コンクラーベ前哨戦、有力候補が「高血圧で倒れた」とのフェイクニュース…イマジン熱唱動画も拡散

2025年5月4日(日)21時28分 読売新聞

バチカンで、各国首脳や聖職者らが見守る中執り行われたローマ教皇フランシスコの葬儀(4月26日)=倉茂由美子撮影

 【ローマ=倉茂由美子】カトリック教会の新たなローマ教皇を選ぶ教皇選出会議(コンクラーベ)が7日に始まるのを前に、有力視されてきた候補に関するフェイクニュースが流れており、バチカン内では注意を促す声が出ている。新たな注目候補も次々と浮上しており、新教皇の選出は混戦模様となっている。

 ローマ教皇庁によると、投票権をもつ80歳未満の枢機卿135人のうち、2人が健康上の理由で欠席を表明し、コンクラーベに出席するのは133人になる見通しだ。

 そんな中、最有力候補とみられていたイタリア人枢機卿のピエトロ・パロリン国務長官(70)の病気説が出回った。4月末、「バチカンでの会議後に高血圧で倒れ、医師の治療を受けた」などとする内容だ。

 教皇庁報道官は2日、「そのようなことは起きていない」と否定。イタリアのメディアは、米国の保守系カトリックのニュースサイトが出所だと指摘し、パロリン氏の選出を阻むための「毒」と報じた。有力候補に健康不安説が流れるのは過去にもあった。

 コンクラーベに向け、バチカンでは連日枢機卿会議が開催され、自己アピールや根回しの場になっている。バチカン筋によると、フェイクニュースが拡散する状況に「惑わされないように」などと注意喚起をする枢機卿もいるという。

 また、フィリピン出身の有力候補、ルイス・アントニオ・タグレ枢機卿(67)も、ジョン・レノンの「イマジン」を熱唱する過去の動画などがSNS上で拡散している。歌詞に「天国」や「宗教」がないと想像を呼びかけるフレーズがあり、伊紙スタンパなどは「無神論文化への屈服だとみなされている」と影響が出る可能性を指摘した。

 一方、次期教皇候補として注目度を上げている枢機卿もいる。その一人が、フランスのマルセイユ大司教を務めるジャンマルク・アベリヌ氏(66)だ。移民問題に熱心で教皇フランシスコとの共通点が多い。イタリア語を話せないのが弱点とされてきたが、枢機卿会議でイタリア語で発言して驚かせたという。

 マルタ出身のマリオ・グレック氏(68)は、世界代表司教会議の事務局長を務め、改革路線の継承者として評価を高めている。

 ただ今回、枢機卿の出身国は、約70か国に及ぶなど多様化が進んでいる。意見がどのように集約されていくか、見通すのは難しいのが実情だ。

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