日本のドアにはマグネットが最適解、Amazonドアベル新製品の投入背景を聞いた
2025年3月10日(月)16時17分 マイナビニュース
アマゾンジャパンは3月10日、Ringの防犯カメラ機能付きドアベル「Ring Battery Doorbell」と、屋外用セキュリティカメラ「Ring Outdoor Cam Plus」2製品の説明会を開催しました。2月20日に発表された製品で、Ring Battery Doorbellはすでに販売を開始しています。
Ring Battery Doorbellの大きな特徴の1つとなる、マグネット付きの取り付け台を使うと、多くのドアへ磁力で製品を設置できるようになります。またRing Outdoor Cam Plusは雨どいへ手軽に付けられるよう、新たな設置バンドが付属しました。2製品とも日本市場に向け、「手軽な取り付け」に注力している印象です。
○体感治安の不安が高まっている日本
「Ring Battery Doorbell」は、家に来てベルを鳴らした人の通知や映像を、スマホアプリなどで確認できるドアベル製品。モーション検知やリアルタイム通知、ライブ映像確認、お互い声でやり取りできる双方向音声などの機能も搭載しています。
新製品は日本向けに開発されたマグネット付きの取り付け台により、ねじや工具不要で多くの玄関ドアへ手軽に設置できる点が特徴です(ねじを使った取り付けも可能)。販売価格は14,980円で2月20日から発売中。
「Ring Outdoor Cam Plus」は、2Kの高解像度映像とローライトサイト技術を備えた屋外用セキュリティカメラ。別売りのポールマウント(3,180円)との組み合わせが日本で特に人気が高といい、ポールマントを使うことで雨どいなどへの設置が可能です。販売価格は12,980円で、当初の出荷予定は3月26日でしたが、4月15日へ出荷開始が伸びる見込みとのこと。現在予約受付中です。
アマゾンジャパンでRing事業部 シニアプロダクトマネージャーを務める瀬口雄介氏は、警察庁の犯罪情勢データを例に挙げ、日本では「体感治安」が悪くなったと感じている人が増えていると話しました。令和6年のデータでは、日本の治安について「よいと思う」と回答した人が全体の56.4%を占める一方、ここ10年間での日本の治安が「悪くなったと思う」と回答した人は全体の76.6%を占めています。
こういった動向から最近特に導入が検討される屋外セキュリティカメラですが、同社の顧客アンケートによると日本のユーザーは屋外デバイスの設置を施工業者に頼む人が多数派とのこと。今回投入されたRing Battery Doorbellの前機種は、Ring製品のなかでも「世界中でベストセラーとなっている製品」ですが、従来はねじで本体を着脱する必要があり、自分で手軽に設置できないと日本で受け入れられにくいのでは、との理由から投入が見送られていました。
瀬口氏が「日本の環境にあった取り付け方法」を検討していたところ、日本のドアには高い確率で化粧鋼板(けしょうこうはん)が使われていることがわかったといいます。化粧鋼板は鋼板の表面に樹脂などを塗装した板で日本のドアに多く使われており、このドアであればねじや工具を使わず、ドアベルを磁力で手軽に設置できるようになります。
また日本のドアは多くが外開きで、開閉時の衝撃をやわらげるドアクローザーが設置されているため、ドアを閉じた際に落下の心配が少ないこともマグネット設置に適していたとのこと。
マグネット設置では製品が盗難される心配もありますが、瀬口氏は録画内容がクラウドストレージに記録されること、またMacアドレスでデバイス管理していることが、一定の対策だと紹介しました。
Ring Battery Doorbellでは、一度ユーザーと製品を紐づけると利用者を変更する際に「デバイスは他の人に登録されています」というアラートが出るため、簡単に次の人が使えない仕組みを導入。また万が一盗難に遭った際は、警察署が発行する被害届出証明書の提出といった所定の手続きを経ることで、無償交換に対応する盗難補償が用意されています。
○雨どいにも設置できる防犯カメラ、24時間録画でビジネス利用も
屋外用セキュリティカメラのRing Outdoor Cam Plusは、ポールマウントのアクセサリーが日本で特に好調だといいます。壁などに穴を開けて取り付けることが難しい住宅環境ではポールマウントによる設置が役立ちますが、従来モデルはネジを締めるクランプが右側にあったため、設置場所の右側に隙間がないと使えない、という改善要望がユーザーから挙がっていたそう。
新モデルではポールマウント同梱の新アクセサリーとして、設置用ホースクランプが追加されました。中サイズ径のバンド(直径13.9cm)は主に海外向け、そして小サイズ径のバンド(直径10.2cm)は日本向けを想定しており、雨どいなどでは小さな径のバンドでの設置が適しているとのこと。このほか5GHz帯の通信にも新たに対応しています。
Ring Outdoor Cam Plusではバッテリーモデルと電源アダプターモデルの2種類が用意されています。バッテリーモデルは着脱可能な充電式バッテリーを採用。Wi-Fiが届く範囲であれば電源工事なしで設置でき、別売りのRingソーラーパネル 4Wとも併用できます。
一方の電源アダプターモデルは、電源コードで常時接続されるため電池切れの心配がありません。専用料金プラン「Ring Home Premiumプラン」との併用により、24時間365日の連続録画が可能となっています。
料金プランとしては、Ring Battery DoorbellもRing Outdoor Cam Plusも、専用料金プラン「Ring Homeプラン」に対応しています。加入することで、スマートアラートやクラウドストレージなどの追加機能が利用できるほか、Amazon Alexa対応デバイスと連携することで音声操作やライブ映像の表示が可能。24時間連続録画が可能なPremiumプランは個人だけでなく法人利用の引き合いもあるそうです。
○日本のユーザー向けにローカライズ。要望に応じて機能拡充も
AmazonのRingシリーズは、ドアベル(ドアホン)から屋内・屋外用カメラまでを揃えるAmazonのスマートホームセキュリティ製品。Ringはもともと2013年に創業したスタートアップ企業でしたが、2018年にAmazonが買収し完全子会社化しています。
発表会の冒頭、同社のMark Fletcher氏(Managing Director, APAC Ring インターナショナルセールス&マーケティング)は、Ring製品はクラウドでの録画サービスが(ユーザーの生活に)最も重要だと考えており、“ドアベル”という枠にとらわれずユーザーの要望に応じて機能を拡充してきたとアピールしました。
現在では家族や家、ペットの状態を確認したり、ビジネス利用をしたり、多種多様な形での利用シーンがあるといいます。今回の新製品は「日本のユーザーに喜んでもらえるよう、特にローカライズを行った商品。世界中でベストセラーとなっている、革命的なドアベル製品を日本で紹介できてうれしい」と話しました。