商船三井株の大幅下落で見る、世界経済の現状

2025年5月2日(金)9時35分 財経新聞

●商船三井が大幅下落
 国内海運2位・商船三井の株価が、4月30日の後場に一時前日比16.1%安の4422円まで下落した。翌5月1日も一時約5%近く下落するなど、日本株全体が持ち直してきている中で、大幅下落となっている。

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 4月30日に発表した2025年3月期決算は、売上高1兆7,754億円・経常利益4,197億円で共に過去最高を記録したが、2026年3月期の連結純利益の見通しは、前年比60%減の1,700億円と大幅減益を予想している。

 米国の関税の影響と、船舶の供給増による運賃市況の悪化で、大幅減益を見込んでいる。配当金も210円減の150円となることが発表された。

 コロナ禍以降、海運株は好調だったが、一転して厳しい状況となるのだろうか?

●好調だった海運株
 2008年のリーマンショック以降、低調な状態が続いていた海運株だが、2020年のコロナ禍で状況は一変した。

 物流網の混乱と巣ごもり需要が増大し、コンテナ船の運賃が高騰。商船三井だけでなく、日本郵政、川崎汽船を合わせた3大商社は2023年まで過去最高益を更新するなど、好調だった。

 ただコロナ禍も収束に向かい、船舶需要もピークアウト。

 バルチック海運指数などが減速し、株価も急落を繰り返しながらも、商船三井は2025年1月には約17年ぶりの高値を更新していた。

●時期尚早との声も・・
 60%減益はあくまで2026年3月期の予想であり、今回の業績は好調だった。日本郵船と川崎汽船の株も同じように30日に急落したが、翌日には半値戻ししている。

 商船三井は、好調な決算発表後の利益確定売りとの見方もある。配当減の失望売りもあるが、それまでの配当利回りは、2022年・2023年3月期には10%を超える等、高すぎの調整との見方もある。

 2024年3月期にもコロナ特需の終了によって、経常利益約7割減を記録しており、その後の回復ぶりを考えると、警戒が先行しているとも言える。

 ただ、米GDPが3年ぶりにマイナスに転じ、トランプ関税による米中貿易戦争の激化により、自動車船の減少が予測され、予断を許さない状況である。

 フーシ派により、紅海を航行する船舶の襲撃が続くなど、中東情勢も無視できない。

 不安が先行しているだけとも言い切れない現在の世界経済を象徴しているのが、商船三井の株価下落かもしれない。

財経新聞

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