偉大な父に続け! ブレイクを夢見るイングランドの“二世プレーヤー”たち
2023年1月18日(水)20時21分 サッカーキング
今回の冬の移籍市場では、ある若手プレーヤーが話題を集めた。それは、レンタル移籍でブレントフォードへの加入が発表されたイングランド人FWロメオ・ベッカムである。
彼が注目を集めたのは、本人の実力だけでなく偉大な父親を持つからだ。彼の父親はサッカー界の英雄、元イングランド代表MFデイヴィッド・ベッカム。現役時代にマンチェスター・Uやレアル・マドリードで活躍し、イングランド代表としては歴代3位の115キャップを有するレジェンドである。2013年に現役を退いてからは様々な事業に乗り出して活躍している。
そんなベッカムの息子がイングランドフットボール界に帰ってきたのだから話題になるのは当然である。20歳のロメオ・ベッカムは、過去にアーセナルの下部組織に所属した経験のあるウィンガー。アーセナル退団後はサッカーを諦めてテニスに情熱を注ぐようになった時期もあるが、2020年から再びサッカー選手の道を歩み始めると、2021年9月に父親が共同オーナーを務めるメジャーリーグ・サッカー(MLS)のインテル・マイアミのBチームに入団。プロ選手のキャリアをスタートさせて、2022年シーズンはMLSのリザーブチームが参加するアメリカ3部リーグでプレーした。そして昨年9月に同リーグのシーズンが閉幕してからはブレントフォードの練習に参加しており、今月6日にインテル・マイアミからのローン契約という形で正式にブレントフォードのBチームに入団したのである。
ブレントフォードのBチームのコーチは「非常にテクニックがあり、素早くボールを動かせる選手。優秀なフィニッシャーでもあり、様々なポジションをこなせる」と新加入のウィンガーを評価している。すぐにプレミアリーグの試合に出られるわけではないが、Bチームで結果を残せば、いつの日か偉大な父親が活躍した舞台に立つ日がくるかもしれない。
そんな今後が楽しみなロメオ・ベッカムだが、イングランドのフットボール界にはまだまだ“二世プレーヤー”が存在するので紹介しよう。
[写真]=Getty Images
■ブレントフォード
ロメオ・ベッカムが加入したブレントフォードのBチームは“二世プレーヤー”の宝庫となっている。今月10日に父親が見守る前でベッカムがBチームでのデビューを果たした試合は、20年前のプレミアリーグの試合かと勘違いするほど“豪華な名字”がずらりと並んだ。
今シーズンからブレントフォードのBチームに所属するFWマックス・ディコフの父親は、アーセナルやマンチェスター・Cでプレーした元スコットランド代表FWポール・ディコフだ。2000-01シーズンにはマンチェスター・ダービーでデイヴィッド・ベッカムと対戦したこともあるが、そんな二人の息子が今ではチームメイト同士となっているのだ。
MFマックス・ウィルコックスの父親もプレミアリーグを舞台に活躍した元選手。1990年代にブラックバーンで300試合以上に出場した元イングランド代表のジェイソン・ウィルコックスである。引退後はマンチェスター・Cのユースチームでコーチを任され、現在はマンCの下部組織の統括責任者を務めている。さらにMFカイリース・リズビーの父親は、2000年代にチャールトンの攻撃を牽引してプレミアリーグで通算14ゴールをマークした元ジャマイカ代表のケヴィン・リズビーだ。
実は、これほどまでブレントフォードのBチームに二世プレーヤーが集まるのには理由がある。ブレントフォードは特殊なクラブで、2016年に育成組織であるアカデミーを廃止。今シーズンからアカデミーを再開したが、それまでは育成を諦めてBチームとトップチームしか持たないクラブだった。そして他のクラブの下部組織からトップチームに昇格できなかった選手をBチームに受け入れて活動してきたのである。そんな背景もあって、こうして元代表選手の息子たちが集結することになったのだ。
■リヴァプール
名門リヴァプールだって負けていない。昨年8月のボーンマス戦でプレミアリーグデビューを果たしたMFボビー・クラークは将来を嘱望される17歳。実は、彼の父親は1990〜2000年代にニューカッスルやフルアムで活躍したMFなのだ。父と同じく息子もニューカッスルの下部組織でキャリアをスタートさせたが2021年にリヴァプールに引き抜かれ、現在はユルゲン・クロップのチームで出場機会をうかがっている。同選手については「イングランドフットボール界で有名な名前だね。非常に優秀な選手で明るい将来が待っているはずだ」とクロップ監督も太鼓判を押している。ちなみにボーンマス戦ではMFジェイムズ・ミルナーと一緒にプレーしたが、そのミルナーは父親のリー・クラークともチームメイトだった。
