トランプ関税で保護のはずが…2万人削減のUPS「百年に1度のリスク」、アマゾンは余儀なく方針転換

2025年4月30日(水)19時47分 読売新聞

米アマゾンのトラック(2021年4月、米フィラデルフィアで)=AP

 【ニューヨーク=小林泰裕、ロンドン=中西梓】トランプ米大統領が繰り出す政策を巡り、世界各国の企業が対応に追われている。トランプ氏が関税で保護しようとしているはずの米国企業でも、経営方針や計画の見直しを迫られたり、人員削減や損失の計上を余儀なくされたりする例が相次ぐ。

 米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは29日、自社の通販サイトで一部商品を対象に、輸入の際にかかった関税額を表示する案を検討していたが、撤回すると発表した。

 米メディアがこの案を報じると、トランプ政権の報道官は「敵対的で政治的な行為だ」と強く非難した。トランプ氏も、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏に直接電話をかけて不満を表明したという。

 アマゾンは関税額を表示することで、値上げへの理解を消費者から得る思惑だったとみられるが、政権からの圧力を受けて方針転換を余儀なくされた模様だ。

 米物流大手UPSは29日、年内に2万人の人員を削減すると発表した。世界の従業員数の約4%に相当する。アマゾンからの委託業務の縮小に伴う措置と説明しているが、関税による貨物減少を見込み、前倒しでコスト削減に着手したとの見方も出ている。

 UPSは中国発の通販サイト「シーイン」など、中国から米国に輸出される貨物の配送も多い。キャロル・トメ最高経営責任者(CEO)は29日、「世界は100年に1度の大きな貿易リスクに直面している」と話した。

 自動車業界も混乱している。米ゼネラル・モーターズは29日に予定していた決算説明会を5月1日に延期する。2025年の業績見通しについて、トランプ政権が発表した自動車関税の軽減策などの影響を踏まえて修正するという。欧州ステランティスと独メルセデス・ベンツも30日、25年12月期の業績見通しを撤回すると発表した。

 また、米半導体大手エヌビディアは15日、米国の対中半導体規制の強化に伴い、25年2〜4月期決算で最大55億ドル(約7900億円)の損失を計上する見込みだと発表した。米アップルも米国向けiPhone(アイフォーン)の生産国を中国からインドに切り替える方針と報じられている。

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