山田祥平のニュース羅針盤 第485回 電子機器の関税はどうなる? 揺れる製造戦略

2025年4月15日(火)6時0分 マイナビニュース


米相互間税から、スマホやパソコン、ディスプレイやSSDなどの部品、そして半導体装置などの電子関連製品を除外することになったそうだ。米国内のハイテク企業からの強い要望というか悲鳴に応えたかたちだ。
○iPhoneの価格は高騰回避となるか
前回のこのコラムで、米国人にとってのiPhoneがとてつもない高額商品になるかもしれないと書いたが、幸いというか、なんというか、それが除外されることになり、実際の価格には影響がないはずとなったようだ。
また、アップルやHPなどは、中国国内の工場からの北米向け輸出を停止して、今後の生産拠点を他国に切り替える方向で考えていたそうだが、その計画にもいろいろな影響が出てきそうだ。これまで通り中国生産を続けるか、リスクを分散させるために他国生産に切り替えるかなどなど、さまざまなプランを考えているにちがいない。
iPhoneのみならず、米国内のパソコンも高額になってしまうと、米国経済がたいへんなことになってしまうことが、現実問題として垣間見えたからだ。
○サプライチェーンの分散化は可能か、世界的な課題に
この朝令暮改的なトランプ政権の動きは、ある意味で、中国への白旗と考えることもできる。だが、報復だった後追いの中国対米関税引き上げがキャンセルされるかどうかはまだ不明だ。
今まで通り、中国への依存によってハイテクシーンが成立し続けるのか、できるだけそれを分散化する方向がとられるのか、今後の動きに注目する必要がある。それはそれでカネもかかる事業だからだ。
これは米中の関係のみならず、世界のハイテク業界がつきつけられた課題でもあり、今回は回避されたが次はわからない。わからないからこそ、何が起こってもいいようにしておく必要がある。これでひと安心というわけにはいかない。
今回の件では各方面から、いろいろな試算が出てきていて、米中関係がハイテクハードウェアはもちろん、AIなどのITプラットフォーム利活用などにも大きな影響を及ぼすことがわかっているからだ。
もしこの政策が現実になっていたら、世界におけるAIの利活用は10年遅れるという議論もある。CPU、GPUやNPUなどのハードウェアを利用するコストが跳ね上がっては開発にも支障が出るだろうからだ。
○新たな半導体関税も? 日本市場への影響はどうなるか
電子機器の関税除外発表は米国時間4月11日(金)の夜だった。時差の関係で日本はすでに土曜日に入っていた。だからいろいろな情報分析が限定的だ。背後に別の意図があるかどうかもよくわからない。この時代、土日が情報の浸透に影響を与えるというのも皮肉な話だ。
週が明けた今、いろんな場面で、このことによる影響が明るみに出てくるはずだ。前回も書いたが個人的にはおまかせ運用しているポイントが悲惨な状態からV字回復することを願っている……。ささいなことだがそれが庶民というものだ。
偏った見方をすれば、今回の除外は最初からの計画で、こうすることで世界秩序の破壊がいつでもできることを知らしめるためのものだったと考えることもできなくはない。かと思えば、週が明けた今、別枠関税になるだけのとの話も聞こえてきた。いったい本当のところはどうなのか。
わが国日本も、これが対岸の火事だと高みの見物を決め込んでいるわけにはいかない。現在のわれわれを支えるスマートライフが、モノを中国依存し、コトを米国依存している以上、米国での価格高騰が起これば、それが日本国内での販売価格に上乗せ転嫁されることだって十分に考えられるから悩ましい。
著者 : 山田祥平 やまだしょうへい パソコン黎明期からフリーランスライターとしてスマートライフ関連の記事を各紙誌に寄稿。ハードウェア、ソフトウェア、インターネット、クラウドサービスからモバイル、オーディオ、ガジェットにいたるまで、スマートな暮らしを提案しつつ、新しい当たり前を追求し続けている。インプレス刊の「できるインターネット」、「できるOutlook」などの著者。■個人ブログ:山田祥平の No Smart, No Life この著者の記事一覧はこちら

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