4月4日から清々しい春の風が吹く『清明』。心地良い雰囲気のこの時期に睡眠や胃腸系のトラブルが起こりやすい!?二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>

2024年4月4日(木)6時30分 婦人公論.jp


清明(4/4〜4/18頃)<『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』より>

「二十四節気」とは中国で誕生した旧暦(太陰太陽暦)で、1年を約15日ごとに24等分した季節の名称のこと。この連載ではその二十四節気に沿った過ごし方や備え方、旬の食材を、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが紹介します。「二十四節気は不調を防ぎ、日々をより豊かに過ごすための“知恵”の結晶」と語る櫻井さん。今回紹介する季節は「清明(4/4〜4/18頃)」です。

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清明(せいめい) 4/4〜4/18頃


清々しい春の風が吹き、天地が明るい空気に満ちて、草花がいっせいに芽吹くとき。

万物の躍動とともに、どこかモヤモヤとしていたこころが、その字の通り、明るく晴れわたるように感じられる頃です。

イースターやタケノコ狩りなどのイベントがある清明の時期は、引き続きのびのびと過ごすことを意識し、春の五臓(注)の「肝」がうまく働くようにしましょう。

陽気を高めて発散させ、気血(きけつ)をめぐらせることが養生のポイントです。

(注)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。

中医学的 清明の暮らしかた


・心と身体の状態

清明という言葉の通り、清々しい空と同じく、清々しいこころで新年度を迎えたいものです。

春は、五行(注)の「木」にあたりますが、肝は“樹木”のようにのびのびした環境を好みます。

新緑が美しく、草花が芽吹き、心地良い風が吹く——。

肝の調子が良い人は、その心地良い雰囲気に乗って活動的になり、ウキウキ、ワクワクする気持ちが湧いてきますので、ぜひ、その気持ちにしたがって行動してください。

一方で、春はシーズンを通して気持ちが不安定になる傾向があるのですが、環境の変化がともなうこの時期はなおさらかもしれません。

(注)中医学の考えで、「木・火・土・金・水」という5種類の構成要素のこと。互いの性質を助け合ったり制約し合ったりして、バランスを保っています。


『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(著:櫻井大典・土居香桜里/ワニブックス)

・起こりやすい不調

春の陽気が高まることで興奮しやすい清明の時期は、睡眠や胃腸系のトラブルが起こりやすくなります。

よく眠れない・お腹がすっきりしないといった症状に悩まされている人が多いかもしれません。

また、4月に入り、多かれ少なかれ環境の変化もあることでしょう。

そのことから、イライラ・落ち込み・無気力・怒りっぽいといった、気がスムーズにめぐらない「気滞(きたい)」と呼ばれる状態によって引き起こされる、メンタル面のアップダウンの激しさに悩まされる人も多い時期です。

養生


清明の養生キーワードは「昇陽発散(しょうようはっさん)」「疏肝理気(そかんりき)」。陽気を高めて発散させることで気血のめぐりを良くし、春に高ぶる肝の働きをスムーズにするといった意味です。

陽気を補うには、冬の間、足りていなかった太陽の光をしっかりと浴びる“日光浴”を意識的に行いましょう。

そして、太陽から得た陽気を発散させ、めぐらせるには、適度な運動で軽く汗を流したり、カラオケなどで大きな声を出したり、生姜やニラなどの“辛味”を少し摂るのも効果的。

とはいえ、余裕のない人は、まずは新しい環境に慣れるためにも、こころと身体をしっかりほぐしてあげることから始めると良いかもしれません。

お風呂上がりなどにストレッチをして筋肉をゆるめ、気血がめぐるためのスペースを作ってあげましょう。

ゆったりとした深呼吸も、縮こまった心身をほぐしてくれるはずですよ。

古典によると、春はとにかく“のびのびと過ごす”ことが大切。

ストレッチや散歩をして、“のびのび&ゆるゆる”過ごしましょう!

中医学的 清明の旬のもの


・旬の食材1 グレープフルーツ

国産のグレープフルーツは4〜5月が旬。その後、夏にかけて輸入品が出回り始めます。

グレープフルーツは、熱を冷まし、「行気(こうき)」「和胃(わい)」、つまり気のめぐりを良くして胃の調子をととのえる作用や解毒の力があります。春に高ぶる肝を穏やかにしてくれますので、胃もたれ・食欲不振・二日酔い対策に、そして、ストレス対策にも。

冷やす力が強いので、のぼせ・火照りがある人やイライラしやすい人にもおすすめです。逆に、冷え性の人は冷やしすぎてしまうので、避けるようにしてください。

・旬の食材2 パクチー

陽気の発散には、辛味のあるパクチーがおすすめ。

家庭でエスニック料理はハードルが高いと思うかもしれませんが、意外なところで、和風の炊き込みご飯とも相性がいいんです。

生姜と昆布、醤油で味つけしてご飯を炊き、パクチーを適度に混ぜ加えると、香りと辛味が陽気の発散を促してくれますよ。

身体を温める食材と冷ます食材のバランスが取れ、かたよりがなくなるので身体への負担が少なくなります。

・旬の食材3 サワラ

「魚」に「春」と書き、春の季語でもある鰆(さわら)。「峻補(しゅんほ)」といって、補う力がとても強いことから、薬膳でもよくおすすめされる食材です。

似た言葉の「補気(ほき)」は、徐々に気を補って元気にしてくれるという意味ですが、「峻補」の場合は、病気の後や産後の弱った身体も回復してくれるほど、とにかく補う力が強いことが特徴です。

※本稿は、『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

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