のん、“強靭な精神”で邁進 独立&改名から8年半「信じた道を突っ走ってきたから今やれている仕事がたくさんある」
2025年2月28日(金)6時0分 マイナビニュース
●女優業への思い「これしかない」 アクション挑戦も語る
演技のみならず、音楽、映画製作、アートと幅広く活躍している女優・のん。DMM TVオリジナルドラマ『幸せカナコの殺し屋生活』(2月28日独占配信スタート)では、ブラック企業のOLから殺し屋に転身する主人公・西野カナコを演じ、アクションに初挑戦した。のんにインタビューし、本作での役作りを聞くとともに、今の女優業への思いやこれまでの転機、今後の抱負などを聞いた。
若林稔弥氏による同名の4コママンガを実写化。上司からのパワハラに耐え切れずブラック企業を退職した西野カナコは、待遇の良さに惹かれて殺し屋に転職し、隠れた才能を開花させて凄腕の殺し屋へと成長していく。奇想天外な主人公・カナコをのんが演じ、常にカナコを見守る殺し屋の相棒・桜井役を藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)が演じた。
——カナコを演じる際に意識したことを教えてください。
ちょっとぽわ〜んとしているように見えるけど、バシッと仕事ができて殺し屋の世界では才能があるという風に見えないといけないので、普通の社畜OLだったけど、決めるところは決めるというギャップが出せたらと思いました。
——カナコは殺しの天才で、全く世界は違いますが、いろんなジャンルで才能を発揮されているのんさんもを天才肌な印象があります。
私も殺し屋だったら獲物は逃がさないタイプだと思います(笑)。素質はあるかもしれない! でも、カナコみたいに瞬時にできる感じではなく、スロースターターで時間をかけるタイプです。昔よりはスタートが早くなってきて、監督の演出に応える瞬発力が高まったり、共演者の皆さんとのリズム感をつかむのが早くなった気がします。
——ご自身が感じたカナコとの共通点はありますか?
あまり共通点はない気がしましたが、ちょっと世間とずれているところは似ているのかなと。カナコとポイントは違うかもしれませんが、「みんなはそうだったんだ!」みたいなことがよくあるので(笑)
——アクションに初挑戦した感想もお聞かせください。
キツくて大変でした(笑)。こんなに自分の体って重いんだって自覚しましたね。受け身をしてから立ち上がるという何でもない動作が難しくて、最初は体が重くて立ち上がれなくて。だんだん運動能力が高まって、筋肉もついてきて、素早く立ち上がれるようになりました。
——のんさんの成長に皆さん驚かれていたのでは?
驚いていました! 「センスがいい」「筋がいい」「向いている」と言ってもらいました。
——今後もアクションに挑戦していきたいですか?
これからもやりたいです! ずっと興味あったんですけどなかなか機会がなくて、今回やっと挑戦できたという感じでした。
——女優デビューから今年で15年になりますが、女優業に対する今の思いもお聞かせください。
ずっと変わらず、「これしかないな」「天職になったらいいな」と思っています。ほかの道が本当に思い浮かばなくて。妹に「役者やってなかったらどうなるんだろう?」と聞いたら、「その辺で野垂れ死んでいると思う」と言われて、一番近い家族にそんな風に言われるということは、本当にほかの道はないんだなと思います。
——演じる楽しさややりがいなど、15年やってきて変化はありますか?
私は迷いがないタイプで、「俳優になるしかない!」と思って高校生のときに上京してきて、デビューしてからずっと楽しいし、面白いし、やりがいを感じています。あまり成果が出ていないときも、評価されていないときも、「私はすごい役者になるんだ!」と思い込んでいました。
——この仕事をしていてよかったと特に感じる瞬間はどういうときですか?
