デイトナ24時間:雨の中で魅せたアロンソ「勝ちたかったレースのひとつ。達成感を得られた」

2019年1月28日(月)14時15分 AUTOSPORT web

 1月26日から27日にかけてアメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われたロレックス・デイトナ24時間レース。雨に見舞われた決勝レースは、コニカミノルタ・キャデラックDPi-V.Rの10号車キャデラック(ジョーダン・テイラー/ランガー・バン・デル・ザンデ/小林可夢偉フェルナンド・アロンソ組)が総合優勝を飾った。


 一昨年のデイトナ・ウイナーであるウェイン・テイラー・レーシング(WTR)は、2019年のデイトナに向け、予選よりも決勝に強くフォーカスした準備を進めて行った。長時間のレースで本領を発揮してくれるであろうフェルナンド・アロンソと小林可夢偉という強力な助っ人も用意し2019年のデイトナ24時間に挑んだ。


 DPiというカテゴリーが始まって以来、最も高い実力を発揮しているのがキャディラック。それに対して、苦戦を続けて来ている筆頭はまだ総合優勝を経験していないマツダで、昨年のデイトナがデビューだったアキュラも、まだ勝利はミド・オハイオでの1回しか挙げることはできていない。


 このような状況下だと、IMSAが誇る“バランス・オブ・パフォーマンス(BOP)”という名の性能調整は、どうしてもキャディラックに対して厳しいものになる。


 予選ではマツダRT24-Pがライバル勢より明らかに速かった。エンジンは小型の4気筒ターボだが、彼らのストレートスピードは最も早く、ポールポジションと4番手を獲得した。


 アキュラは予選2、3番手。キャディラック勢は最高でも予選5番手という苦々しい結果となった。昨年ポールポジションを獲得したWTRだったが、今年の予選結果は6番手となった。


 しかし、予選でのポジションを彼らはまったく気にしていなかった。24時間の長丁場をどう優位に戦うかにフォーカスしていたからだ。


「他ブランドのマシンは僕らよりストレートスピードが速い。なかなかオーバーテイクできない」と性能差は合同テストの時ですでに明らかになっていた。


 そこで、レースの決勝中に雨が降るという予報を聞いた時には、「僕らにもチャンスが生まれると思った」とジョーダン・テイラーは感じたという。


 レースはドライでスタート。雨が降り出すのは明け方からという予報で、その通りに5時頃からデイトナは雨に見舞われた。


■助っ人のアロンソが本領発揮


 ここで速さを見せたのがアロンソ。トップに躍り出ると、すぐさま後続を引き離して見せた。雨が更に降り続け、コースの許容量を超えてしまったためにレースはイエローフラッグ下でのペースカーラン、更には赤旗中断へと変わった。朝の7時過ぎのことだ。その後にレースはまた再開されたが、デイトナ史上初の2回目の赤旗がゴール前約2時間で出された。


 そして、レースはそのまま再開されることなくチェッカーフラッグ。2回目の赤旗が出された時にトップにいたのは、アロンソと小林を起用したWTRのコニカ・ミノルタ/キャディラックDPi-V.Rだった。


 優勝の立役者はアロンソ。序盤のドライコンディションでは7番手からトップにまで躍り出、2回目のウエットコンディションでもふたつのポジションアップを果たしてトップに復活してみせた。ゴール前に雨がひどく降ったコンディションでは、前の出番で見せた速さを買われて3回目の搭乗した。

雨の中を走行する、コニカミノルタ・キャデラックDPi-V.Rの10号車キャデラック


 小林はアロンソからマシンを受け取ると、ドライコンディションの夜間走行を4スティントに渡って続けた。担当した時間帯の後半にイエローフラッグ発生によるペースカーランはあったが、長い仕事をこなさいた末、トップを保ち、マシンに何らダメージを与えずにランガー・バン・デル・ザンデに渡した。


「可夢偉はパフォーマンスもキャラクターも最高」とチームオーナーのウェイン・テイラーは絶賛。


 可夢偉は「勝つために呼ばれたというところがあったと思うので、期待された通りにそれを達成できて嬉しい。プレッシャーも大きかったけれど」とレース後に話した。


 アロンソは「デイトナも勝ちたかったレースのひとつ。伝統あるコースだから。雨による赤旗、レース短縮はあったけれど、充実し達成感を得られたレースとなった。序盤のドライコンディションではトップに躍り出で、後半のウェットでは速いラップを重ね、トップに立ってからは後続を大きく引き離したんのだからね」とコメントした。


 日本人のデイトナ24時間レース総合優勝は、1992年の長谷見昌弘、星野一義、鈴木利男組以来だ。


 今日の2位はウェットの終盤に猛チャージを見せたアクション・エクスプレス・レーシングのキャディラックDPi。3位は予選4位だったアキュラAX-05(リッキー・テイラー/エリオ・カストロネベス/アレクサンダー・ロッシ)だった。

デイトナ24時間のウイナーに与えられる腕時計ロレックス・デイトナ


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