伝記ではなく芸術を作る…ビリー・ホリデイの人生を写し取るプラダの衣装に注目
2022年1月17日(月)18時15分 シネマカフェ
本作で特筆すべきポイントの1つでもある、ビリー・ホリデイの人生を写し取ったようなエレガントでソリッドな衣装の数々は、「プラダ」とのコラボレーションによるもの。監督のリー・ダニエルズは、当時のビリーの衣装そのままのレプリカではなく彼女の美意識の真髄を捉えたいと考え、個人的な付き合いのあった「プラダ」のヘッド・デザイナーであるミウッチャ・プラダに依頼し、プラダとのコラボレーションを実現させた。
本作で衣装デザインを担当したのは、ダニエルズ監督が製作したTVシリーズ「Empire 成功の代償」(15〜19)でエミー賞に4度もノミネートされたパオロ・ニードゥ。
パオロは「私はプラダのアーカイブとホリデイの衣装を徹底的に調べ、デザインの説明書をまとめていった。最初は正確な再現にすべきだと考えていたが、『伝記ではなく芸術を作る』というテーマに決めたので、ヴィンテージ・ドレスやビリーが来ていた服そのままの表現にならないように、現代的にしてもらった」とこだわりの衣装デザインについてふり返る。
劇中で最初に登場するビリーが身に纏っている美しい衣装も「プラダ」のドレスだ。これはプラダの2014年春夏コレクションに着想を得たもので、アイボリーのダブル・シルクサテン、スイートハート・ネックライン、貴重なクリスタルの刺繍が施されたコラム・ドレス。
グラマラスで洗練されたアップの髪型の左側には、彼女がよく身につけていた白いクチナシが目立つように飾られ、耳から首まで垂れるイヤリングがキラキラと美しく輝いている。
ほかにもシックなブラックのプランジングネックドレスや、バタフライスリーブにフレアのパンツスタイル、華やかなイエローやパープルのドレス、オープンカラーシャツにパンツのカジュアルなスタイルなど、劇中では合計55着ものビリーの衣装が登場している。
主演アンドラ・デイも絶賛「パオロ・ニードゥさんの仕事ぶりが素晴らしくて」
劇中での衣装の中で特に気に入っているものを聞かれた主演のアンドラ・デイは「最後のシーンで『オール・オブ・ミー』を歌っている時に着ている紫色の衣裳が一番好き。プラダだけではなく、パオロ・ニードゥさんの仕事ぶりが素晴らしくて、細部にわたって素晴らしいものを作ってくれた」とパオロの仕事ぶりを称えている。
プラダとの完璧なコラボレーションによって誕生した、現代的な視点と1940〜50年代のスタイルを融合させた衣装にも注目してみてほしい。
『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』は2月11日(祝・金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。