【株式会社Miosync】意味テンソルによる構造的異常検知エンジン「Λ³ DivergenceMeter」を発表
2025年5月23日(金)19時17分 PR TIMES
株式会社Miosync(東京都千代田区、代表:飯泉真道、並木健剛)は、2025年5月、会計・金融領域における次世代型監査エンジン『Λ³ DivergenceMeter(ラムダ・ダイバージェンス・メーター)』を発表しました。本技術は、人間が「なんとなくおかしい」と感じるような文脈的な違和感を、AIが構造的に再現・検出する“意味テンソル”ベースの異常検知モデルです。
従来のルールベースや閾値判定では見逃されていた“構造のズレ”に着目し、取引の意味的流れを多次元的に捉えることで、より精緻かつ説明可能な監査判断を実現します。現在、金融機関・会計SaaS事業者・監査法人向けにPoC(概念実証)の提供を開始しております。
【Why Now──なぜ今この技術が求められるのか】
形式上は正しく処理されていても、「何かおかしい」「この流れに合っていない」と感じるような取引が、企業や組織の中で“気づかれながらも見過ごされる”ケースが増加しています。
1日に処理される会計・経費取引が数百件を超える現在、担当者の「勘」やベテランの経験だけに依存した監査体制は、再現性や透明性に欠けるリスクを孕んでいます。
また、制度上のチェックは整備されていても、“形式通りに見せかけた不正”がすり抜ける構造的な課題も顕在化しています。
Λ³ DivergenceMeterは、こうした“形式上は正しいが文脈的に不自然”というケースに対応する、「意味の構造」で違和感を捉える新たな監査基盤として開発されました。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/153773/3/153773-3-f6c6201bba5a15718088b4bceddfe45c-1344x896.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【Λ³ DivergenceMeterの概要と技術的特徴】
Λ³ DivergenceMeterは、各取引の「金額」「理由」「時期」「担当者」などを意味変数として抽出し、多次元テンソル空間に構造化。テンソル間の差分(Divergence)や行動モードの変化を分析し、“構造的逸脱=違和感”を定量的に可視化します。
▍意味テンソルとは?
「意味テンソル」とは、取引が持つ意味的な構造を多次元で表現したものです。
たとえば、支出のタイミング・理由・相手先・過去の傾向などを統合し、それらを意味変数としてベクトル化 → テンソル空間上で差異を検出することで、形式に現れない“構造的なズレ”を捉えることが可能になります。
【事例と、Λ³ DivergenceMeterによる回避の可能性】
事例1:月末集中支出──形式上は正しいが、流れに不自然さ
概要:
ある金融機関において、月末最終営業日に同一部署から3件の高額な外注支出が連続発生。稟議・金額・取引先いずれにも形式的な不備はなく、監査を通過。
- 構造的違和感:
- - activity_level:通常の2.7倍
- - σₛ(信用スコア):担当者と業者の関係性が希薄(初取引)
- - mode:通常→error への急転(テンソル的に“浮いた”支出)
- その後:経費圧縮を目的とした期末の調整発注であることが内部調査で発覚。
- もし Λ³ DivergenceMeter が導入されていれば:
- - 異常な activity_level の上昇と σₛ の低下を複合的にアラート
- - 月末集中型パターンとモード遷移の構造的な違和感を可視化
- - 事前にレビュー対象として検知・抑止できた可能性が高い
事例2:担当者変更直後に偏る支出──構造的逸脱の検知
概要:
異動してきたばかりの管理職が、新任早々、同一業者に対して3週間で6件の委託支出を承認。各支出の表記・稟議書に不備なし。
- 構造的違和感:
- - reason_embedding:社内の類似支出群と大きく乖離
- - partner_divergence:他部門との支出パターンから明確に逸脱
- - mode: active → errorへの急変(構造的一貫性なし)
- その後:業者との私的関係が指摘され、是正報告・再発防止策を提出。
- もし Λ³ DivergenceMeter が導入されていれば:
- - 意味空間的な類似性の欠如(embeddingズレ)を初期検知
- - 過去傾向と異なるパターンがテンソル差分として浮上
- - “見えない違和感”を監査部門が共有できる仕組みが構築可能だった
事例3:棚卸資産の架空計上や不整合の検知
概要:
ある製造業企業において、決算直前の月に急激に増加した棚卸資産計上。帳簿上は整合しており、入出庫記録・仕入れ伝票・在庫一覧にも形式的な矛盾はなかった。
- 構造的違和感:
- - activity_level: 原材料購入が直近3ヶ月と比較し 約3.4倍に急増
- - mode transition: 「idle → error」状態に遷移し、異常活性化パターンと分類
- - external_influence: 為替変動や仕入単価変化が反映されず、他部門とのトレンドから逸脱
