もっと早く知りたかった…「人生を後悔してしまう人」の特徴・ワースト1
2025年5月18日(日)7時20分 ダイヤモンドオンライン
もっと早く知りたかった…「人生を後悔してしまう人」の特徴・ワースト1
いまシリコンバレーをはじめ、世界で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも、ストイックな生き方が身につく『STOIC 人生の教科書ストイシズム』(ブリタニー・ポラット著、花塚恵訳)がついに刊行。佐藤優氏が「大きな理想を獲得するには禁欲が必要だ。この逆説の神髄をつかんだ者が勝利する」と評する一冊だ。同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
会話をまったく聞いていなかった父
十代の頃、よく父親が話を聞いていないことに呆れていた。
家族で食卓を囲んで会話しているとき、父親に「ねぇ、そうだよね?」と聞くと、驚いたように、
「え、何が?」
これまでの会話を一切聞いていなかったことが露呈する。
私は「じゃあ、何をしていたわけ?」と不思議だった。
テレビをつけているわけでもなく、新聞を読んでいるわけでもない。家族で顔を突き合わせて、食事をしながらおしゃべりしているのだ。それなのに父親だけは何も聞いていないのである。
うちのお父さんはちょっとおかしいんじゃないか。
そんなふうに思っていた。
ところが、大人になった自分も同じことをしている。数年前にそれに気づいて驚愕した。
家族と食卓を囲んでいるときに、「ねぇお母さん、そうだよね?」と聞かれて、「え、何が?」と答える私。「全然聞いていなかったの?」と呆れられた。
完全に一致している。
あまりにも同じ風景が繰り返されていた。怖い。
心ここにあらず
いまならよくわかるのだ。父親がなぜ、ああだったのか。
きっと今日やった仕事のことや明日の予定のことを考えていたのだ。今日はもうちょっとこうすれば良かったと悔やんだり、あの件はなんと返事をしようかと考えたり、来週の納期に向けて仕事をどう進めれば間に合いそうかとシミュレーションしたり……。
だから周りの音が一切聞こえなかったのである。いや、むしろ「うるさいなぁ」くらいに思っていたのかもしれない。
まさに、いまの私である。
小さい子どもには、「今」しかないという。過去も未来もぴんとこない。今この瞬間がすべてだ。
それが成長するにつれ、過去や未来も大事になってくる。それ自体は良い。
しかし、あのころの父や最近の私のように、ときには心が過去や未来に出かけてしまい、なかなか今に帰ってこないようなことも起こる。
それが幸せかといったらそうではないだろう。少なくとも、大事な人たちと同じ時間を過ごしているときは「今」を大事にしたほうがいい。
ストア哲学者のマルクス・アウレリウスは、誰もが今この瞬間だけを生きていることを肝に銘じよと説いている。
この瞬間に集中する
この瞬間以外の人生はすべて、過去か不確かなものである。(マルクス・アウレリウス『自省録』)
——『STOIC 人生の教科書ストイシズム』より
「この現在」という一点を生きている、その連続が人生だ。
しかし、大切な「今の瞬間」を見逃して、すでに過ぎ去った時間や不確かな未来にばかりとらわれている人がいる。そういう人は後になってから、「大切な時間を逃してしまった」と考えて人生を後悔することになる。
過去や不確かな未来にとらわれ、今にいないということは本当に「生きている」と言えるのだろうか?
今この瞬間を大事にすることを続ければ、きっとそれが良い人生を生きることになるだろう。
(本原稿は、ブリタニー・ポラット著『STOIC 人生の教科書ストイシズム』〈花塚恵訳〉に関連した書き下ろし記事です)