まだトップチームでのデビューは飾れていないが、リヴァプールのU−18チームで活躍する16歳のFWケイロル・フィゲロアも父親が著名選手だ。彼の父親はウィガンなどでプレミアリーグ通算214試合に出場し、ホンジュラス代表の歴代最多キャップを誇るDFマイノル・フィゲロアなのだ。そんな偉大な父親を持つケイロル・フィゲロアは、アメリカで育ち、U−14世代からリヴァプールに所属している。
同じくリヴァプールのU−18チームで素晴らしい活躍を見せているのがMFルイス・クーマス。彼の父親は2000年代にウェスト・ブロムウィッチやウィガンで活躍した元ウェールズ代表MFジェイソン・クーマスだ。クーマスはウィガン時代にマイノル・フィゲロアと一緒にプレーしており、親子二代に渡ってチームメイトとなっている。
さらに、17歳のMFジェイデン・ダンズの父親は、ブラックバーンやバーミンガムでプレーしたMFニール・ダンズだ。このように、リヴァプールのユース世代も“二世プレーヤー”の宝庫となっており、彼らは近い将来、アンフィールドの観客を沸かせるような選手になるかもしれない。
■その他
レスターなどで活躍した元ウェールズ代表MFロビー・サヴェイジの息子も、ブレイクが期待される若手プレーヤーだ。父親と同じく名門マンチェスター・Uの下部組織で育ったMFチャーリー・サヴェイジは、2021年12月にチャンピオンズリーグでトップチームデビュー。今シーズンは出番がないが、マンUのU−21チームでプレーしながらチャンスを待っている。
リーズなどで活躍した元イングランド代表DFダニー・ミルズの息子、スタンリー・ミルズは14歳からエヴァートンに所属する攻撃的MFだ。19歳になったウィンガーは、プレミアリーグでこそ出番がないが、昨年8月に3年契約を結んでおり、今季はカラバオ・カップで2試合に出場している。ちなみに、ミルズのもう1人の息子、ジョージ・ミルズは有望な陸上選手で、2020年には1500m走で英国チャンピオンに輝いたこともある。
さらにブライトンから下部リーグにローン移籍中のMFジェンセン・ウィアの父親は、元スコットランド代表DFデイヴィッド・ウィアで、現在はブライトンのテクニカルダイレクターを務めている。
リーズのMFアーチー・グレイの父は、元スコットランド代表FWアンディー・グレイ。マンチェスター・Cからプレストンにレンタル中のFWリアム・デラップの父親はストークで活躍した元アイルランド代表MFロリー・デラップだ。
このように往年のプレミアリーグファンにとっては懐かしい名前ばかりだ。果たした彼らは偉大な父親を超えることができるのか。“二世プレーヤー”に注目したい。
(記事/Footmedia)
彼が注目を集めたのは、本人の実力だけでなく偉大な父親を持つからだ。彼の父親はサッカー界の英雄、元イングランド代表MFデイヴィッド・ベッカム。現役時代にマンチェスター・Uやレアル・マドリードで活躍し、イングランド代表としては歴代3位の115キャップを有するレジェンドである。2013年に現役を退いてからは様々な事業に乗り出して活躍している。
そんなベッカムの息子がイングランドフットボール界に帰ってきたのだから話題になるのは当然である。20歳のロメオ・ベッカムは、過去にアーセナルの下部組織に所属した経験のあるウィンガー。アーセナル退団後はサッカーを諦めてテニスに情熱を注ぐようになった時期もあるが、2020年から再びサッカー選手の道を歩み始めると、2021年9月に父親が共同オーナーを務めるメジャーリーグ・サッカー(MLS)のインテル・マイアミのBチームに入団。プロ選手のキャリアをスタートさせて、2022年シーズンはMLSのリザーブチームが参加するアメリカ3部リーグでプレーした。そして昨年9月に同リーグのシーズンが閉幕してからはブレントフォードの練習に参加しており、今月6日にインテル・マイアミからのローン契約という形で正式にブレントフォードのBチームに入団したのである。
ブレントフォードのBチームのコーチは「非常にテクニックがあり、素早くボールを動かせる選手。優秀なフィニッシャーでもあり、様々なポジションをこなせる」と新加入のウィンガーを評価している。すぐにプレミアリーグの試合に出られるわけではないが、Bチームで結果を残せば、いつの日か偉大な父親が活躍した舞台に立つ日がくるかもしれない。
そんな今後が楽しみなロメオ・ベッカムだが、イングランドのフットボール界にはまだまだ“二世プレーヤー”が存在するので紹介しよう。
[写真]=Getty Images
■ブレントフォード
ロメオ・ベッカムが加入したブレントフォードのBチームは“二世プレーヤー”の宝庫となっている。今月10日に父親が見守る前でベッカムがBチームでのデビューを果たした試合は、20年前のプレミアリーグの試合かと勘違いするほど“豪華な名字”がずらりと並んだ。
