中国商務省、米ウォルマートを召喚し調査…追加関税への事実上の報復措置か
2025年3月12日(水)18時50分 読売新聞
中国にも多く出店する米ウォルマート(12日、北京市内で)=山下福太郎撮影
【北京=山下福太郎】中国商務省が11日、米トランプ政権による対中追加関税を巡り、米小売り大手ウォルマートを召喚して調査に乗り出したことがわかった。同社が関税を負担するため、中国の仕入れ先企業に大幅な値下げを要求したとしている。米国を代表する巨大企業を狙い撃ちにした事実上の報復措置の可能性もありそうだ。
国営中央テレビ系の「玉淵譚天」など複数の中国メディアが12日、関係者の話として報じた。「サプライチェーン(供給網)の混乱リスクが生じ、中国と米国の企業、米国の消費者の利益が損なわれる」と批判し、ウォルマートの対応次第では調査だけでは済まない可能性も示唆した。
米ブルームバーグ通信は今月6日、ウォルマートが中国の一部仕入れ先企業に大幅な値下げを要請したと報じていた。具体的にはキッチン用品や衣類メーカーは、関税が課される度に10%の値下げを迫られ、実質的に対中関税分の全額負担を求められた。中国企業は強く反発しているという。
通常、輸入品に課される関税は、輸入先の国の税関を通る段階でその国の輸入業者や企業などが負担する。輸入業者らは輸入品の販売価格を値上げすることで最終的な購入企業や消費者に関税分を転嫁することが多い。