『あんぱん』竹野内豊、朝ドラ初出演の反響に驚き 寛役から多くの学び 名言の広がりにも期待「流行語大賞に…」

2025年5月26日(月)8時15分 マイナビニュース


●柳井寛役は“絶望”を意識「自分なりの死生観を持っているという重みを」
現在放送中の連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月〜土曜8:00〜ほか ※土曜は1週間の振り返り)で柳井嵩(北村匠海)の伯父・柳井寛を演じた竹野内豊にインタビュー。朝ドラ初出演となった本作への思いや役作りについて話を聞いた。
112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けている。
朝ドラには「いつかチャンスがあったら参加してみたい」「ご縁があったら出演したい」という思いがあったという竹野内。意外にもこれまでオファーがなく、1994年に俳優デビューしてから31年となる今年、ようやくオファーを受けて朝ドラ初出演が叶った。
『あんぱん』の企画にも魅力を感じて出演を決めたという。
「これだけ多くの方々に愛されたやなせ夫妻の軌跡をたどるような企画が本当に素晴らしいと思いましたし、『あんぱん』の物語は現代の人たちの心に何か届くストーリーだと思いました」
演じた柳井寛は、柳井医院の院長を務める町医者で、嵩と千尋(中沢元紀)の育ての父。26日放送の第41回で、往診の帰りに倒れて危篤状態になり、亡くなった。
竹野内は「寛は誰に対しても分け隔てなく広い心を持つ人格者。それはおそらく、今までの人生が希望に満ちた明るい面だけでなく、暗闇や絶望も経験しているからこそなのではないかと思います」と分析する。
そして、演じる際には“絶望”を意識していたという。
「寛の言葉一つ一つに深みを持たせ、説得力を含ませるにはどうしたらいいかと考えた時、いつも“絶望”の部分を自分の腹の底に置くイメージを持って演じていました。1人の医者として、多くの人と出会い、さまざまな人生の在り方や終わり方を見届けてきたはずで、自分なりの死生観を持っているという重みを反映させたいと思いました」
○「人生は喜ばせごっこや」の広がりに期待「流行語大賞になってほしい」
やなせさんの言葉を用いたものなど、心に響くセリフを多く残した寛。SNS上で「名言製造機」とも称されてきた。
「台本を読んでいても心に響くセリフがとても多く、どうしたら深みを持って表現できるかというのをすごく考えていました。やなせさんの言葉を引用したものもとても多かったので、皆さんも耳馴染みの多いセリフが多かったと思いますが、土佐弁だったからこそ多くの方々にしっくり届いたのではないかと思います」
数々の名言が登場する中で、竹野内が最も共感したのは「人生は喜ばせごっこや」というセリフだと言い、「このセリフを撮る前は『うまく言えたらいいな、ちゃんと伝えられたらいいな』と思っていました」と振り返る。
自身も「人生は喜ばせごっこ」という考えを大切にしたいと言い、「今の時代にこういう精神が日本に広まっていけば素晴らしい国になると思いますし、1人でも多くの人がそのような意識を高めることができれば、きっと素晴らしい未来が約束される気がします。今年で終戦80年を迎えますが、誰もがもしかしたらという不安を抱えて生きている。だからこそ『人生は喜ばせごっこや』が流行り言葉になってほしい」と願う。
さらに、「『たまるかー!』と両方、流行語大賞になってほしいですね。『たまるかー!』は寛先生は1回だけ、嵩が受験に合格したときに言いました」と笑った。
●“嵩”北村匠海&“千尋”中沢元紀に芽生えた父性「本当の息子のように」
竹野内は父親役の経験はあるが、育ての親を演じるのは今回が初めて。台本を読んでいる段階では、「どういう風に一言一言に重みをもたせたらいいのか」と悩んでいたという竹野内だが、嵩の幼少期を演じた木村優来と対峙したときに迷いがなくなったという。
「この言葉は子供たちに本当に伝わるのかなと不安でしたが、子役の子たちが本当に素晴らしくて、対峙したときに子供から教わることがとても多かったです。呼吸を合わせるというか、ちゃんと向き合って嵩に真っすぐ伝えればいいんだと思って演じました」
北村と中沢と対峙するときも、「真っすぐ伝える」という姿勢で向き合ってきたという。
「どの作品でも、台本を読んで頭でっかちに考えていたお芝居のプランは、現場でほとんど役に立たないことが多いんです。今回もまさにそうでした。北村くんはすごく繊細で、彼自身が持っている光と影というものがあって、木村くんを初めて見たときに北村くんの雰囲気を感じて、『あ、いける』と。そのまま切り替えていけるという手応えを感じました」
千尋役の中沢については「いまどきあの年齢では珍しいくらい瞳の奥が子供のような純粋な目をしている」と述べ、「北村くんもそうですが、共演していたときに、寛が投げた言葉をちゃんと受け止めて跳ね返ってくるものがすごくありました」と振り返る。
そして、北村と中沢に対してすっかり父性が芽生えていたようで、「まるで本当の息子のようにかわいい子たちだなと思って、一緒にお芝居するのがすごく楽しかったです。本当に兄弟のように見えてくるし、自分もこのぐらいの息子がいてもおかしくないわけで、親子を疑似体験できてとても楽しかったです」と目を細めた。
千尋と嵩を実の息子のように育ててきた寛と妻・千代子(戸田菜穂)。竹野内は「もちろん自分の子供がほしいという気持ちはあったと思いますが、千尋と嵩との出会いはそれ以上の大きなもので、2人にとって大きな財産なのではないかなと思います」と語った。
また、朝ドラの反響の大きさに驚いたという竹野内。「反響は想像していた以上に大きかったです。行く先々で『朝ドラ見てるよ』という温かい言葉をいただけて、これだけ毎朝多くの人々に楽しんでもらえてうれしいです」と笑顔を見せる。
そして、寛を通じて多くの学びを得たと言い、「本当に人格者で、分け隔てなくすべての人たちに愛情を持って親身に寄り添う姿勢というのは、今の時代にそういう心が必要だなと、寛さんから改めて学ばせてもらいました。人生のヒントになる言葉を与えたり、人格者ならではの周り全体をふっくら包み込むような人間性はとても勉強になりました」と語っていた。
■竹野内豊
1971年1月2日生まれ、東京都出身。1994年に俳優デビューして以来、数々のドラマ、映画等に出演。近年の主な出演作は、ドラマ『イチケイのカラス』(21)、WOWOW『さまよう刃』(21)、Netflix『THE DAYS』(23)、映画『シン・ウルトラマン』(22)、『映画 イチケイのカラス』(23)、『唄う六人の女』(23)、『四月になれば彼女は』(24)等。2022年には、京都国際映画祭にて三船敏郎賞を受賞した。公開待機作に、映画『雪風 YUKIKAZE』(8月15日公開)、映画『SPIRIT WORLD』(10月31日公開)がある。
(C)NHK

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