AI体験とビジネストレンド機能を網羅した日本HPの「HP EliteBook X G1i 14 AI PC」を試す
2025年5月1日(木)12時35分 ITmedia PC USER
HP EliteBook X G1i 14 AI PCは、約1.19kgのボディーに先進機能を搭載した法人向けの14型ノートPCだ。CPUにCore Ultra 7 258Vを搭載する評価機をレビューした
●“Luna Lake”こと、Core Ultra 200Vシリーズを搭載
Core Ultra シリーズ2(開発コード名:Luna Lake)は、薄型軽量ノートPC向けに開発されたCPUだ。今回の評価機が搭載するCore Ultra 7 258Vは主力モデルで、性能優先のPコアと電力効率重視のLP Eコアを4コアずつ搭載する8コア8スレッド仕様だ。47TOPSのNPUも統合されている。
メモリも32GBのLPDDR5X-8533をCPUパッケージに統合している。ストレージは512GBのM.2 SSD(PCI Express 4.0 x4接続)を搭載している。
●サステナブルな軽量ボディー
ボディーの重さは公称値で約1.19kgと軽量だ。実測では1.16kgと少し軽かった。本体サイズは公称値で約313.9(幅)×219.9(奥行き)×10.5(高さ)mm(最薄部、突起部含まず)となっている。最薄部以外の記載がないが、評価機で一番厚みがある部分を実測すると18mm程度、ゴム足まで含めると20mm程度あった。
薄型だが剛性感も高い。米軍調達基準を定めた「MIL-STD 810H」のテストも開発段階でクリアしている。
素材はリサイクルマグネシウムを採用する。カバー以外にもリサイクル素材を積極的に採用している他、パッケージも100%持続可能な原料を採用するなど、サステナビリティへの高い意識が徹底されている。
見た目の印象も良い。シンプルなフォルムだがディテールの処理が秀逸に感じられる。そして「アトモスフィアブルー」と呼ばれるダークなメタリックブルーの塗装は、微妙にしっとりとした感触がある表面処理が施されるなど、品の良い外観に仕上がっているといえるだろう。
●バッテリーは68Wh(大容量)と56Whを用意
バッテリーについては、68Whの大容量モデルと56Whの通常モデルが用意されている。評価機は後者だった。公称の駆動時間は、原稿執筆時点では「後日掲載」と記載されている。
付属のACアダプターは、USB PD(Power Delivery)対応で、最大出力は65Wだ。公称値のサイズは約53.5(幅)×97(奥行き)×21(高さ)mm、重さは約220g(ACケーブルを除く)となっている。
ACケーブルの他にコンパクトなウォールマウントプラグが付属しており、ACケーブル込みの重さは実測で307g、ウォールマウントプラグ込みでは240gだった。なお、本体両側面にある合計3基のUSB Type-C端子は、いずれもUSB PDに対応しており、充電端子として利用できる。
●先進かつ実用的なインタフェース
通信機能はWi-Fi 7対応の無線LANとBluetooth 5.4を標準で装備している。KDDIの4G LTE/5G通信が5年間無制限に使える「HP eSIM Connect」に対応するモデルも選べるが法人限定だ。
端子はUSB 3.2 Gen 1(Standard-A)×2基、HDMI出力、ヘッドフォン/マイク兼用端子など豊富に備えており、使いやすい内容だ。
●明るいディスプレイと打ちやすいキーボード、高音圧スピーカーを装備
ディスプレイは14型の液晶で、解像度は1920×1200ピクセル(WUXGA、アスペクト比16:10)となっている。輝度は400ニトで、一般的なビジネス向けのPCより明るいパネルを採用している。
さらに輝度が800ニトで、内蔵型プライバシースクリーン(斜めから視認しにくくする)を備えるモデルも用意される。
キーボードのキーピッチは公称値で約18.7(横)×18.7(縦)mmと、十分な間隔を確保している。ただ、カーソルキーがやや小さい点と電源ボタンが右上端にある点は好みが分かれるところだろう。キーストロークは約1.3mmで、スイッチの感触は良好で長文入力にも耐える品質だ。
