竹野内豊、『あんぱん』寛の最期を語る「とにかくじっと…」 無念の思いも「もう少し長く2人の成長を…」

現在放送中の連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月〜土曜8:00〜ほか ※土曜は1週間の振り返り)で柳井嵩(北村匠海)の伯父・柳井寛を演じた竹野内豊にインタビュー。寛の最期のシーンの裏側や演じた感想を聞いた。
○“千代子”戸田菜穂の手から「すごく響いてくるものがあった」
112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けている。
竹野内が演じた柳井寛は、柳井医院の院長を務める町医者で、嵩と千尋(中沢元紀)の育ての父。往診の帰りに倒れて危篤状態になり、妻・千代子(戸田菜穂)、千尋、女中の宇戸しん(瞳水ひまり)が見守る中で亡くなった。嵩は電報で危篤を知らされるも、卒業制作を完成させないと「伯父さんに顔向けできない」とすぐに帰らず、死に目に間に合わなかった。
早く亡くなってしまうという展開について、竹野内は「残念だなと。これから(千尋と嵩)は戦争にも行きますし、もう少し長く2人の成長を見守ることができたらなと思いました」と率直な思いを吐露した。
嵩は打ち覆い(白い布)をかけられた寛を見て号泣。すぐに帰らなかったことを謝り続ける嵩に、千代子は「最後まで描きあげんと、半端で戻ってきたら殴っちゃる。投げ出すがは許さん」という寛が残した言葉を伝えた。
竹野内は「戸田さんが私の手を取り、そこですごく響いてくるものがありました」と千代子の気持ちが伝わったと言うも、「テストの段階から顔に白い布をかぶせられていて、皆さんの顔は一切見られなかったので、オンエアを見て見ないとどんな感じになっているのかわからない。私はただ横になって、なるべく布団が持ち上がらないように息を止めて、とにかくじっとしていなきゃいけないと思っていました」と振り返る。
そして、「俺はこのシーンで終わってしまうんだなと。『皆さんさようなら』『みんな頑張れ』という気持ちでした」と述べ、「ここ最近の作品、(演じた役が)ほとんど全部亡くなっていて、ここ数年の間で何回亡くなったかわからない」とも話した。
○“嵩”北村匠海に向けた「投げ出すがは許さん」に込めた思い
嵩に向けた「投げ出すがは許さん」などの言葉については、「そのぐらいの気持ちで生きていってほしい」という思いが込められていると言い、「人生は自分の思い通りにならないことの方が多くて、年を重ねていってふと自分の辿ってきた道を振り返った時に、意味のなかったことの方が実は人生において大切なことが詰まっている」と持論を展開。
「自分が決めたことや自分がやりたいと思ったことは、とにかく自分を信じて絶対に諦めない。中途半端に途中でさじを投げたり逃げたりするのは一番良くないので、自分に子供がいたらたぶん同じことを言うのではないかなと思います」と寛に共感する。
さらに、「うまくできなくてもずっと続けることに価値がある」と人生観を述べ、「成功するか失敗するか、結果はどちらでも関係なく、そこに向かっていくまでの自分の気持ちがすごく大事だと思うので、そういう気持ちを腹の底に置いて(寛のセリフを)言っていたと思います」とセリフに込めた思いを明かした。
また、クランクアップ後、キャスト陣と最期のシーンを振り返る機会があったそうで、「その時に、おしんちゃんが本当に素晴らしくて表情にみんなやられていた」と、女中・しん役の瞳水を絶賛していたというエピソードを紹介。竹野内もたびたび瞳水の演技に惹き込まれることがあったと評した。
SNS上では視聴者から「寛先生がいなくなったらロスになる」という声が多く上がっていたが、竹野内は「嵩とのぶちゃんの成長を最後まで見届けていただけたら。応援してあげてほしいです」と視聴者にメッセージを送り、演じた寛について「皆さんの記憶の中に残していただけるだけで光栄です」と話していた。
■竹野内豊
1971年1月2日生まれ、東京都出身。1994年に俳優デビューして以来、数々のドラマ、映画等に出演。近年の主な出演作は、ドラマ『イチケイのカラス』(21)、WOWOW『さまよう刃』(21)、Netflix『THE DAYS』(23)、映画『シン・ウルトラマン』(22)、『映画 イチケイのカラス』(23)、『唄う六人の女』(23)、『四月になれば彼女は』(24)等。2022年には、京都国際映画祭にて三船敏郎賞を受賞した。公開待機作に、映画『雪風 YUKIKAZE』(8月15日公開)、映画『SPIRIT WORLD』(10月31日公開)がある。
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