「右手一本で持っていた」日本一の投手コーチが吉田正尚を絶賛!アメリカ戦の”打線の鍵”は「大谷の前にいかに塁に出るか」
2023年3月21日(火)22時5分 ココカラネクスト

(C)Getty Images
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表「侍ジャパン」は現地時間3月20日(日本時間21日)、準決勝でメキシコと対戦。米フロリダ州マイアミ・ローンデポ・パークでの激戦を6−5で制し、前回王者アメリカが待つ決勝へと駒を進めた。
メキシコ先発のサンドバルが好投し、侍ジャパンはなかなか攻略の糸口を見いだせなかった。現役時代に最多勝や最優秀防御率など数々のタイトルを獲得し、引退後はダルビッシュ有や田中将大らを育てた佐藤義則氏の目には、「日本のバッターはスライダーとチェンジアップにタイミングがあっていなかった」と映っていたという。
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その流れが変わったのが7回だ。ヒットの近藤健介、四球の大谷翔平を1、2塁に置き、迎えたバッターは吉田正尚。頼れる4番はチェンジアップに上手くタイミングを合わせ、ライトポール際に同点3ランを叩き込んだ。
「試合はメキシコのペースで進んでいたから、7回の吉田のホームランが効いた。チェンジアップを右手一本で持っていた。それまではチャンスで点が入らなかったので、ホームランが出てだいぶ流れが変わった」
佐藤氏もそう語る通り、この同点で逆転勝ちへのムードを高めた侍ジャパンは、8回に2点を献上しながらも裏の攻撃で1点差に詰め寄る。そして最終回、大谷、吉田、村上宗隆と続くクリーンナップで、見事に試合を決めた。
「大谷が打ったのはボールっぽかったけど、初球から行こうと決めていたのかもしれない。あの球をヒットにできるのがすごい。走ってる時もチームを奮い立たせようとしていて、本当に勝ちたい気持ちを表現していた。俺について来いみたいな感じでね」と初球を捉えた大谷を称賛した”日本一の投手コーチ”は、さらに試合を決めた村上について次のように評価した。
「村上は悩んでいただろうし、この1本だけで開き直ることはできないかもしれないけど、思い切って振ろうとする意識が見えたのはよかった。コンパクトに振ってもあそこまで飛ばせるのが村上だよね」
加えて、快足を飛ばして一塁からホームへ帰ってきた周東右京の走塁を「あれで帰ってこられるのは周東だから。本当にスペシャリスト。普通のランナーだったらサードで止まってる」とべた褒めした同氏は、アメリカとの決勝戦についても「逆転サヨナラ勝ちで決勝に進めるのはいい流れ」と笑顔を見せた。
決勝での打線のポイントは、やはり上位打線の出来だという。とりわけ、「大谷の前にいかに塁に出るか。ヌートバーや近藤が塁に出て、大谷、吉田と続けば点が取れる」と1、2番の重要性を強調する。アメリカ投手陣に対しては「普通に150キロ以上のスピードボールを投げるピッチャーが揃っているから、チェンジアップを上手く見極めて、真っすぐとどちらを狙っていくのかが鍵になる」と語る佐藤氏。最後に「面白い試合を見せてほしいね」と侍ジャパンにエールを送った。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]