砂糖の摂り過ぎでメタボを引き起こす腸内細菌を特定 名大
2025年4月6日(日)16時35分 財経新聞
今回の研究の概要(画像: 名古屋大学の報道発表資料より)
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砂糖の摂り過ぎによって、今回特定した5つの腸内細菌の状態が変化し、その代謝物によって肝臓における脂質代謝異常が引き起こされることで、メタボリックシンドロームにつながるという。
研究グループによると、食生活の改善などで腸内環境を整えることで、砂糖の摂り過ぎによるメタボリックシンドロームを予防できる可能性があるという。
■メタボリックシンドロームが発症するメカニズム
従来、メタボリックシンドロームは食べ過ぎ、特に油の摂り過ぎが原因であると考えられてきた。
しかし最近になって、砂糖など糖類の摂り過ぎが、メタボリックシンドロームの主要な原因のひとつであることがわかってきた。
過剰になったフルクトースが腸内細菌の状態を変化させることで、その代謝物による肝臓の脂質代謝異常が引き起こされ、メタボリックシンドロームにつながるという。なおフルクトースとは、果糖とも呼ばれ、砂糖が消化されると、果糖ができる。
ただこれまで、具体的にどの腸内細菌の状態の変化がメタボリックシンドロームにつながるのかについては、よくわかっていなかった。
■メタボリックシンドロームにつながる腸内細菌を特定
まず研究グループは、過剰に砂糖を与え、腸内細菌の状態を変化させたラットに、4種類の抗生物質を混合したものを与えた。その結果再び腸内細菌の状態が変化し、脂質代謝異常が抑制されたという。
そこで次に、この4種類の抗生物質をそれぞれ単独で与えたところ、メトロニダゾールと呼ばれる抗生物質を与えた場合にのみ、脂質代謝異常を抑制する効果が認められた。
またメトロニダゾールと作用がよく似た2種類の抗生物質を与えた場合にも、メトロニダゾールにだけに同様の効果が確認されたという。
以上の実験結果から、砂糖などの過剰な摂取により肝臓における脂質代謝異常を引き起こす腸内細菌5つを絞り込んだ。
研究グループは、砂糖の摂り過ぎによるメタボリックシンドロームは、砂糖の摂取を制限する以外にも、今回特定された5つの腸内細菌に働きかける食品の摂取などによって腸内環境を整えることで、予防できる可能性があるとしている。