SBI北尾吉孝氏 「本業はなんだ」フジHDの不動産事業依存をバッサリ「放送機関として間違い」
2025年4月17日(木)15時27分 スポーツニッポン
金融大手SBIホールディングス代表取締役会長兼社長の北尾吉孝氏が17日、会見を都内で行った。フジ・メディア・ホールディングス(HD)の経営改善に向けた見解を示した。
フジテレビの問題を巡っては、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが16日、同局の親会社フジ・メディアHDに12人の社外取締役の選任を求める株主提案を送付したと発表した。ダルトンが選任した新たな取締役候補は12人。当初から名前が挙がっていたSBIホールディングスの北尾吉孝氏を筆頭に、さまざまな経歴の人物を集めた。
北尾氏は「フジについても十分に立ち直ることができる」とした上で、「そのために一番大事なのは意識改革です。一番大事なのは経営理念。そしてその理念をベースにしたビジョンがないといけない」と断言した。
また、組織改革について「編成という重要な仕事をやれるに足る人格、知識、教養を身につけた人がやっているのが吟味しないといけない」と話し、続けて内製比率についても言及。「番組制作の力を内向きから視聴者向きに働くように内製比率を最適化する必要がある」とし、「持っているアーカイブ、いろんなコンテンツをデジタル化しないといけない、そしてそれを編成しなおさないといけない。デジタル人材、これも徹底的に応援しようと思っています」と述べた。
さらにダルトンが切り離しを提案する不動産事業について、「メディアコンテンツの割合が不動産その他に比べてフジメディアは少ない。本業はなんだと。なんで本業重視で上回る体制がつくれないのかと」と語気を強め、「その点、日本テレビは本業がしっかりしていますよ。本業がしっかりしていないTBSホールディングスも似たような体制になっているわけです。やっぱりメディアコンテンツ事業が利益のほとんどを占める体制に持ってこないといけない。不動産に依存してそこから利益を得るような、これは公的な放送機関として僕は間違いだと思います」と切り捨てた。
北尾氏は1951年生まれ、兵庫県出身。実家は船場の商人。74年に慶大経済学部卒業後、野村証券に入社した。新入社員の多くが営業から始まる中、総合企画室配属のエリートコース。在籍中は英ケンブリッジ大学経済学部へも留学し、78年卒業。95年、孫正義氏に誘われソフトバンクへ。99年ソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)社長兼CEOとなった。インターネットを軸にした独自の金融サービスを展開し、“ネット金融の革命児”とも呼ばれる。
2005年にライブドア堀江貴文社長(当時)らがフジの大株主だったニッポン放送を買収しようとした際にフジを救ったホワイトナイト(友好的投資家)となったことで知られ、それが今回敵対する立場に転じた〝20年ぶりの因縁〟が注目されることになりそうだ。