【角田裕毅F1第12戦分析】挽回の可能性があった第2スティント。44周目のピットインにチームの意図は見えず
F1第12戦ハンガリーGP決勝は、予選17番手からのスタートとなった角田裕毅(アルファタウリ)。スタート直後の1コーナーでの多重クラッシュをうまく避けて11番手に浮上することに成功したとき、角田はきっと、激励に駆けつけている両親の前でいいレースができると思っていたに違いない。
ところがその後、角田が言うところの「謎の戦略」によって、角田はポイント争いから大きく後退する。
たとえば、9周目の1回目のピットストップだ。直前の無線で角田は「タイヤはまだ大丈夫」と言った直後にピットインの指示が入った。
これについて、車両パフォーマンス担当チーフエンジニアのクラウディオ・バレストリは次のように説明した。
「今日のレースでは、スタート時のコンパウンドでマシンを分けることにした。ユウキはアグレッシブにソフトタイヤをスタートに使い、チームメイトのダニエル(・リカルド)はミディアムタイヤを選択した。10周を終えてソフトタイヤでスタートしたほかのマシンがピットインしたため、ユウキも同じようにハードタイヤを装着して第2スティントへ。残念なことにピットストップが通常より長かったためポジションを落としてしまい、同じコンパウンドを履いていた(アレクサンダー・)アルボン(ウイリアムズ)の後ろにつけてしまった」
ソフトタイヤでスタートしたほかのマシンとは、同時にピットインしたランス・ストロール(アストンマーティン)のことを指すが、このときストロールはひとつ前の10番手を走っていたので、ポイントを目指して逆転するなら、同時ピットインではなく、もう1周前か、あるいはもっと先に延ばすしかなかった。1週前の8周目の時点でストロールとの差は約1秒しかなく、ラップタイムが角田のほうが速かったことを考えると、ストロールがピットインして前が開けば、角田はさらにペースアップできたはず。あそこは同時ピットインではなく、ステイアウトが正解だった。
それでも、角田はまだポイントはあきらめていなかった。
「はい。まだレース序盤だったし、やりようはあったと思いますが、その後もすべてがうまく行っていなかった」
1回目のピットストップの後、タイヤ交換に手間取ったこともあって、11番手から13番手に後退した角田。前を走るストロール、ピットストップで逆転されたバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、アルボンも角田同様、ハードタイヤを履いた。ハンガロリンクは抜きどころがないコース。逆転するには今度こそ、アンダーカットを狙うしかなかった。ところが、チームは逆にここで角田にかなり長い周回を走らせた。
もちろん、そこにはセーフティカーやバーチャルセーフティカー(VSC)が出るまで待つという理由もあった。そのため、角田もそのつもりでステイアウトしていた44周目、チームからピットインの指示が出される。ハードからミディアムにタイヤを交換して16番手でコースに復帰した角田には、もう入賞するチャンスは残っていなかった。
確かに角田が2度目のピットインをした後、セーフティカーもVSCも出なかったので、さらにステイアウトしていても、この日の角田にポイント獲得の可能性はなかった。しかし、44周目にピットインする狙いはなんだっのか、まったく見えない。
「何をやりたかったのか、まったくわからなかったです」
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