カタールが米国にジャンボ機譲渡、特別仕様「空飛ぶ宮殿」の異名も…憲法違反の可能性浮上
2025年5月22日(木)10時36分 読売新聞
米国のトランプ大統領(21日、ホワイトハウスで)=AP
【ワシントン=池田慶太】米国のトランプ政権は21日、老朽化する大統領専用機(エアフォース・ワン)の代替機としてカタールからジャンボ機(ボーイング747型)を譲り受けたと発表した。改修して一時利用する計画に対し、憲法違反の可能性や安全保障上のリスクが指摘されている。
トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に「カタールは米空軍にジェット機を供与する。素晴らしいことだ」と述べた。現在の専用機は約35年前に就役し、昨年中に後継機に更新される予定だったが、納入が大幅に遅れており、トランプ氏が不満を表明していた。
ジャンボ機はカタール王室向けに改装された特別仕様で、「空飛ぶ宮殿」の異名を持つ。資産価値は4億ドル(約580億円)とも言われ、トランプ氏は無償譲渡により巨額の税金が節約できると主張している。
しかし、大統領が議会の同意なしに外国から金銭などを受領するのを禁じる憲法に違反している可能性が浮上した。野党・民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務は声明で「あからさまな汚職だ」と指摘し、計画を阻止する法案の成立を目指すと表明した。
与党・共和党の一部はカタールがイスラエルと戦闘を続けるイスラム主義組織ハマスと近い点を問題視し、ジャンボ機寄贈で米政府に「影響工作」を仕掛けていると警戒する声もある。