「マイルド」ハイブリッドは「なんちゃって」扱いされるワケ トヨタプリウスはじめ「ストロング」との違い

2025年4月26日(土)16時0分 J-CASTニュース

ハイブリッドカーにはいろんな分け方がある。まず、マイルドとストロングの違いは、簡易的なハイブリッドと本格的なハイブリッドの違いだ。

マイルドハイブリッドとはモーターの出力が控えめ(マイルド)なハイブリッドカーのことだ。ISGと呼ぶモーター機能付き発電機を搭載し、発進時などエンジンが苦手な領域をモーターがアシストする。エンジンをかけずにモーターで発進するが、ある一定の速度になるとエンジンが始動する。搭載するバッテリーも小さいのが一般的だ。

「48Vハイブリッド」と呼ぶことも

これに対してストロングハイブリッドは、文字通り力強いモーターとバッテリーを積んでいる。一般に発電用と駆動用のモーターを持ち、エンジンを停止したまま、一定の距離をモーターだけで走ることができる。

このため、トヨタプリウスなど本格的なストロングハイブリッドから見ると、簡易的なマイルドハイブリッドは「なんちゃってハイブリッド」ともいえる。

一般的な車載バッテリーの電圧が12Vなのに対して、マイルドハイブリッドのバッテリーはモーターを駆動するため48Vまで電圧を上げている。このため自動車メディアではマイルドハイブリッドを「48Vハイブリッド」と呼ぶことがある。

しかし、本格的なストロングハイブリッドのバッテリーは、高出力のモーターを駆動するため、通常は200V以上だ。日本の自動車メディアはマイルドハイブリッドを「48ボルトカー」などと呼ぶが、ストロングハイブリッドを「200Vカー」などと呼ばない。

これはマイルドハイブリッドが簡易的な「なんちゃってハイブリッド」であることを隠すため、敢えて48Vというマイルドな言葉に置き換えているのだと、大手自動車メーカーのエンジニアから聞いた。

エンジンが主体でモーターはアシスト役のパラレル式

これに対して、日産のe-powerはエンジンを発電専用に使い、モーターだけで駆動する。エンジンの力は直接、タイヤには伝わらない。これはシリーズハイブリッドと呼ばれる。

これに対して、エンジンで発電しながらバッテリーに充電、モーターを駆動するが、エンジンでも走行する通常のハイブリッドはパラレルハイブリッドと呼ばれる。

この区分だと、マイルドハイブリッドもストロングハイブリッドもパラレル式となるが、マイルドハイブリッドをパラレル方式、ストロングハイブリッドをスプリット方式と呼ぶこともある。パラレル方式はエンジンが主体で、モーターはアシスト役に徹するという意味だ。

スプリット方式はエンジンとモーターを使い分けることを意味するが、エンジンで発電しながらモーターだけで走ることができることから、シリーズ・パラレル方式とも呼ばれる。

このあたりは、ちょっと話がややこしい。SUBARU(スバル)は自社のストロングハイブリッドを「状況に応じて動力源であるエンジンとモーターを効率よく使い分けるシリーズ・パラレル方式」と説明している。

ハイブリッドは大きくシリーズ方式とパラレル方式の二つに区分されるはずだ。このため筆者はスバルのエンジニアに「ストロングハイブリッドはパラレル方式であって、シリーズ・パラレル方式という表現は矛盾していないか」と質問したことがある。

スバルのエンジニアは「エンジンで発電しながら、エンジンだけでなくモーターでも走るので、シリーズ・パラレル方式のストロングハイブリッドだ」と解説したが、筆者にはわかりにくかった。ハイブリッドの定義には、いろいろあるのが現状だ。

ハイブリッドには大きくシリーズ方式とパラレル方式があり、パラレル方式にマイルドとストロングがあると考えるべきだと思う。バッテリーに外部から充電できるプラグインハイブリッドもパラレル方式のストロングに含まれる。そう考えるのがユーザーには最もわかりやすいのではないか。

(ジャーナリスト 岩城諒)

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