英語が上達する方法は「寝る5分前」が強い…「1日につき英単語10個」を覚えられる"正しい復習のやり方"

2025年5月27日(火)8時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

記憶力を鍛えるためにはどうしたらいいか。司法試験をはじめとする法律資格受験指導校「伊藤塾」塾長の伊藤真さんは「復習は1時間以内にすべきだ。人は何かを学んでも1時間後には約半分を忘れてしまう」という——。

※本稿は、伊藤真『大事なことだけ覚える技術』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/mapo
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私がいちばん大切にしているのは、まず「全体像」を把握することです。


私が大学時代に司法試験に挑戦したとき、全体像を把握するために、まず本の目次をコピーしました。その目次をマップがわりに使い、いま読んでいるところはどこか、全体の位置づけを確認するためです。


全体をとらえ、まずは目次に出てくる論点や判例を覚えていき、次に各判例のポイントを覚えるという具合に、だんだんと細かいところに入っていきました。


■地図があると覚えやすい


いきなり細かいことを全部覚えようとすると負担が大きいですが、大雑把な全体から入っていくと、初めは覚えることが少ないので、とっつきやすいでしょう。


塾生の中でも、初めて司法試験に挑戦する人や法学部出身ではない人には、このやり方をすすめています。


ある人は長いスピーチや講演を頼まれたとき、全体像を把握することから入るといいます。


講演の内容を考えるとき、まず主要な3つの柱を覚えます。


その柱を覚えてから、だんだんと細かい枝葉を覚えるようにしていくわけです。


記憶を使いこなすには、あたかも引き出しに番号をふるように整理して収納し、適宜取り出すことが大切で、この場合、引き出しの番号が目次に相当します。目次をイメージすることは「何番の引き出しに入れたのか」を考えるのと同じです。


こうして大きなくくりや全体像から覚えていくと、わき道に入り込んで迷子になることを防げるでしょう。


■復習は1時間以内にする


私は伊藤塾に入る塾生全員に、復習に関して2つのことを教えています。それは、記憶のゴールデンタイムは、「1時間以内」と「寝る前の5分」ということです。


記憶する技術において、もっとも大事なことは「復習」です。


だから講義を聞いたら、必ず復習してほしいと思います。


それもできるだけ時間を空けずに、ということを言っています。


覚えたいことというのは、たいていすぐ忘れてしまいます。


人間の脳は元来、忘れるようにできているのです。


ドイツの心理学者・エビングハウスの「忘却曲線」をご紹介しましょう。


■1時間後には、56%を忘れる


実験によると人は、20分後には42%を忘れ、58%を覚えていました。


1時間後には、56%を忘れ、44%を覚えていました。


1日後には73%を忘れ、27%しか覚えていませんでした。


1週間後には77%を忘れ、23%しか覚えていませんでした。


そして1カ月後には……79%を忘れ、覚えていたのはたったの21%でした。


つまり人は、何かを学んでも1時間後には約半分を忘れてしまうわけです。


さらにそこから時間の経過とともに忘れていく。


ということは、記憶を定着させようと思ったら、何かを学んでから1時間以内に復習することが最善の方法なのです。


そのため私は、塾生に対して講義終了から1時間以内の復習をすすめています。


家に帰るとくつろいでしまいますから、できれば帰宅途中の電車やバスの中で復習するのがおすすめだと伝えています。


さらに可能なら、講義が終わったあと、席を立つ前にその場でそのまま復習してほしいと言っています。


伊藤塾では、講義が終わったあとも教室に塾生が残っているのはごくありふれた光景です。その中から毎年、短期合格者が生まれています。


授業が終わるとサッと片づけを始めてしまう人も多いですが、いま聞いた授業のポイントだけでもマーカーを引くなり、ひと言メモをするなりしておくと、試験の直前がとてもラクになります。


■「寝る前5分」の復習のすすめ


もう一つのポイントは、1日5分、寝る前に復習の時間をとることです。


塾生たちには「まず毎日5分、記憶の時間をとってほしい。それを毎日くり返していけば、1年後の成果がまったく違ってくるから」とここ40年、ずっと言いつづけてきました。


毎日、5分。


それも寝る直前がベストです。


寝る前に覚えたことは、頭に刻印されます。


朝起きたとき思い出すと、すっきり記憶できていることがわかるでしょう。


これは脳科学でも裏づけられています。


写真=iStock.com/Makidotvn
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Makidotvn

睡眠中、人間は記憶を整理し、定着させています。脳は起きている間にあったことを睡眠中に思い出し、再生して、記憶を強化しているのだそうです。


夢は記憶の再生の過程で生じる現象だといいます。


つまり人は寝ることによって、記憶を定着させていくのです。


だから寝る直前の5分間にもう一度大事なことを思い出し、記憶を鮮明にしておけば、その記憶は睡眠中にさらに確実なものになります。


記憶のゴールデンタイムに、復習する習慣をつけてみてください。朝起きたとき、その効果に驚くはずです。


■「おさらい→新規」をくり返す


復習の話を続けます。


復習は、定期的にくり返して行うことで記憶の定着になります。


そのときにはコツがあり、私は塾生たちに以下のように伝えています。


1回目の講義の復習は、1回目の講義が終わったときにやります。


2回目の講義が終わったら、1回目の復習をしてから2回目の復習をします。


3回目の講義が終わったら、1回目、2回目をざっと復習してから3回目の復習をします。


そのようにして、20回目の講義では、1回目から19回目をざっと復習してから20回目の復習をします。


ポイントは、それまでのすべてをざっと復習するということです。


こうしてつねに全体を復習することで、それぞれがつながって、記憶の定着になります。


■くり返し復習しながら、新しいことを覚えていく


英単語を覚えるときも同様です。


1日目に10個覚えたら、2日目には前の日の10個を復習してからその日の10個を覚える、ということです。


3日目には、1日目の10個、2日目の10個をふり返ってから、その日の分を覚えていきます。


このように前やったことをつねにくり返し復習しながら、新しいことを覚えていくやり方は古くから行われています。


インドではこの記憶法は、「ヒンドゥー・メソッド」と呼ばれています。


ヒンドゥー教では、細かな教えが書かれた「ヴェーダ」という聖典を、口頭で伝授していました。


まず聖典の1文目を覚えます。



伊藤真『大事なことだけ覚える技術』(サンマーク出版)

そして完璧に1文目を記憶したら、2文目を覚えます。


そのとき1文目をおさらいして、2文目を覚えていくわけです。


膨大な聖典を口頭で覚えるのは、並大抵のことではありません。


でも1文ずつ進みながら復習していくやり方なら、確実に覚えていけます。


小さく刻みながら、少しずつ記憶の量を増やしていくことで、どんな膨大な量でも、いつかは記憶できるのです。


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伊藤 真(いとう・まこと)
弁護士、伊藤塾塾長
1958年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。81年司法試験に合格。95年「伊藤真の司法試験塾(現・伊藤塾)」を開設。日弁連憲法問題対策本部副本部長。「一人一票実現国民会議」発起人。著書に『10代の憲法な毎日』『考え抜く力』『本質をつかむ思考法』『憲法の力』など多数。
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(弁護士、伊藤塾塾長 伊藤 真)

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