トランプ支持者、移民対策に称賛「治安守っている」…関税政策では世論厳しく
2025年5月1日(木)8時47分 読売新聞
29日、米ミシガン州デトロイト近郊で、支持者の声援に応えるトランプ大統領=淵上隆悠撮影
【デトロイト(米ミシガン州)=淵上隆悠】米国のトランプ大統領は29日にミシガン州デトロイト近郊で開いた集会で、第2次政権発足から100日間で進めた国境管理の強化や不法移民対策などの「成果」を強調した。集まった支持者はトランプ氏を称賛したが、世論調査で厳しい数字が出ている関税政策を巡っては戸惑う声も聞かれた。
「我々はすでに多くの政権が4年、あるいは8年かけて達成する以上のことを成し遂げた」
大統領に1月に復帰後初となる大規模集会を開いたトランプ氏がこう語ると、会場に駆けつけた数千の支持者は大きな拍手を送った。
米税関・国境取締局(CBP)によると、3月に南西部国境付近で拘束された不法越境者は7181人で、昨年同期から約95%減少した。国外退去させた不法移民らも約14万人に上る。
取材に応じた10人ほどの集会参加者は厳しい不法移民対策をいずれも高く評価した。ジョアン・サルワサーさん(65)は「トランプ氏は治安を守っている」と述べ、トランプ政権の強引な手法に「待った」をかける司法を批判した。
ただ、トランプ氏の政策について、世論は割れている。保守系のFOXニュースによる4月の世論調査で、国境管理は一定の評価を得たが、関税や物価上昇(インフレ)では不支持率が支持率を20ポイント超上回った。
集会の会場で関税政策について尋ねると、複数の参加者が市場の混乱などを踏まえて「今は我慢する時だ」と経済への悪影響を認めた。スティーブ・スミスさん(63)は「多少の痛みはあるが、長い目で見れば驚異的な国益につながるはずだ」と期待した。
トランプ氏が集会会場に選んだデトロイトは、ゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車大手3社「ビッグスリー」のおひざ元。演説では「関税政策のおかげで、ミシガンで再び車が作られる」とアピールした。
関税政策を巡り、前向きな評価だけではないことをトランプ氏が認識している可能性はある。トランプ氏はこの日発表した輸入部品にかかる関税負担の軽減策に触れ、「方針転換ではなく、ちょっとした柔軟性だ。すべて順調だ」と強調した。
会場の外では民主党支持者が抗議の声を上げていた。ベティー・フレイバーガーさん(68)は「暴君による常軌を逸した100日間だった。私が知る米国ではなくなっている」と危機感をあらわにした。