インドとパキスタンが即時停戦で合意…トランプ大統領はSNSで「米国が仲介」と表明
2025年5月10日(土)23時54分 読売新聞
【地図】抗争が続くカシミール地方
【ニューデリー=浅野友美、ワシントン=淵上隆悠】攻撃の応酬を続けていたインドとパキスタンの両政府は10日、即時停戦で合意したとそれぞれ発表した。パキスタン軍は10日、首都イスラマバード近郊など3か所の空軍基地がインド軍の攻撃を受け、インドの複数の空軍基地に反撃したと表明していたが、米国のトランプ大統領は米国の仲介で停戦に合意したと明らかにした。
パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は「地域の平和や安定への道のりを妨げてきた問題の解決に向け、合意が新たな始まりだと信じている」とSNSで表明した。インドのビクラム・ミスリ外務次官も、印パ両軍の最高幹部が電話会談し、停戦で合意したと明らかにした。双方が陸海空全てで発砲と軍事行動を停止するという。
トランプ氏は自身のSNSで「米国が仲介した協議の末、インドとパキスタンが完全かつ即時の停戦に合意した。常識と優れた知性を持つ両国を祝福する」と述べた。
米国のルビオ国務長官は10日、「印パ両政府は、即時停戦と中立地で幅広い問題に関する協議を始めることで合意した」と表明した。米側はこの2日間、バンス副大統領とルビオ氏がインドのナレンドラ・モディ首相やパキスタンのシャリフ氏らと会談を重ね、紛争回避に向けた両国の建設的協議を支援すると申し出ていた。先進7か国(G7)も10日、両国に最大限の自制を求める声明を発表していた。
印パの衝突は、領有権を争うカシミール地方のインド支配地域でインド人観光客ら26人が死亡した4月の銃撃テロが発端となった。印側はテロの実行犯らをパキスタン政府が支援したとみて今月7日にパキスタン側を攻撃し、民間人を含む70人以上の死傷者が出た。
10日未明にはパキスタン軍が自国の空軍基地などが攻撃されたとして、インド軍の複数の空軍基地へのミサイル攻撃を行い、大規模な軍事衝突への懸念が一層高まっていた。双方に民間人の犠牲者がこれ以上増えれば、衝突拡大を非難する国内世論が高まる恐れがあった。自国経済への影響も考慮し、一時的な停戦に合意したとみられる。