AAA與真司郎「隠す人生はもう終わり」 ゲイ告白後の葛藤乗り越え“ありのままの自分”で生きられるように

2025年5月26日(月)17時0分 マイナビニュース


●カミングアウト時に涙「嘘がなくなった、というのが一番でした」
「自分を隠し続けるのに疲れ果ててしまった」——そう語るのは、2023年7月にファンの前で自らがゲイであることをカミングアウトしたAAAの與真司郎だ。今年4月に自身の人生をつづったフォトエッセイ『人生そんなもん』(講談社)を出版した與に、カミングアウトを決意した理由やその後の変化、同書に込めた思いなどを聞いた。
カミングアウト後、伝えきれない思いを書籍という形で表現したいと考えていた與。複数の出版社から話があり、以前仕事をしていて信頼関係のあった講談社の担当者からの提案に「ぜひやらせてください」と応じたという。
「LGBTQ+の人たちだけでなく、さまざまな悩みを抱えている人たちに少しでも希望と勇気を与えられるような本にしたいなと。読むことで『こういう考え方もありなのかな、こういう人生もありなのかな』と考えさせるような本にしたいという思いがありました」
オープンマインドの風を吹かせたいという思いもあった。
「日本の慣習が悪いわけではないのですが、他人を気にしすぎて自分を置き去りにしている人が多いと感じるので、自分らしく生きることの大切さをシェアできたらいいなと思いました。僕自身、自分らしく生きることで人生が変わったので」
與がゲイであるとカミングアウトした理由は2つあったという。
「一つは自分のためで、嘘をつき続けるのに疲れてしまい、そのプレッシャーに耐えられなかった。もう一つは、僕のような葛藤を抱いている人を少しでも減らしたいという思いがありました」
続けて、「『カミングアウトする必要なくない?』と言われることもありますが、表に出る仕事をしていると、隠していてもいつかバレるかもしれないリスクがあります。デート中に撮られたり、ゲイの集まる場所で写真を撮られてSNSに上げられたり。それが嫌だったので、先に自分の口から言いたかった」とも話した。
そして、2023年7月に約2000人のファンを無料招待したイベントでカミングアウトした瞬間を振り返り、「自然と涙が出ました。やっと言えた、嘘がなくなった、というのが一番でした」と当時の心境を明かす。
○カミングアウト後の葛藤を告白「スッキリすると思ったら…」
しかし、カミングアウト後は予想外の葛藤があったと打ち明ける。
「スッキリすると思ったら逆にスッキリしなかったんです。応援してくれる人がほとんどでしたが、悲しいコメントを見て、『カミングアウトしてよかったのかな、しない方がよかったのかな』とネガティブな方向に走ってしまいました」
特に傷ついたのはファンから否定的な言葉だったという。
「知らない人に叩かれるのは平気ですが、ファンだった人からの『しんちゃんゲイなの気持ち悪い』というコメントを目にしたときに傷つきました。そういう声もあるというのは予想していましたが、実際に目にすると『言わない方がよかったかな』と。そこから抜け出すのは大変でした」
葛藤を乗り越えられたのは、友人や仕事の存在だった。
「精神的によくなかったのであまり表に出る仕事はしたくなかったのですが、徐々にメディアに出たり、トークショーをしたり、AAAのメンバーである宇野実彩子のライブにゲストで出たりしました」
宇野について「兄弟のような、“双子のお姉ちゃん”のような存在」と表現し、「カミングアウト前にも相談していて、当日もリハーサルから来てくれて『私たちがついているから大丈夫』と背中を押してくれました」と感謝した。
そして、宇野のライブや自身のトークショーなどを経て気持ちに変化があったそうで、「イベントで普通に話ができたことで、どんどん自信がついてきて、前を向いていこうという気持ちになっていきました」と振り返った。
●アメリカ生活で「自信を持って生きていいんだと思えるように」
與の人生を大きく変えたのはアメリカでの経験だった。
