軍事とIT 第608回 艦艇に関する話題(11)AIによる故障予察を取り入れた米駆逐艦DDG-62
2025年5月3日(土)11時35分 マイナビニュース
以前、横須賀に前方展開していたこともあった米海軍のアーレイ・バーク級駆逐艦「フィッツジェラルド」(DDG-62)が、人工知能 (AI : Artificial Intelligence)を導入した。といっても、武器系統や指揮管制システムの話ではない。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
ERM V4
「フィッツジェラルド」が導入したのは、ERM V4(Enterprise Remote Monitoring Version 4)というシステム。HM&E(Hull, Mechanical and Electrical)、すなわち船体・機器・電気系統を対象として総数10,000個あまりのセンサーを設置、それを用いて動作状態監視を行うシステムである。
動作状態の監視だけならAIが出る幕ではないが、重要なのはその先の話。機器の動作状態を常に監視してデータをとっていれば、何か故障や不具合が発生したときに、発生した故障や不具合と、その際の機器の動作状況との間で関係性を見出せる可能性がある。
つまり「○○という故障が発生した。それに先立ち、当該機器では△△という挙動が発生していた」とか「○○という不具合が発生した。それに先立ち、当該機器では△△という使われ方をした」といったデータがあれば、逆算する形で「こういう挙動、こういう使い方をしたら、故障や不具合が発生するのではないか」という推測が成立し得る。
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