スピーカーはキーボードの左右と前面底部両端に配置された4スピーカー構成だ。約1.19kgの薄型軽量ノートPCとは思えないような迫力のあるサウンドを再生できる。最大の音圧も非常に高く、30〜40人入れるような部屋での会議や授業などでも別途スピーカーなしで使えるレベルだ。
●NPUを活用できるローカルAIアプリや先進機能が満載
HP EliteBook X G1i 14 AI PCは、47TOPSのNPUを含むCore Ultra 7 258Vを搭載したAI PCであるため、NPUを活用したローカルAIアプリによる先進の体験ができる。
カメラ映像にリアルタイムに高度な効果を適用できる「Windows スタジオ エフェクト」、ラフスケッチとテキストで画像を生成できる「コクリエイター」など、OS標準のローカルAI機能が利用できる他、HP独自のAIアプリとして「HP AI Companion」(β版)、「Poly Camera Pro」も導入されている。
HP AI Companionは、OpenAIが開発した言語モデル「GPT-4o」ベースのAIアシスタントで、対話型インタフェースでの質問(Discover)の他、文書の要約や比較(Analyze)、PCの設定最適化(Perform)の3つのセクションが用意されている。
Poly Camera Proは、背景ぼかしやフィルター、フレーミング調整、透かし表示など、凝った効果をリアルタイムで適用できる。効果の適用にNPUを活用するためCPUやGPUへの負荷が少なく、消費電力を削減できるため、長時間のビデオ会議でもPCの性能低下やバッテリー持続時間への影響を最小限に抑えられる。
その他、生産性向上やセキュリティやプライバシーの確保に貢献するさまざまなツールが導入されている。f
●快適なパフォーマンスとロングバッテリーを両立
最後にベンチマークテストの結果を掲載する。myHPユーティリティーで選べる「パフォーマンス」、Windows 11の電源設定は「最適なパフォーマンス」で計測している。
結果は、同じCore Ultra 7 258Vを搭載するVivobook S 14 S5406SA(約1.3kg)とほぼ同等のスコアをマークした。約1.19kgの軽量なフォームファクターでもCPUの性能をしっかりと引き出していることが分かる。
Luna Lake(Core Ultra 200Vシリーズ)搭載モデルはバッテリー駆動時間も優秀な傾向にあるが、本製品もPCMark 10/Modern Office Battery Lifeで実測したバッテリー駆動時間は15時間23分と十分に長い。
動作音は内蔵GPU搭載の薄型軽量PCとしては標準的で、myHPユーティリティーでSmartSenseにすれば、より静かな稼働も可能だ。高負荷時でもパームレストは低い温度に保たれるなど発熱もうまく処理できている。
●最先端のAI体験ができるビジネスAI PC
ここまで見てきたように、HP EliteBook X G1i 14 AI PCは、薄型軽量で頑丈なボディーと高いパフォーマンス、バッテリー駆動時間を両立しており、接続性や入力環境などの装備、静音性や発熱の処理など使い勝手まで隙のない仕上がりだ。
さらに、サステナビリティ、NPUを有効に活用できるローカルAIアプリ、セキュリティやプライバシーといったビジネスの現場でのトレンド要素への積極的なコミットメントは日本HPの独自性、本製品ならではの特徴といえるだろう。
最先端のAI PCにして最先端のビジネスモバイルPCであり、一歩先行く体験ができるPCに仕上がっている。
なお、同社直販サイトでは、49%オフのキャンペーンを展開中だ。評価機と同等構成のキャンペーンモデル(BC4P8AT、Ultra7/32GB/512S)の直販価格は、24万6620円(税込)。Core Ultra 5 228V搭載のキャンペーンモデル(BC4P4AT、Ultra5/32GB/512S)は22万6600円とさらに買いやすい価格になっている。内容を考えるとかなりのお買い得なので、身軽に持ち運んで使えるビジネスPCの導入、リプレースを考えている方は要注目の製品だろう。