月組の新トップコンビ、鳳月杏さん、天紫珠李さんのお披露目公演を、瀬奈じゅんさん、彩乃かなみさんと一緒に。そこで偶然会ったのは…
2025年3月19日(水)11時30分 婦人公論.jp
写真提供:越乃さん 以下すべて
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第94回は「月組新トップ鳳月杏さん」のお話です。
(写真提供:越乃さん 以下すべて)
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月組の新トップコンビのお披露目公演
先日、瀬奈じゅんさん、彩乃かなみさんと一緒に、月組公演『ゴールデン・リバティ』『Takarazuka Spectacular『PHOENIX RISING(フェニックス・ライジング)』−IN THE MOON LIGHT−』を観劇してきました。
この公演は、月組の新トップコンビとなる鳳月杏さん、天紫珠李さんのお披露目公演でした。
偶然劇場で一緒になった大空ゆうひさんと遼河はるひさん。
思いがけず、みんなで楽しい観劇となりました。
私が組長時代の下級生、鳳月杏さん。
全国ツアーでのプレお披露目に行けなかった私は、彼女がトップになった姿を観るのは初めてで、始まる前は謎の緊張感に襲われました。
久しぶりのこの感覚。
しかしそんな緊張も心配も、幕が開くとすぐに安心に変わりました。
ちなつさん、本当にお披露目ですか?
その安定感は何ですか?
その声はどこまで伸びやかに飛んでいくのですか?
どこまでが足ですか?
抜群なスタイルでどんな衣装も着こなし、どんな被り物でも被りこなす。
あれだけ踊っても息も切れず、素晴らしい歌声。
相手役さんを包み込む柔らかい空気。
真ん中に立つ彼女はとても落ち着いていて、もう何年もトップを張っていた人に見えました。
自分の役割を全うする人
そうでした。
彼女は下級生の頃からいつだって落ち着いている人でした。
慌ててキリキリしているところなど見たことがありません。
いつだって舞台に対する姿勢はブレることなく真面目で、誠実に向き合っている頑張り屋さん。
そして、どんな立ち位置でもちゃんと自分の役割を全うする人。
それがちなつでした。
彼女が花組に組替えになった時、とても寂しく感じたものです。
でも組替えを経験したことで、彼女は確実に大きくなりました。
花組で華やかなオーラを身につけ、いろんな経験が自信となり、懐の深い包容力のある男役に成長しました。
ショー『PHOENIX RISING』。ボンボンスタンバイOK!
舞台人には、技術だけではなくプラスαの魅力が必要です。
トップという存在は特にそのプラスαの魅力が観客を惹きつけ、組を引っ張る大きな要素となります。
私の中でちなつは、癒やしの人です。
雰囲気が柔らかくて、その穏やかな空気にいつも癒やされていました。
温かい人柄は人に安心感を与えます。
人生に無駄なことなど何もない
トップの路線とは異なる道を歩んできたちなつ。
ここまで来るのは平坦な道ではなかったはずです。
真面目にコツコツと努力をし、たくさんの経験を積み重ねてきたからこそ認められた実力。
彼女は今最も時代に愛され、最も時代に求められている人です。
この人がいれば安心だと思わせるゆるぎない信頼と存在感。
みんなを癒やす力。
組子達と関係性を深めながら、より一体感をもって進んでいる、そんな雰囲気が伝わってくる舞台でした。
今回もこのお二人とご一緒に。『ゴールデン・リバティ』は宝塚にはめずらしい西部劇でした。
舞台も客席も終始お祝いムードの温かい空気に包まれていたお披露目公演でした。
新たなトップスターの誕生で新たな風が吹き始めているのを感じ、幸せな気分で劇場を後にしました。
人生に無駄なことなど何もない。
自分の可能性を諦めず、努力し続けることの大切さをちなつが教えてくれました。
舞台に対する決してブレない姿勢と、大人の色気と包容力という武器をもって、彼女はこれから仲間たちとさらなる大輪の花を咲かせることでしょう。
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