品を選べばいいのです。普通の人は、エネルギーの摂り過ぎに注意を払う必要がありますが、少食の人は食べる全体量が少ないので、エネルギーをしっかり摂れるメニューを選ぶべきです。


もちろん、どうせ食べるなら、たんぱく質もより多く摂れるメニューが理想的です。



森由香子『60歳からの「少食」でも病気にならない食べ方』(青春出版社)

たとえば、ペペロンチーノよりミートソース、湯豆腐より麻婆豆腐、ポテトサラダより卵サラダ、フルーツサンドよりツナサンド、山菜うどんよりもけんちんうどんといった具合です。


たんぱく質といえば、肉や魚、卵、大豆・大豆製品が真っ先に頭に浮かぶと思いますが、実は、野菜や果物にもたんぱく質が豊富なものがあります。ブロッコリー、枝豆、グリンピース、ほうれん草、大豆もやし、カリフラワー、かぼちゃ、アボカドなどです。


副菜に1品プラスするなら、小松菜のおひたしよりほうれん草のバター炒め、さといもの煮物よりかぼちゃの煮物、トマトサラダよりアボカドサラダなどなど……。メニュー選びの際の参考にしてみてください。


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森 由香子(もり・ゆかこ)
管理栄養士
日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。
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(管理栄養士 森 由香子)

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