「アメリカに行ってなかったら、家族にもゲイであることを言えてなかったと思います。アメリカに行く前は、『自分は病気だ』『悪いことをしている』という感覚がずっとありましたが、アメリカに行って初めて彼氏ができたり、友達から『お前は悪いことなんてしてない』と勇気づけられたりして、自信を持って生きていいんだと思えるようになりました」
日本とアメリカの違いも実感したという。
「LAやニューヨークはオープンマインドな人が多く、ゲイタウンでなくても同性同士が手をつないだりハグしたりするのは普通の光景で、ジロジロ見られることはありません。日本ではまだ、同性同士が道で手をつないでいたら見られると思います」
海外に行ったことで、結婚も選択肢として考えるように。
「以前は結婚は僕の人生には一生ないと思って生きてきましたが、海外には結婚していたり、子供を授かっているゲイカップルもいて、そういう選択肢もあるんだなと。今すぐ結婚したいというわけではないですが、これからいい出会いがあったら、そういうこともありだよねと思っています」
音楽活動への向き合い方もカミングアウトによって大きく変わった。
「音楽でちゃんと自分の思いを伝えられるようになり、恋愛についても書けるようになったことで、音楽活動の意味が全然変わりました。今までは演じていたけど、今は自分が本当に伝えたいことを歌として伝えられる。パフォーマンスに違いが出てくるし、歌っていて楽しい。聞く側にもより響いてくれることを願っています」
最近は講演会などの活動にもやりがいを感じているという。
「経験を隠さずに話して、人に勇気や希望を与えられるというのは素晴らしいことだと思っています。音楽活動も講演会も、すべての根底には、1人でも多くの人が楽に生きられる、自分らしく生きられるようになればという思いがあります」
○「ゲイでも人生楽しんだよ、ということを少しでもシェアできたら」
日本とLAの2拠点生活を送っていた與だが、昨年LAの家を引き払い、「今は世界を回っている」と明かす。
「行き先は適当です。とにかく行きたいところに。バンコクやシドニーに行ったり、ヨーロッパやアメリカに行ったり。日本に家があるので一応拠点は日本になりますが、海外にいる方が長いです」
いろんな国を訪れて、「めちゃくちゃ視野が広がりました」と語る。
「アメリカ以外の考えを知ることができ、国によって、街によって、人柄や考え方が違うので、それを学べるというのはすごくいい経験になっていますし、世界中に友達ができてきて、いろんな人と話すことによって世界が広がっています」
今後については「自分らしく、もっともっとオープンマインドになって、自分の人生を楽しみたい。プライベートも仕事も120%楽しくやっていきたいです」と抱負を述べ、「ゲイでも人生楽しんだよ、自分のことを愛してくれる仲間ができるんだよ、ということを少しでもシェアできたら」と話した。
そして、いい出会いがあったらオープンに恋愛するつもりだと言い、「撮られたところで何とも思わない。隠す人生はもう終わらせたいので。ありのままの自分で人生を楽しんでいけたらと思います」とにっこり。「これまでたくさん葛藤したからこそ今の自分がある。本当に今まで頑張ってきてよかったなと思います」と晴れやかな表情で語ってくれた。
■與真司郎
1988年11月26日生まれ、京都府出身。現在は日本と海外を拠点に活動中。男女混合のパフォーマンスグループ、AAAのメンバーとして、 2005年にデビュー。グループは2021年、AAA初となる6大ドームツアーを終えたタイミングで本格的な活動休止に入る。2023年7月、「與真司郎 announcement」にて、自身が同性愛者であることを約2000人のファンの前で公表。現在は自身の人生を題材にしたドキュメンタリーをハリウッドにて制作中。ソロアーティストとして、最新シングル「Kizuketa」を2024年10月30日に配信リリースし、同年11月に5都市9公演を回る「SHINJIRO ATAE LIVE BAND TOUR & BIRTHDAY TALK SHOW 2024」を完走した。
スタイリスト:SUGI(FINEST) ヘアメイク:佐藤真希 衣装:ジャケット/meagratia

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