「人間洗濯機」「培養肉」、動く「心筋シート」……大阪万博「ヘルスケアパビリオン」先行入場で見つけた注目展示たち
2025年4月11日(金)7時30分 ITmedia NEWS
●55年の時を経て復活「人間洗濯機」
以前から注目を浴びていた、浴室・洗面機器メーカーのサイエンス(大阪市)が展示する「ミライ人間洗濯機」。実は1970年の大阪万博でも、三洋電機が「人間洗濯機」をうたう機器を展示していたものの、社会実装されることはなかった。それから55年の時をへて、同様のコンセプトが最新技術を搭載して復活した形だ。
今回のミライ人間洗濯機は、人が一人丸ごと座って乗り込めるコックピットのような形状。中に入るとカバーが閉まり、胸の下までを温水で満たす他、細かい泡で中に入った人の身体を自動で洗う。さらに腰かけ部分に内蔵されたセンサーで心拍を測定し、結果に合わせてカバー内面に映像を投影できる仕組みという。ラッシュガードを着用しての利用も可能だ。
サイエンスの平江真輝専務取締役に製造コストを聞いたところ、詳細は伏せたものの「ものすごいかかった」という。社会実装の方針については、センサーで心拍を検知し、機能に反映するアプローチなどを、今後の製品に取り入れていきたいと話した。
メディアデー当日は体験できなかったが、開幕後は一般来場者も体験可能。ただし予約制で、すでに予約はいっぱいという。
●びくびくうごめく……iPS細胞から作られた心筋シート
パビリオンには、再生医療技術の研究開発を行うクオリプス(東京都中央区)がiPS細胞を培養して心筋細胞に成長させ、それを直径数cm、厚さ0.1mmのシートにした「心筋シート」も展示されていた。弱った心臓に張り付けることで、拍動を助ける効果があるという。
現地には実物も複数枚展示されており、外部から力を加えられることなく、定期的にびくびくと動く様子が観察できた。
●3Dプリントした「培養肉」も
伊藤ハム米久ホールディングスやTOPPANホールディングスなど6社からなるコンソーシアムは、3Dバイオプリントした「培養肉」を展示。四角く切った赤身肉と脂肪を格子状に並べたものなどを公開し、来場者の興味を引いていた。担当者への詳細な取材も可能だったため、後日改めて記事化する。
その他、パビリオン内には、測定した健康情報を基に25年後の自分を予想して生成したアバターと対話できる「リボーン体験」コーナーに加え、食文化を発信するとして、いくつかの飲食店も併設されていた。なおリボーン体験には専用のスマートフォンアプリ「大阪ヘルスケアパビリオン公式アプリ」が必要になる。