「目がすごい大きくなってる」10代で“バセドウ病”発覚→容姿が激変→ショックで“うつ状態”に…身長180cmの女優・霧華(24)が語った、闘病中の苦悩

2025年5月10日(土)12時0分 文春オンライン

〈 「食べたら吐いてしまい、身体がガリガリになった」身長180cmで体重54kgまで激ヤセ…女優・霧華(24)が語る、高校時代の彼女を襲った“謎の病気”の正体 〉から続く


 ミステリアスでクールなルックスで話題の霧華さん(24)。最近出演している「こねこフィルム」でも好評な彼女だが、俳優・モデル業を始めるまでは、バセドウ病による眼球突出などで手術を複数回受けるなど、苦難の道のりがあった。


 そんな霧華さんに、キャリアのきっかけから闘病時のことなどを聞いた。(全3回の2回目/ 3回目 に続く)



女優の霧華さん(24) ©鈴木七絵/文藝春秋


◆◆◆


目が大きくなる症状が出てバセドウ病と判明


——高校時代から体調が悪かったにもかかわらず、なかなか病名がわからなかったそうですね。


霧華さん(以降、霧華) 病院にもかかっていたんですけど、結局、体調不良を感じてからバセドウ病と診断がつくまで1、2年くらいは原因不明の謎の病という感じでした。


 もっと早く検査をしていたら判明していたかもしれませんが、当時は「なんでこんなに体力がないんだろう」と、自己責任の範疇でしか考えられなかったんです。


——バセドウ病の診断がついたきっかけは。


霧華 きっかけは、目が大きくなったことでした。体調不良でモデルも辞めて、最初はちょっと太ったせいで顔が変わったと思ってたんです。ただ、それにしても目がすごいなと思って、鏡で見る度に「顔が変わってる……」と感じていました。


 投薬治療を始めてからは副作用で73kgまで太ってしまい、バイト先で「顔がデカい」と容姿いじりを受けることもありましたが、笑って流すしかなく。あの時の自分は気の毒だったなって思います。


——ひどいです。具体的に、目が大きくなるとはどういう状態だったのでしょうか。


霧華 右目だけ、白目の上下が全部見えている四白眼になっていました。目が開き過ぎて二重(ふたえ)の線も消えちゃったんです。


「名前があったんだ、この体調不良に」病名がわかって安心した


——物の見え方も変わっていた?


霧華 見え方が変わってしまう人もいるそうですが、私の場合、それはなかったです。


 最初は黒目が小さくなってるのかと思って白内障を疑って眼科にも行きましたし、いろいろな病院へ行ったんですね。で、結局、内科で血液検査をしてもらったらそこでバセドウ病がわかったんです。


——長らく体調不良に悩まされていた中で病名がわかった時の心境は。


霧華 少し安心しましたね。名前があったんだ、この体調不良に、って。ただ、投薬治療をしないかぎり痩せていくことが多い病気なのに、治療の前から太り出していたので、体重増に関しては食べ盛りが影響していた部分もあったかもしれません(笑)。


 私は病名を聞くまでバセドウ病について何も知らなかったのですが、自分のように無自覚なバセドウ病患者は少なくない気がします。


「人より早く電池が切れちゃう」霧華さんが患ったバセドウ病の症状とは?


——当事者ゆえに、周りの人を見てバセドウ病だとわかることも?


霧華 バセドウ病だからといって、必ずしも目に症状が出るわけではありません。でも、たまに人の目を見て「もしかして同じ病気かな?」と感じることがあります。


 バセドウ病は、甲状腺ホルモンが必要以上にたくさん作られてしまう免疫疾患です。その影響で目の奥が腫れてしまい、目が前に押し出されたように見えることがあるんですね。


 それと、代謝が活発になり過ぎてしまうので、心拍数も高くなりやすいです。私はいつも脈が100以上あって、少し運動するだけで200近くまで上がってしまって。


——それはかなり苦しいのでは。


霧華 だから疲れやすいですね。人より早く電池が切れちゃう感じで、すぐ眠くなっちゃうんです。


 知り合いの人はちょっと動悸がするぐらいの初期段階で検査して気づけたそうなので、私の時と違ってここ数年でだいぶ、病気に対する理解度も上がっているかもしれません。


「目を引っ込める手術」を含め、2年間で5、6回手術を受けた


——バセドウ病が判明してからはどんな治療を?