完成したものを見て、観客として楽しんでいるときに、「やっていてよかった」と思います。あと、現場でたくさんの人の手が加わって映像を撮っていて、すべての歯車がカチッと合う素晴らしい瞬間を体験できると「生きてる!」と感じて、それが病みつきになってやめられないなと思います。
●『あまちゃん』出演や「のん」への改名が大きな転機に
——これまでの活動を振り返って、大きな転機になったと感じていることを教えてください。
「のん」になったことはやっぱり大きかったなと思います。自分が信じた道を突っ走ってきたから、今やれている仕事がたくさんあると感じているので。あとは、朝ドラ(『あまちゃん』)が大きな転機でした。それまで私はシリアスな映画女優になると思っていて、朝ドラで覆された感じでした。コメディに飛び込んで挑戦してみたら本当に面白くて、扉が開いた作品に。あの朝ドラがあったから『幸せカナコの殺し屋生活』という英(勉)監督の“どコメディ”に呼んでいただけたのかなと思います。
——本作でも改めてコメディのやりがいを感じましたか?
感じました! 今はコメディばっかりやりたいという気持ちです(笑)
——所属事務所からの独立を機に「のん」さんに改名されたのが2016年7月。そこから8年半が過ぎ、活躍の幅を広げられていますが、これまでの歩みを振り返っていかがですか?
頑張ってきたなと思います。自分って自覚しているよりももっと強靭な精神を持っていたんだなって自分を称えています(笑)。自己肯定も大事だなと!
——大変な時期もあったと思いますが、心が折れるということは?
あんまり折れたことはないです。
——それはやはり、演じることが大好きで、「これしかない」というブレない思いがあるからでしょうか。
そうですね。この仕事が好きというのと、何者でもないときから根拠もなく自分に自信があって。だから強いのかなと思います。でも去年、冷静に考えたときにちょっと自分にゾッとしました(笑)
——昔から自分に自信を持てるタイプだったのでしょうか。
子供の頃からそうでした。同い年のいとこが近所に住んでいて、毎日一緒に遊んでいたんですけど、「私たち最強!」みたいな無敵の2人で(笑)。その子供時代の育ち方が大きいのかなと思います。あと、山の方の出身で、山でのびのびと育ったのもよかったのかもしれません。クマがいるからクマよけの鈴を持っていないといけなかったんですけど、それ以外は何の危険もなくて。
——「私は最強!」と思い続けていたら心が強くなりそうですね。
大事だと思います! あと、『幸せカナコの殺し屋生活』を見て、カナコが悪いヤツを仕留めていくのを見てスカッとするのもいいんじゃないかなと思います。
——今後はどういう風になっていきたいと思い描いていますか?
天井知らずで行けるところまで高めていき、自分の知らなかった表現にどんどん挑戦して、こんな一面があったんだというところも開拓し続けていきたいです。
——『あまちゃん』ではコメディ、『幸せカナコの殺し屋生活』ではアクションという新しい扉が開けましたが、作品を重ねていく中で役者としての幅の広がりを実感されていますか?
広がっているなと感じます。まさに今回アクションに初めて挑戦させていただきましたし、自分が飛び込んだことのない演出もたくさん経験し、『幸せカナコ』で役者力が上がったなと思いました!
■のん
1993年7月13日生まれ、兵庫県出身。2006年に雑誌『ニコラ』のオーディションでグランプリを獲得し、芸能界デビュー。2010年に映画『告白』で女優デビュー。2013年にNHK連続テレビ小説『あまちゃん』でヒロインを演じ注目を集める。2016年7月、前所属事務所退所を機に本名から「のん」に改名。2019年にYouTubeオリジナル作品『おちをつけなんせ』で監督デビューし、2022年には初の劇場映画監督作『Ribbon』が公開。主演映画『さかなのこ』(2022)で第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、2024年には第16回伊丹十三賞を受賞。音楽やアートの世界でも活躍している。
ヘアメイク:森香織 スタイリスト:町野泉美 衣装:トップス、パンツ/ともにYOHEI OHNO、アクセサリー、シューズ/スタイリスト私物