今シーズンからブレントフォードのBチームに所属するFWマックス・ディコフの父親は、アーセナルやマンチェスター・Cでプレーした元スコットランド代表FWポール・ディコフだ。2000-01シーズンにはマンチェスター・ダービーでデイヴィッド・ベッカムと対戦したこともあるが、そんな二人の息子が今ではチームメイト同士となっているのだ。
MFマックス・ウィルコックスの父親もプレミアリーグを舞台に活躍した元選手。1990年代にブラックバーンで300試合以上に出場した元イングランド代表のジェイソン・ウィルコックスである。引退後はマンチェスター・Cのユースチームでコーチを任され、現在はマンCの下部組織の統括責任者を務めている。さらにMFカイリース・リズビーの父親は、2000年代にチャールトンの攻撃を牽引してプレミアリーグで通算14ゴールをマークした元ジャマイカ代表のケヴィン・リズビーだ。
実は、これほどまでブレントフォードのBチームに二世プレーヤーが集まるのには理由がある。ブレントフォードは特殊なクラブで、2016年に育成組織であるアカデミーを廃止。今シーズンからアカデミーを再開したが、それまでは育成を諦めてBチームとトップチームしか持たないクラブだった。そして他のクラブの下部組織からトップチームに昇格できなかった選手をBチームに受け入れて活動してきたのである。そんな背景もあって、こうして元代表選手の息子たちが集結することになったのだ。
■リヴァプール
名門リヴァプールだって負けていない。昨年8月のボーンマス戦でプレミアリーグデビューを果たしたMFボビー・クラークは将来を嘱望される17歳。実は、彼の父親は1990〜2000年代にニューカッスルやフルアムで活躍したMFなのだ。父と同じく息子もニューカッスルの下部組織でキャリアをスタートさせたが2021年にリヴァプールに引き抜かれ、現在はユルゲン・クロップのチームで出場機会をうかがっている。同選手については「イングランドフットボール界で有名な名前だね。非常に優秀な選手で明るい将来が待っているはずだ」とクロップ監督も太鼓判を押している。ちなみにボーンマス戦ではMFジェイムズ・ミルナーと一緒にプレーしたが、そのミルナーは父親のリー・クラークともチームメイトだった。
まだトップチームでのデビューは飾れていないが、リヴァプールのU−18チームで活躍する16歳のFWケイロル・フィゲロアも父親が著名選手だ。彼の父親はウィガンなどでプレミアリーグ通算214試合に出場し、ホンジュラス代表の歴代最多キャップを誇るDFマイノル・フィゲロアなのだ。そんな偉大な父親を持つケイロル・フィゲロアは、アメリカで育ち、U−14世代からリヴァプールに所属している。
同じくリヴァプールのU−18チームで素晴らしい活躍を見せているのがMFルイス・クーマス。彼の父親は2000年代にウェスト・ブロムウィッチやウィガンで活躍した元ウェールズ代表MFジェイソン・クーマスだ。クーマスはウィガン時代にマイノル・フィゲロアと一緒にプレーしており、親子二代に渡ってチームメイトとなっている。
さらに、17歳のMFジェイデン・ダンズの父親は、ブラックバーンやバーミンガムでプレーしたMFニール・ダンズだ。このように、リヴァプールのユース世代も“二世プレーヤー”の宝庫となっており、彼らは近い将来、アンフィールドの観客を沸かせるような選手になるかもしれない。
■その他
レスターなどで活躍した元ウェールズ代表MFロビー・サヴェイジの息子も、ブレイクが期待される若手プレーヤーだ。父親と同じく名門マンチェスター・Uの下部組織で育ったMFチャーリー・サヴェイジは、2021年12月にチャンピオンズリーグでトップチームデビュー。今シーズンは出番がないが、マンUのU−21チームでプレーしながらチャンスを待っている。
リーズなどで活躍した元イングランド代表DFダニー・ミルズの息子、スタンリー・ミルズは14歳からエヴァートンに所属する攻撃的MFだ。19歳になったウィンガーは、プレミアリーグでこそ出番がないが、昨年8月に3年契約を結んでおり、今季はカラバオ・カップで2試合に出場している。ちなみに、ミルズのもう1人の息子、ジョージ・ミルズは有望な陸上選手で、2020年には1500m走で英国チャンピオンに輝いたこともある。
さらにブライトンから下部リーグにローン移籍中のMFジェンセン・ウィアの父親は、元スコットランド代表DFデイヴィッド・ウィアで、現在はブライトンのテクニカルダイレクターを務めている。
リーズのMFアーチー・グレイの父は、元スコットランド代表FWアンディー・グレイ。マンチェスター・Cからプレストンにレンタル中のFWリアム・デラップの父親はストークで活躍した元アイルランド代表MFロリー・デラップだ。
このように往年のプレミアリーグファンにとっては懐かしい名前ばかりだ。果たした彼らは偉大な父親を超えることができるのか。“二世プレーヤー”に注目したい。
(記事/Footmedia)