トランプ氏「少しだけチャンス与えた」、車メーカーの関税負担軽減…販売価格の最大3・75%分を還付
2025年4月30日(水)19時35分 読売新聞
29日、米ミシガン州デトロイト近郊で演説するトランプ大統領(中央)=淵上隆悠撮影
【ワシントン=田中宏幸】トランプ米大統領は29日、米国内で自動車を生産する全メーカーを対象に、輸入部品にかかる関税負担を軽減するための大統領布告を発表した。2年間の期限付きで、1年目は自動車販売価格の最大3・75%分を還付する。自動車部品の製造拠点を、国外から米国に移すまでの猶予期間を設ける狙いがある。
トランプ氏は29日、記者団に「(自動車メーカーが)部品をすぐに入手できない場合もあるので、少しだけチャンスを与えた。一時的な移行期間だ」と強調した。政権は4月3日、輸入自動車への25%の追加関税を発動。エンジンなど自動車の基幹部品には、5月3日までに同率の追加関税を課す予定だ。
ホワイトハウスによると、軽減措置は、米国内で最終組み立てされた自動車に適用される。1年目(今年4月3日〜来年4月30日組み立て分)は、販売価格の最大15%を関税の「免除枠」とし、その枠内で輸入部品にかかる25%の追加関税分を軽減する。販売価格の最大3・75%分が免除される計算だ。
2年目(来年5月1日以降の組み立て分)は免除枠が10%に下がるため、軽減措置も自動車販売価格の2・5%分に減る。3年目には制度を廃止する。
ラトニック米商務長官は29日、記者団に「国産部品を85%以上使えば、自動車には関税は一切かからない。米国に工場を建設すれば、非常に有利になる」と説明した。鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税や、カナダとメキシコからの輸入品への追加関税とは重複しないようにする。
米国で完成車を組み立てる自動車メーカーは、他国から多くの自動車部品を輸入している。部品への関税の適用免除を求めるメーカーの声に、トランプ政権が強硬姿勢を軟化させた形だ。