政府備蓄米の価格上乗せが拡大、卸売業者から小売り・外食へは60kgで7593円
2025年5月16日(金)19時55分 読売新聞
農林水産省は16日、政府備蓄米の放出を巡り、売り渡し後の流通段階におけるコストの分析結果を発表した。卸売業者の段階で、経費や利益の上乗せ分が2022年産米の最大3倍超と大きくなっていることがわかった。
農水省によると、3月17日〜4月13日に流通した備蓄米は、集荷業者による平均落札価格が玄米60キロ・グラムあたり税抜き2万1246円。これに対し、卸売業者への販売価格は2万2207円で、差し引き961円が経費や利益として上乗せされていた。これは22年産(最大2400円)の水準を下回った。
一方、卸売業者の段階では、小売・外食業者などに2万9800円で販売しており、上乗せ分は7593円に上った。22年産(2206〜4689円)と比べて1・6〜3・4倍となり、上乗せ分が大きくなっていた。
卸売業者からは「物流コストが相当上昇している。価格競争よりも安定供給が求められるようになり、適正な価格転嫁ができるようになった」との声が上がっている。
江藤農相は16日の閣議後記者会見で「備蓄米は国民の財産だ。通常のコメの流通とは違うということをぜひ理解してほしい」と述べ、業者側に対応を促した。
日本国際学園大学の荒幡克己教授は「輸送費や物価高騰の影響もあり、(卸売業者に)経費が多くかかっている可能性がある」と指摘し、上乗せ額の多寡について「慎重に見極める必要がある」と話した。