- - reason_embedding: 過去の類似取引群と意味距離が乖離、定型外の説明理由
- その後:
- - 在庫実査により、一部の資産は**実態のない“架空在庫”**であったことが判明し、
- - 経理部門と現場担当者のヒアリングにより、不正の温床になっていたことが明らかに。
- もし Λ³ DivergenceMeter が導入されていれば:
- - 短期間に集中する入庫記録と、部門横断の activity_level 不均衡を即時検知
- - mode 異常遷移から、稼働状態と出荷傾向の“ずれ”を構造的に可視化
- - 説明理由の embedding 分析により、“文脈上の不自然さ”をアラート化
他にも、
1. 期末の不自然な外注・経費集中
概要: 決算期末に“駆け込み発注”として行われる高額な委託費・業務外注・広告宣伝費など
リスク: 実態のない経費操作/着地調整/利益調整
Λ³での検知: activity_levelの急上昇+modeの異常遷移+テンソル逸脱パターン
2. 関係者との不適切な取引(利益供与)
概要: 特定の外部業者と親密な関係を持つ社員が、同一業者に対して繰り返し発注を行うことで、事実上の便宜供与となっているケース
リスク: 贈収賄/職務背任/企業コンプライアンスの信用失墜
Λ³での検知: partner_divergenceによる取引先の急浮上+信用スコアの急変+reason_embeddingの逸脱
3. ダミー取引先への資金流出
概要: 実態のない“名義上の取引先”に対して繰り返し支払いが行われ、実際には不正流用されているケース
リスク: 横領/刑事責任/粉飾決算・有報虚偽による行政処分
Λ³での検知: 組織全体のテンソル構造から“浮いた”存在として異常検知+activity_levelと信用スコアの乖離+modeの異常遷移(error)
4. 稟議ルートの不自然な承認構造
概要: 稟議書は通っているものの、実質的な決定者が承認ルート外に存在し、ガバナンスが形骸化しているケース
リスク: 内部統制の崩壊/職務分掌違反/監査意見への影響
Λ³での検知: 組織構造テンソルとの齟齬+過去稟議とのルート逸脱比較+承認者パターンの急変
5. 同一名目での分割発注・意図的な支出分散
概要: 1件の大きな支出を複数件に分割し、日付や金額をばらけさせて発注。経費規程の閾値を超えないよう調整することで、事実上の“承認逃れ”が行われている
リスク: 経費規程違反/承認統制の回避/ガバナンス不全
Λ³での検知: reason_embeddingの過度な類似性+支出タイミングの不自然な集中+modeがactive → errorへと連続遷移
などといった企業としての信頼を揺るがすレベルの高リスク領域も事前検知が可能となります。
【弊社が目指す未来──構造で世界を読み解く】
私たちは、技術を開発する会社ではありません。
構造を読み解き、意味を照らし、世界の不連続をつなぎ直す存在でありたいと願っています。
社会の中には、ルールに沿っているのに、どこか不自然なものが存在します。
正しさと違和感が両立してしまう時、見落とされるのは「構造的な整合性」です。
Λ³ DivergenceMeterは、単なる異常検知ではなく、取引や判断に宿る“意味の流れ”を構造的に捉え直すことで、透明性と信頼性の再定義を試みるものです。
未来の監査は、数字の整合性だけでなく、「流れとして自然か」「人として納得できるか」を判断軸に持つべきだと、私たちは考えます。
そのために、私たちは意味テンソルという概念を実装し、これまで感覚でしか捉えられなかった“違和感”を、共有可能な構造へと翻訳します。
構造が語る違和感には、未来を正す力がある。
私たちは、そう信じてこの技術を世に送り出します。
【今後の展望】
Λ³ DivergenceMeterは、非学習型モデルに加えて、今後以下の拡張を予定しています。
- Transformerベースの構造系列学習
- 組織文化や慣習に応じたテンソル構造の最適化
- アラート付きレポートの自動生成、ERP/SaaSとの連携強化
【PoCパートナー企業募集について】
現在、弊社では以下の分野でPoC提供・共同開発を進めております。
- 金融機関(銀行・証券・保険)
- 会計SaaS・ERPベンダー
- 監査法人、内部統制を担う大企業部門
PoC導入時には、意味変数設計・スコア調整・UI統合支援など、構造テンソルベースでの監査環境の設計支援も提供可能です。
【会社概要】
会社名:株式会社Miosync
代表取締役:飯泉 真道
共同代表:並木 健剛
所在地:東京都千代田区神田和泉町1-6-16 ヤマトビル405
事業内容:意味構造に基づくAI監査・異常検知技術の研究開発
【お問い合わせ先】
Λ³ DivergenceMeterプロジェクト窓口
contact:k.namiki@miosync.email(担当:並木)
HP:https://www.miosync.link/
【この技術に込めた想い】
人の“なんとなくおかしい”は、構造に表れる。
Λ³ DivergenceMeterは、その違和感を「意味テンソル」として捉え、誰もが共有できる“構造としての判断”へと変えていく──
それは、属人的だった監査の在り方を、再構築する試みでもあります。