「失うものは何もない」“ジャイキリ”杉本和陽六段、王者・藤井聡太棋聖へ初挑戦!ファンからは応援の声続々「杉本棋聖なったれやー」「頑張って下さい!」
2025年4月26日(土)8時0分 ABEMA TIMES

将棋のヒューリック杯第96期棋聖戦挑戦者決定戦が4月25日、東京・将棋会館で行われ、杉本和陽五段(33)が名人挑戦中の永瀬拓矢九段(32)に勝利し、藤井聡太棋聖(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)への挑戦権を獲得した。同日付で規定により六段昇段を遂げた杉本新六段は、「失うものは何もない」と初めて上がる番勝負を澄んだ瞳で見据えた。
ジャイアントキリングの瞬間に、ファンが沸いた。全棋戦を通じて初めての“決勝戦”に臨んだ杉本六段。相手はタイトル5期のほか、令和のタイトル戦の常連で本棋戦でも挑戦権争いの本命と見られていた永瀬九段。自身の先手で三間飛車を志向したものの、早い段階で主導権を握られ長く苦しい時間を過ごすこととなった。
それでも闘志が折れることはない。渾身の粘りを見せて大激戦となった白熱の終盤戦で逆転に成功。フルスロットルで迫りくる永瀬九段をかわしきり、待望の勝利を飾った。
現在、名人挑戦中の強敵・永瀬九段を破って五番勝負への切符を手にした杉本六段は、「棋士になったときは自分がタイトル戦に出るというのは想像しがたかった。腐らずやってきて良かった」とコメント。「棋士になってタイトル戦に出たいという気持ちは持っていましたが、(タイトル戦を)身近に感じることすらできない現状があった。信じられない」と表情をこわばらせつつ喜びを語った。
杉本六段は、王座のタイトル経験者でもある中村太地八段(36)らと同じ故・米長邦雄永世棋聖門下。師匠が永世称号を獲得したタイトル戦の舞台に立つことになるが、「何か縁があるのかなとは思いますが、決勝トーナメントに入ったのも初めてですし、縁を感じるところまでは行けていないです」と苦笑いを見せる場面も。「最近、師匠のお墓参りもちょっとサボっていたので、これを機会に行こうかなと思います(笑)」と嬉しそうな笑みを浮かべた。
プロ入りは2017年の25歳と遅咲きだ。それでも「年を重ねても強くなることをあきらめなくない」と着実に実力を伸ばし、8年目にしてついに夢舞台へとたどりついてみせた。若き絶対王者の藤井棋聖とは過去2戦で2敗。直近の対戦は2023年10月の銀河戦決勝トーナメント準決勝での対戦となるが、「(藤井棋聖が)八冠を達成した直後の対戦で、木っ端みじんにされた」と振り返る。それでも、杉本六段は「失うものは何もない」とその視線はどこまでもまっすぐに前を見据える。「せっかくなので、普段の藤井先生のタイトル戦とは毛色の違った作戦をたくさん用意して臨みたい」と瞳を輝かせた。
さらに、棋聖戦といえば優勝賞金額を4000万円に増額することが発表されたばかり。さらに特別賞1000万円が新設され、事実上の賞金総額は5000万円に。竜王戦の賞金4400万円を上回って棋界最高額となったこともあり、将棋界内外から大注目が集まっている。“5000万円”をかけて番勝負を戦うことになった杉本六段は、「まさか自分が当事者になるとは…」と驚くばかり。「今日の対局もそうですが、金銭的なことはなるべく意識しないようにはしていました(笑)。執着を捨てていこうと思います」とし、対局に全集中することを誓っていた。
ユーモアあふれる杉本六段の喜びの会見の様子に、ファンも大興奮。「頑張って下さい!」「杉本棋聖なったれやー」「良かったなぁ」「確変したお杉は強いぞ聡太棋聖よ!」「夢を実現にした杉本先生、すごい」「杉本さん応援したくなるな」「楽しみや」と6月3日の開幕戦に向けて、ABEMAの視聴者からは応援のコメントが殺到していた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)