トウモロコシや大豆の輸入拡大案、赤沢経済再生相が提示…米側は「車は協議の対象外」と主張
2025年5月3日(土)5時0分 読売新聞
ベッセント財務長官と握手する赤沢経済再生相(1日、米ワシントンで)=代表撮影
【ワシントン=黒木健太朗、下里雅臣】日米両政府は1日夕(日本時間2日朝)、米トランプ政権による関税措置撤廃に向けた2回目の閣僚協議をワシントンで行った。日本側代表の赤沢経済再生相は、トウモロコシや大豆の輸入拡大案などを米側に提示した。自動車や鉄鋼・アルミニウムへの追加関税の撤廃を改めて求めたが、米側は、協議の対象外だと主張した。
米側からはベッセント財務長官、グリア通商代表部(USTR)代表、ラトニック商務長官が参加し、約2時間10分協議した。
赤沢氏は協議後に開いた記者会見で、〈1〉日米間の貿易の拡大〈2〉非関税措置の見直し〈3〉経済安全保障面での協力——などのテーマで「突っ込んだ議論ができた」と語った。5月中旬以降、閣僚協議を集中的に行う準備として、事務レベル協議を2日から始めることで合意した。
日本側は、自動車や鉄鋼・アルミへの追加関税を見直すよう求めたが、米側は、トランプ大統領が4月に示した「相互関税」の上乗せ分(日本は14%)だけを協議の対象とし、自動車などの関税は対象外だと主張したという。協議の対象範囲について、日米間で認識にずれがあるとみられる。
政府関係者によると、赤沢氏は協議で、トウモロコシや大豆の輸入拡大を提案した。トウモロコシは家畜の飼料用や、航空機燃料向けバイオエタノール(バイオ燃料)用としての輸入を想定している。米国はトウモロコシや大豆の多くを中国に輸出してきた。今後、報復関税をかけ合う中国への輸出が減る分を日本が肩代わりする形となる。
非関税措置の見直しでは、輸入自動車の安全審査に関する手続きを簡略化できる優遇措置「輸入自動車特別取扱制度(PHP)」に関し、制限台数の上限を引き上げる案を伝えた。トランプ氏が重視する、米国車の対日輸出拡大につながるとのアピールだ。
この日の協議では為替や、防衛に関係する安全保障については議論しなかった。
2日に始める予定の事務レベル協議では、個別の論点や技術的な課題を詰める。日本側は、外務省と経済産業省の課長級が担当する。
5月中旬には日米の閣僚が集中的に協議する。赤沢氏は、先進7か国首脳会議(G7サミット)が開かれる6月中の首脳間合意が念頭にあるかとの質問に「そういう段階に入ればいいなと思っている」と答えた。
日米協議を受け、首相官邸で記者団の取材に応じた石破首相は「一致点を見いだせる状況には今のところなっていない」と述べた。