家族3代で製作した自主映画が公開 劇場は満員 主演の87歳・西本匡克さん「夢にも思わなかった」

2025年5月10日(土)21時48分 スポーツニッポン

 「俳優を目指していた父を舞台に立たせてあげたい」。そんな思いから家族3代で作り上げた自主映画「米寿の伝言」(監督ガクカワサキ)の初日舞台あいさつが10日、東京・池袋のシネマ・ロサで行われた。

 主演の西本匡克さん(87)は演技がほぼ素人。学生時代演劇部に所属していたが弟を早くに亡くし、家庭を支えるため不安定な俳優の道を断念し、教員の道に進んだ。

 それから半世紀、娘でプロデューサーを務めた浩子さん(58)はかつての父の夢をかなえるべく、匡克さん主演の舞台製作を発案。孫で俳優の健太朗(32)、銀二郎(28)兄弟も出演し、18年に大阪、19年に東京で上演した。

 コロナ禍を経て舞台を映画化。資金不足に悩まされつつも、クラウドファンディングと西本家の貯蓄から制作費を捻出し、無事劇場公開を迎えた。

 匡克さんは満員の観客を前に「こういう映画をできるなんて夢にも思わなかった。つくづく男冥利(みょうり)に尽きます」としみじみ。自身の演技について問われると「50%くらいですね」と辛口な自己採点。「思っていたことを表現するのは非常に難しい。俳優の方は大変だろうと思います。尊敬します。命の続く限りまたやってみたいと思います」と次回作への意欲をのぞかせ、大きな拍手を浴びた。

 舞台版に続き出演した長谷川かすみ(32)は「元々は西本家のおじいちゃんという見方をしていたのが、今は大尊敬する役者の先輩。皆さんもじいじ(匡克さん)の演技を目に焼き付けてください」と匡克さんの演技を絶賛。すると匡克さんは「どうしましょう」と照れ笑いし「こんなに褒められたら“びっくりぽん”です」とおどけ、会場を笑わせた。

 主演映画の劇場公開という形で父の夢をかなえた浩子さんは「舞台上でのお父さんはキラキラした顔をしている。そんな姿を横から見られて、逆に私がプレゼントをいただいた」と感慨深げ。西本家にとって忘れられない一日となったはずだ。

スポーツニッポン

「家族」をもっと詳しく

「家族」のニュース

「家族」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