軍事とIT 第610回 艦艇に関連する話題(13)有人ヴィークルの無人化

2025年5月17日(土)11時32分 マイナビニュース


タイトルに反するのだが、今回は最初に空の上の話が出てくる。ロッキード・マーティン傘下のシコルスキーが2024年10月に米陸軍から、有人のヘリコプターに自律制御システムを追加して無人化する契約を受注した。これ以外にも、有人ヴィークルを後付けで無人化する話がいろいろ出ているので、まとめて取り上げてみたい。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
DARPAのALIAS計画とは
シコルスキーが受注した件では、操縦系統をFBW(Fly-by-Wire)化した米陸軍のUH-60Mブラックホーク“MX" を対象とする自律制御化改修を実施する。契約額は600万ドル。
そこで使用するのは、シコルスキー同社がALIAS(Aircrew Labor In-cockpit Automation System)計画の下で開発したMATRIX自律飛行制御システム。自律制御システムの中核となるコンピュータが、機体の飛行状況や意思決定に基づいて操縦の指令を出し、それを受けて操縦系統を動かす。すると、機械的な操縦系統よりもFBWの方が実現しやすい。
実は、このALIAS計画の歴史は案外と長い。米国防高等研究計画局(DARPA : Defense Advanced Research Projects Agency)がALIAS計画のローンチを発表したのは2014年4月だから、もう10年以上も前である。
ALIAS計画の当初の狙いは、航空機のコックピットにおいて搭乗員が強いられている複雑な作業を自動化すること。操縦に関わる負担を減らせば、パイロットはその分だけ任務に専念できるではないかというわけだ。
それを実現するために、既存の機体に対して、脱着可能な機器を追加することで自動化のレベルを高める、との構想を示していた。そして実際に、シコルスキーS-76やUH-1イロコイといったヘリコプター、さらにはダイヤモンドDA42やセスナ208キャラバンといった固定翼機でも自律化の試験を実施した実績がある。
先に述べた経緯があるので、ALIAS計画ではパイロットを機体から降ろすことは考えていないようだ。そこが、有人のヘリコプターを無人化したMQ-8Cファイアスカウトみたいな機体とは異なる。
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