4月19日から春の終わりを告げる『穀雨』。「ひたすら眠い」「疲れる」人が意識したいポイントとは?二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>

2024年4月19日(金)6時30分 婦人公論.jp


穀雨(4/19〜5/4頃)<『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』より>

「二十四節気」とは中国で誕生した旧暦(太陰太陽暦)で、1年を約15日ごとに24等分した季節の名称のこと。この連載ではその二十四節気に沿った過ごし方や備え方、旬の食材を、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが紹介します。「二十四節気は不調を防ぎ、日々をより豊かに過ごすための“知恵”の結晶」と語る櫻井さん。今回紹介する季節は「穀雨(4/19〜5/4頃)」です。

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穀雨(こくう) 4/19〜5/4頃


やわらかな春雨が田畑を潤し、まさに“恵みの雨”となる頃を指す穀雨は、春の終わりを告げる節気となります。

田植えや種まきの準備が始まり、そろそろゴールデンウィークに差しかかります。

春の土用(4月16日〜5月4日頃、立夏の前日までの約18日間)に入り、茶摘みの「夏も近づく〜」の歌でおなじみ「八十八夜(立春から88日目)」の雑節(ざっせつ)も。

春の五臓(注)の「肝」の養生に加え、季節の変わり目ですから、胃腸をととのえる「脾」の養生にも気を配りましょう。

(注)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。

中医学的 穀雨の暮らしかた


・心と身体の状態

春の終わりにあたるので、肝の疲れが溜まり、春の不調が現れやすい頃です。

4月も下旬に入り、新しい環境などで頑張って、張りつめていたこころと身体が、休息を欲しているかもしれません。

ストレスからくる不眠や胃腸トラブルに見舞われやすいときですが、気候的には、春らしくとても過ごしやすい時期でもあります。

この後にひかえる梅雨や猛暑に備える“一時(いっとき)のお休み”と捉え、補給に重点をあてて、今のうちに疲れを取り除いておきたいところです。

穏やかな気候のもと、しっかり寝て、しっかり食べる。疲れすぎないように気をつけて、ゆっくり過ごしましょう。


『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(著:櫻井大典・土居香桜里/ワニブックス)

・起こりやすい不調

肝の不調からくるストレス性の胃腸トラブルに加え、イライラ・情緒不安定・不眠・身体のだるさなどに見舞われる人が多い頃です。

「ひたすら眠い」「とにかく疲れる」という人もいることでしょう——。

また、肝が弱ると「胆」も弱るため、いわゆる“胆力”がなくなります。

“胆力”とは、どっしり構えて“肝(きも)”が据わっている気力のこと。

この“胆力”がなくなると、ズバッと何かを決める“決断力”が低下するので、新しいことにチャレンジしたいのに一歩が踏み出せない・優柔不断になりがちといった症状も見られます。

養生


穀雨の頃は「調和肝脾(ちょうわかんぴ)」といい、春に活発に働く肝と、胃腸の働きを司る脾の働きを良くすることが重要に。

不摂生は避け、胃腸をととのえることが養生のポイントとなります。

春に多いストレス性の症状に見舞われたら、とにかくリラックスして、心身ともに“ゆるめる”ことを意識しましょう。

寝不足の人は睡眠をたっぷり確保してほしいのですが、なかなか生活スタイルが崩せないという人におすすめなのが、お風呂タイムの活用です。

湯船に浸かり、思わず「はあ〜」と声の出た経験のある人は多いはず。

中医学的には、あの「はあ〜」というタイミングにこそ、気と血(けつ)(注)が身体のすみずみまでめぐると考えます。つまり、こころからリラックスしているというわけですね。

あるいは、手軽な“レンチン蒸しタオル”も効果的。濡らして軽く絞ったタオルをレンジで温め、目の上や首の後ろに当ててみてください。きっと「はあ〜」と、心身ともにゆるむことでしょう。

この「はあ〜」をひとつの目安(=キーワード)として捉えることで、「自分が何をしたらリラックスできるのか」より明確になるはずですよ。

(注)中医学において「血」は、身体に栄養と潤いを運び、メンタルの安定にも作用する液体です。

中医学的 穀雨の旬のもの


・旬の食材1 スズキ

スズキは、この時期にいたわりたい肝を養い、胃腸をととのえ、血を補ってくれるので、まさに「調和肝脾」にピッタリ。中国でもよく食べられる魚のひとつです。

塩と酒をなじませ、ネギと一緒に蒸したスズキに、刻んだ鷹の爪や生姜、白髪ネギを乗せて、熱した油を回しかけていただくのが中華風。

魚全般において、養生的にベストな食べ方は、蒸し料理。次いで、煮る、焼く、となります。生の状態は消化の負担が大きく、冷房でお腹が冷えやすい夏場はますます身体を冷やすことに。お寿司やお刺身も美味しいですが、あくまで嗜好品としていただきましょう。

・旬の食材2 新玉ねぎ

3〜5月に旬を迎える新玉ねぎ。

新玉ねぎは、吐き気や胃の不快感などを改善し、血をめぐらせるので、この時期に出やすいゲップや、頭痛・肩こりを緩和してくれます。

みずみずしい新玉ねぎは、そのまま生でもシャキシャキと美味しいですが、スズキと一緒にホイル焼きも手軽でおすすめです。

・旬の食材3 文旦

ぜひ柑橘系を摂ってほしいこの頃、とくにおすすめなのは、文旦。

文旦は、ストレスからくる胃腸トラブルを改善し、咳を鎮め、イライラや落ち込みやすさなどのメンタル面もカバーしてくれます。

ストレスを受けやすい春には、ぜひ文旦と覚えておきましょう。爽やかな酸味と甘味で、気分をリフレッシュしてください。

※本稿は、『二十四節気の暦使い暮らし - かんぽう歳時記』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

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