霧華 とりあえず目を引っ込める手術をするために、服薬で進行を止めようというところから始まって。その薬を飲むと献血もできないと聞いて、それはちょっと驚いたんですけど。


——「目を引っ込める手術」というのもかなり怖そうですが。


霧華 さっき話したとおり、甲状腺ホルモンの過剰分泌で目の奥にある脂肪が炎症を起こして腫れている状態だったので、まず、その目の奥の脂肪を切除する手術をしたんです。


 すごくざっくり言うと、下まぶたを大きくひっくり返して、その奥にある「眼窩外側壁(がんかがいそくへき)」と呼ばれる骨を削り取り、眼球のスペースを広げるイメージですね。目の奥の脂肪もその時に除去します。


——聞くだけでかなりハードな手術で……。術後すぐ目は見えるようになるんですか。


霧華 見えはするんですけど、ワケがわからない世界というか、もうグチャグチャで。3D眼鏡をかけない状態で見る3D映像の、もっとずれてるバージョンみたいな感じです。術後2〜3週間くらいは壁を伝わないと絶対に歩けなかったですね。


 見え方だけじゃなく、見た目も、術後2〜3ヶ月くらいは黒目があっちこっちに向いている状態で、顔もパンパンに腫れて。


 で、その後2年間ぐらい、なんだかんだ手術を繰り返して、5、6回やったと思います。


——そんなに大変な目の手術を何回もやったんですね。


霧華 さっき話した手術は眼窩減圧術(がんかげんあつじゅつ)というものだったんですけど、その他にも、上まぶたを下げる手術もしたんです。バセドウ病眼症って、眼球突出以外にも、まぶたがつり上がってしまうこともあるんですね。


 右のまぶたを下げる手術をしたんですけど、それもまた大変で、今度が逆に閉じすぎちゃったんです。


「寝てる時は完全に目が閉じない」現在の右目の状態は…


——つり上がったまぶたを下げるための手術をしたら、今度はまぶたが閉じているような状態になってしまったと。


霧華 閉じてるまではいかないんですけど、ガチャピンみたいな、半分目が閉じているような状態になってしまって。で、無理やりまぶたを上げると、今度は逆にまぶたが閉じなくなってしまうという。


 仕方なく、一時期は右まぶたの裏側にワイヤーを通し、手動でまぶたの上げ下げを調整するようなこともしていました。


——今もまだまぶたの調整が難しい?


霧華 何回も手術してマシになったのが今の状態なんですけど、それでも寝てる時は完全にまぶたが閉じないので、いつも眼帯をつけて寝ています。


 眼帯を着け忘れると目が半開きのままになって乾燥しちゃって、涙で目が腫れ上がってしまうので、特に撮影の前日は忘れないように気をつけてますね。


——就寝時は眼帯が必須ということですが、今は日中は、問題なく過ごせている?


霧華 痛みを感じる時はしばらく眼帯をして目を休ませることがあるくらいで、今は問題ないですね。


 でも、まだ右目が出ているので、目を引っ込める手術はまたしたいなと思っていて。横を向いて左右の目を比べて見てもらうとわかりやすいんですけど、右目の方が左目よりまだ3mmくらい前に出てるんです。


「一生私は自分のやりたいことなんてできないじゃん」


——手術への恐怖はもうないですか。


霧華 今は逆に怖いんですよ。むしろ最初に手術を受けた時は心が死に過ぎてて、何でも良かったというか、けっこう投げやりな感じでした。少しでも顔が戻るんだったらいいや、くらいなノリで。


 今思えば恐怖も感じず、感情がないような感じで、うつ状態だったんだと思います。


——モデルの道が途絶えてしまったタイミングでしたよね。


霧華 私の人生って一生こうなんだ、って思っちゃったんですよ。


 バレーもモデルもできなかったし、病気にもなっちゃったし。手術で症状が落ち着いた頃、ダイエットのためにホットヨガに通い始めて、それがきっかけでヨガのインストラクターになろうと就活も頑張っていたんですけど、バセドウ病のせいで落とされちゃったんです。


——自分ではどうしようもない理由で扉が閉ざされてしまう状況が続いていたんですね。


霧華 ヨガのインストラクターは、「レッスン中に倒れられたら困る」という理由でした。まあそうですよねと思いつつ、じゃあ自分は何もできないじゃん、って。一生私は自分のやりたいことなんてできないし、背の高い自分を肯定しようとしてもできない状況に追い込まれました。


 ただその一方で、自分はいつか何かで有名になるはずっていう、根拠なき確信があったんです。


撮影=鈴木七絵/文藝春秋

〈 「今も右目が飛び出している」「右目がうまく開けない」“バセドウ病”と闘う身長180cmの女優・霧華(24)が明かす、自身の病気を公表した理由 〉へ続く


(小泉 なつみ)

文春オンライン

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